月刊パラレログラム

月刊パラレログラム

備忘録を兼ねて、映画の感想など。

GOOD OMENSのS3を見て、1日経って思ったこと(なぜかS1の話ばかりしている)

※GOOD OMENSのS1及びS3のネタバレを大いに含みます。

あと、これは「1日経って思ったこと」なので、明日にはまた変わっているかもしれません。噛むほど味が出るのがこのドラマのいいところだから…。

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グラナダホームズ(だいたい)全話感想

※元気よくネタバレしています。

2023年にグラナダホームズを一気見しながら走り書いた感想を今更公開します。もともとがガチの個人的メモなのであまり面白くありません&3話ほどメモし損ねて抜けているのがあります。今読み返しても「可愛い」が多すぎる。まあとにかく六つのナポレオンを見てほしい。

1.ボヘミアの醜聞

てっきりふたりの出会い(緋色の研究)から始まると思っていたのでびっくりする。制作陣の「見てくださいこの顔面…美しいでしょう…どんどんご覧ください…」と言わんばかりのホームズのアップシーンの多さ。ホームズ氏、奇矯な面がきちんと表現されており、よくわからないところで急にでっかい声を出す。「よい縁組だ!!」とか。声を張るところそこなの?
変装シーン大盤振る舞い、「あの女」アイリーン颯爽登場、王族に対する不遜な態度、冒険要素、ホームズとワトソンの「違法でもか」「公正なら」I am your man… の激熱展開など見どころ盛りだくさんで見終わってみれば納得の第1話。

2.踊る人形

第1話セレクト大正解とは言ったものの、シリーズ開始から2話連続でホームズの失敗話が続くのはなかなか挑戦的では?本で読んだときにはそれほど気にならなかったのに、映像で見ると依頼人が死んじゃったのがすごく悲しい!いい人なのに。
冒頭大はしゃぎで暗号取り出しながら「ぱ!!!」などと言っているホームズが激のマブなのでありますが、物語の最後、悲しい事件が解決したあと、暗号が読めたぞ~とにこにこしながら胸を張る善良なワトソン君を見て優しく微笑む表情がよい。君はいつだって定点だ。

3.海軍条約事件

3話にして髪を下ろしてきた……どうしろと言うんだ……。
依頼人の同僚、フランス出身のゴロくんはたぶんめちゃくちゃいいやつです。全身からいいやつ感が出まくっている。
ものすごい勢いでミスハリソンの前にしゅーん!と滑り込みながら帽子を脱ぎそのまましゃべりだすホームズが超面白いのに誰も笑わない。
ホームズ主催の茶番に付き合うハドソンさん(スコットランド出身)がとてもかわいいご婦人です。

4.美しき自転車乗り

カラザース氏~!(応援うちわを振る)(私は愛情深いダメ男に弱い)
一人で調査に行ったもののあまり成果を得られずに怒られ、私は役立たずか?と聞くワトソンにわざわざ思慮深く視線を伏せて考え込んでからカッと視線を戻し「そうだ!」と言いきるホームズ、心底腹立つな。
次にホームズが一人で捜査に乗り込むわけですが、オヤオヤ相変わらずとんでもねえ変装してるな…と思ったら普通に別の人でした。今回のホームズ氏はアクション(拳闘)シーンありです。一発しか殴られてないのにびっくりするくらい相手をぼこぼこにするよ!
ホームズのでもワトソンのでもないセリフですが、「もう俺の妻だ」「いや、未亡人だ(相手を撃つ)」っていうやり取りが大変恰好よろしかったですね。延原訳だともっとしびれるので引用します。
「遅かったよ。生憎だが、この女はおれの女房だ」
「バカ言え、きさまの寡婦(ごけ)だ!」
轟然とピストルが鳴り、――(後略)

5.まがった男

前話では武闘派大暴れだったわりに軍隊は好きじゃないらしいホームズ氏、軍から直々の依頼を受けてまあまあはしゃいでいるワトソン君に半笑いドン引きしているのでなんかオタク早口に引いている人を見るようでこちらの胸が痛む。いつもオタク早口やってるのホームズの方なのに。
「不貞の風紀解説ありがとう」←軍の恋愛事情を教えてくれたワトソン君に対する最高にとげのある発言。
真相を知っている人物が出会った途端に全部教えてくれるので、大して謎を解かない回。

6.まだらの紐

凄くシリアスな話をしているのに興味深い謎の気配を察して口の端が緩んでしまうホームズや、目の前でドスのきいた悪の親玉にゴリゴリすごまれているのにどんどん面白くなってきちゃって引きつったように笑うホームズが見られます。「ハッ(笑)!出て行くときにはドアを閉めていってください、隙間風が入るから」←超格好良い。
今回はワトソンくんがちゃんと聞き込みできて安心。あとやたら朝食や夕食のことばかり気にしていてかわいい。ホームズが「今夕飯の話…?」って感じでいちいちあきれ顔をするんですけど、食は行動の基本なのでワトソン君が正しい。ドSが弱さを見せるシーンに弱いので、緊張で手が震えるホームズにちょう萌えました(正直者)

7.青い紅玉

ガチョウってそんな感じで運搬するの!?という衝撃を受けるクリスマス回。
最初がとても好き。たたき起こされて寝起き3秒で煙草を吸おうとするホームズさん、マッチが見つからなくてパジャマで部屋をうろつき背後にいた来客にびびるホームズさん、なりゆきでリラックスウェアのまま話を聞くホームズさん。
とても温かい話です。おじさんにガチョウと帽子を返したがるメッセンジャーも、ホームレスの女性を迎え入れる酒場の主人も。あと、濡れ衣を着せられているホーカーファミリーも温かすぎてずっと心配してしまう。
『青ザクロ石』という翻訳の良さよ。しかしほんとにホームズ顔がいいな……

8.ぶなの木屋敷の怪

とにもかくにもおじさんがキモすぎてやばい。バイオハザードの6・7あたりにいそうなキモさ。原作どうだったかしらと思って確認したら「本当に感じがいい人」って書いてあっていやいやいや!!ってなりました(でも挿し絵には超似てた)。
私は「仲の良さを前提としてすげー喧嘩してるふたり」が好きなので、ホームズの八つ当たりでギスりながら始まるところが大変よかったです。あとホームズは女性の髪の毛を許可もなくちょいちょい触らないほうがいいと思うよ。
ダウニーホームズで一番好きなセリフ”Data,data,data!”が原作由来なことを本作で初めて知りました。
最後のホームズが第4の壁ぶちやぶって我々に微笑みかけてくるときの表情がとても良い。

9.ギリシャ語通訳

ひ、被害者が実に可哀想でした…。

10.ノーウッドの建築業者

感想メモなし。

11.入院患者

オープニングの音楽やカメラワークが映画のようです。一部で有名な挿絵、腕を組んで歩くホームズとワトソンの再現が見られてとても嬉しい。本作のこのふたり、語り合うときの距離も大変近い。あと『まだらの紐』のときから思ってるんですけど、ホームズは自分だけばっちり服を着る前にワトソンを起こしに来たほうがいいと思う。段取りとして。
それにしても英国建築が最高。いい建物…住みたい…。
殺しのシーンが大分怖い。最後のワトソンの顔芸がたいそうかわいい。

12.赤毛連盟

コミカル回。
アッ来客ですね失礼失礼とすぐにドアを閉めたワトソンくん(この仕草、原作通りではあるものの、これまでの話でいつも前のめり且つメモしまくりながら依頼人の話を聞いてたのに急にどうしたのという感はある)を追いかけてヒラリ!とソファを飛び越えるエキセントリックホームズ(原作には特に書いてません)。
赤毛の紳士が本当に善良で可愛くて胸が痛む。百貨辞典を書き写すという意味不明な仕事をやらされているのに、そこにきちんと喜びを見いだす向学心と素直さ。1日4時間8週間もやらされてるのに!これからでも遅くないから学究の徒になってはいかがかな。
うっとりと(しょうもない仕事を)語る彼につい笑いそうになったワトソン君が横目でホームズを伺うのと、それを受けたホームズが笑うな!と顔芸する(いつも絶対笑っちゃいけない場面で「HA!!!」って言ってるくせに)のが仲が良すぎてたいへん可愛い。結局みんな可愛い。

13.最後の事件

乱れてはじめてわかる、ホームズの髪の茶色さ。
海外ロケ編です。いつになく金がかかってる気配。ていうかいきなりルパン三世(テレビスペシャル)みたいな話になったな!
部下が捕まったから仕方ないとはいえ、単身でごりごり追いかけてくるモリアーティがあまりにも現場主義過ぎる。ゲンバー大王かな?あとあまりにも顔がモリアーティ顔。むしろこのドラマ版から、巷の(?)モリアーティの顔イメージがついてるのかもしれない。
エンディング、「そこ!?」っていうところで止め絵になるのおもろいな。

14.空き家の怪事件

ワトソンくん俳優交代。こちらは前話から連続で見ているので、「3年でずいぶん落ち着いたね……」と思うシックさのある人選。声が低いからかな?
…などと思ってたらホームズが帰ってきたとたんに大はしゃぎ、最終的にはニッコニコで変な帽子まで被るので安心です!何だそれ!なんか、あの、よかったね!
ホームズの台詞に「でなだ」としか聞こえない部分がありなんだその知らない単語は…とどうしても気になって調べたらthen and thereでした。英語、難しすぎる。

15.プライオリ・スクール

話の都合に合わせてワトソンが空気になるところと、字幕の限界?のせいで何を言っているのかわからないところ(蹄の釘のあたり。原作を再読してようやく意味がわかった)があるのと、ドラマティック改変のせいで犯人が死ぬことになっててかわいそうなのとで、なんか脚本失敗回じゃないの…!?という疑惑がある。改変自体はいいんですけど、サスペンス要素を増したせいで「誘拐されたご子息が今まさに大ピンチなのに親御さんにまずは金を要求し始めるホームズ」というちょっとどうなのというシチュエーションが発生しています。(原作ではご子息は大ピンチではない)

16.第二の血痕

ワハー!!と大声出して喜ぶホームズ(踊る人形以来のハイテンション)が2回、何のためらいもなく床を這いまわりまくるホームズが1回と、食卓でうっかり新聞を燃やす面白シーンが見られます。今回の裏テーマは新聞なのだな。

17.マスグレーブ家の儀式書

わくわく宝さがし。
執事ブライトンの、ビタイチ雇用主を尊敬してない顔が超リアル。よくもまあこんなに尊敬していない感が出せるな!という顔。しかしそんな有能執事にDisられてなお、マスグレーブ卿がぜんぜんいい人でびっくりですよ。全然高慢(※ホームズ評)じゃないよ。まっとうなことしか言わないしワトソン君と二人でもぞもぞホームズを頑張って追いかけていて可愛い。あと顔がビル・ナイ系統で好み。

18.修道院屋敷

話が単純すぎて供述と独白に時間を割くタイプの話。
正直盛り上がりには欠けますが、代わりに?あの有名な横顔シルエットを拝めます。

19.もう一つの顔

な、なんでわざわざこの邦題にしたんだろう…オチがもろバレでは…?
この話を最初に読んだのは岩崎書房の児童書版ですが、それ以来想像上の存在でしかなかったアヘン窟のリアルな模様(?)が見られて感慨深かったです。
最初に夫救出を頼みに来る女性、原作では奥さんの友達なんですけどドラマのワトソン結婚してないので、正直元カノにしか見えませんでしたね(下世話)。
まだらの紐・入院患者に引き続きホームズがフル装備になってからワトソン君を起こしに来るのでもうこれはお決まりのパターンというやつなのだと理解しました。2時間睡眠のワトソン君を叩き起こす手段が「いろいろな声色で呼んでみる」「足の裏をくすぐる」なの何なんだろう。かわいいけど。

20.六つのナポレオン

神回では…!?
冒頭のイタリア人家族大げんかシーンからのナイフ決闘シーンはまるごと不要(何よりスポンジ水浴お色気娘が全く意味不明)だったりして「またやばい回が始まったな…」という感じなんですが、前回2時間睡眠のワトソン君に「5分後出発」とのたまっていたホームズが今回は「さっさと飲め。2分だ」とやり返されてちょっときょどってたりとか、レストレードに難しいこと聞かれてうろたえてたらホームズににこにこ答えを示して貰って回答できるワトソン君とか、「ミセスハドソーン!はどそーん♪」と歌うホームズとか、暇すぎてこっそり資料を見ちゃうレストレードとか、それを二人で覗いて笑い合うホームズとワトソンとか、突然テーブルクロス引きするホームズとか見られておなかいっぱい。思うに、この話のホームズやたら陽気で優雅なんですね。マフィアファミリーの粗野さが目立つから余計に。それがこの話をいつにも増して楽しくしていると思います。
何が良いって最後のレストレードのホームズへの賛辞が、(今まで散々おちょくられてたのに)堂々としていて、本当に素敵で、それを聞いたホームズがもうちょっと泣くんじゃないの?って顔をしながら、サンキュー!……サンキュー。って、すごく、すごくいい顔で言うんです、なんだこれ神回ですよ(2回目)。誰かにグラナダホームズを1話だけ見て貰うならこの話にする。しかし冒頭シーンは本当になんなの?オマージュ元か何かがあるの?

21.四人の署名

満を持してモースタン嬢堂々登場!恋するワトスンくんがかなりあからさまに前のめり。でもくっつきません。なぜならこれはグラナダホームズだからね…。
しかし親父と息子兄弟があまりにも似てなさすぎない?
ホームズが賢くない人の話を聞いてるときにずっと微笑んでいるのが性格悪くてかなりいいです。

22.悪魔の足

前々回はあんなにはつらつとしていたホームズが今回は病気です。イギリス紳士の病気ルック、いつもがぱりっとしてるのでよけいに病気感がすごくて可哀そうだしちょっと可愛い。しかしイギリスの海岸、天気も悪いし寒そう過ぎて、全然健康に良さそうじゃない。
ホームズがトラウマに苛まれる衝撃シーンがあります。

23.銀星号事件

ホームズの髪型が前回から変わっている。
羊の鳴きまねをするのが可愛かったです。

24.ウィステリア荘

マジでペインズ警部が不必要にきもい。あまりにも怪演すぎる。あと喋るのも遅い。
『殺人』という単語を聞いてついニコッとしてしまうホームズ(緑のマフラーがかわいい)。
しかしなかなか冗長な話でしたね!鏡越しのショットが多用されていたのが印象的。

25.ブルース・パーティントン設計書

歌うホームズ、床にソーサーを置くワトソンなどが見られます。
わりと陽気なムード。ステッキでシルクハット直すのかっわいいな!

26.バスカビル家の犬

前半のホームズがずっとテンション低くてぶつぶつ…と喋るのでかなり心配になりますが、再会後はわりかし明るいし異常にバえないシチューを作ってワトソンにどん引きされる面白かわいいシーンもあります。
サー・ヘンリーとワトソンの同居ライフが長々続く上に、このサー・ヘンリーが金持ちなのに(?)賢く優しく勇気があるうえ顔がはちゃめちゃ好みだったので、もうちょっとでワトソン君とのシッピングに目覚めるところでした。危なかった。
ついでに先生の飼っている愛犬がめちゃかわです。
しかし字幕がぽんこつすぎないか?

27.レディ・フランシスの失踪

活劇風。『相棒』(右京さんの)っぽい。『バスカビル』と連続で見るとワトソンほんとに筆まめだな。

28.ソア橋のなぞ

エスアイアンダースタンコンティニューコンティニュー ←よかった台詞。
初めて自動車が出てきてびっくり。
銃を水没させられてふてくされるワトソン君がかわいそうでした。

29.ショスコム荘

葦毛の怪物ホワイト号。ゴールドシップっぽい。
のっけから、いかにも真面目そうな医者のワトソン君が競馬に年金半分突っ込んでるという衝撃の事実がわかります(ホームズが固ゆで卵を嫌いなこともわかります)(丸々残されて憤るハドソン夫人)。
というわけで、今回はホームズに馬について教えてくれ!と頼まれたり、骨の部位をさらりと答えたりとワトソンくんが活躍。話を聞いているときにもアイコンタクトを取りまくり相談をしまくるのが仲良くてかわいい。
問題の歌:さあんきゅう~(中略)かむじゃすぱ~かむわとそ~ん♪ ※ジャスパーは犬
勝ったのはたった20ギニーだ、情けないな、と言い合うホームズとワトソン君に私も10ギニー儲けましたからね~とウキウキシャンパンあけるハドソン夫人が可愛い。どうも私が調べると1ギニー2万円とか出てくるんですけど、たった40万だって言ってるんですかワトソン君…?そんな金持ちなの…?

30.ボスコム渓谷の惨劇

メモなし。

31.高名の依頼人

ホームズぼこられ回。
脚本(字幕?)意図がわからないんですが、情報屋ジョンソン氏が撃退し「へっ あいつらてんでド素人だ」と言い放った相手にバリツと拳闘の使い手ホームズがぼっこぼこに負けるっていうのはどういうことなんだろう。1名メンバー交代してたらしいので、そいつが最強だったとか?
原作だと「毎朝お見舞いに来てくれるよね?」とホームズがキュートに甘えるところがあるんですが、グラナダホームズとワトソンはそもそも同居してるのでそういう台詞はなくだいぶシリアスに伏せっていました。ドアにべっちょり張り付いて聞き耳立ててるハドソン夫人がかわいい。あとワトソン君の一夜漬け能力の高さが垣間見られます。

32、這う人

這ってはない!這ってはないだろ!
読んでいない話で、オチにビックリしすぎて大きな声出ました。衝撃のビジュアル。そんなことある!!?

33.犯人は二人

恐喝王ミルヴァートン回。モリアーティの時にもよくもまあこんなモリアーティ顔の人がいたものだ…と思ったんですが今回もよくもまあこんなミルヴァートン顔の人が…と思いました。すごい。どう見てもミルヴァートン。
盗みに入るかどうかでホームズとワトソンが割とシリアスに揉めてたんですけど、君らそもそもシリーズ第1話から恐喝の手紙盗みに人んちにずかずか入ってなかった?
ホームズのところに依頼に来るのは大概切羽詰まって緊張した女性ばかりなので、明るい女子会シーンに心が洗われました。
あと30話を過ぎて初のホームズ入浴シーンです。サービスショット…。

34、サセックスの吸血鬼

「ショートコント!吸血鬼!」みたいな全力吸血鬼衣装のおじさんが出てくるのでびっくりする。世界観が完全に横溝正史。しかも一族壊滅エンド。死に過ぎ。どうしたの急に。

35.未婚の貴族

トリックかケイゾクの劇場版?という怪作。ホームズ、ライエンバッハが本当にトラウマなんだね…ハドソンさん、ホームズの心配ばっかりで大変だな…『瀕死の探偵』のときといい…。
ていうか、あの、ぶっちゃけますと陰鬱系の二次創作っぽい。めちゃくちゃ売れそう。界隈の伝説になりそう。
ちなみに、夢の正体がわかるなり急に元気になって「こんなところに洗濯物が!」と客が来てるのに洗濯物畳み始めたりします。

36.三破風館

メモなし。

37.瀕死の探偵

お客さん(美人)が来るので大慌てで実験器具を片付け長いパイプを加えマントルピースに向かって取り繕うホームズが可愛い。
ていうか『敷物スライディング競争』ってなに!?イギリスの男の人ってみんなそういうことするの!?
カルヴァートン・スミス氏の顔が普通に好き。
「ようがす」っていう字幕、久しぶりに見たな…。

38.金縁の鼻眼鏡

マイクロフトとホームズのエモ兄弟回でした。イイネ!!(サムズアップ)
「父さんの拡大鏡だろう?」「うむ」「もらったのか?」とかね。エモくないですか?
マイクロフトが嗅ぎ煙草嗅ぎっぱなしなんですがなんかこう…鼻風邪の人にしか見えないね…紙巻の方が圧倒的にスマート…。

39.赤い輪

全然が元気ないと見せかけて、たまに突然の大声と機敏な動きを見せるホームズ。あとどんな時でもハドソンさんのことは大声で呼ぶ(そして「何ですか!?カーテンを洗うんですけど!?」とか言われる)。下宿のご夫婦がコメディカルで可愛い(「お迎えかな…」とか言う)。そして相変わらずワトソンくんが見張りとして役に立ちません!やる気を出せ!!

40.マザランの宝石

マイクロフト、会話厳禁のディオゲネスクラブで朗々と喋りすぎじゃない?
ホームズ不在回ですがファニーな姉妹のお陰もあり結構面白い。人質になるワトソン君がやたらセクシー。
兄さんのイマジナリーシャーロックが前髪下ろしてるの、エモいな…と思いました(この兄弟にエモを見出しがち)。

41.ボール箱

ワトソン君へのクリスマスプレゼントが決まらず(毎年の悩みの種とのこと)ハドソン夫人に相談して言われた通りに買いにいったり、依頼人の話を聞き流しながら実験器具に飾り付けをしたりするホームズが久しぶりに可愛い。
貰ったコートを着てはしゃぐワトソン君に、見たことがないくらい自然に笑うんです。

『マレフィセント』を観た日記

※最初から最後までネタバレしかしてません。

マレフィセント』(2014)を観て、世の中にこんなに楽しい仕事してる人がいるのかよと思いました。
私だって、大人になって改めて『眠れる森の美女』(1959)の冒頭部を観たときに「いやこんな扱いをされたらそりゃ怒るよ。マレフィセント様が何したって言うの?」って思いましたよ。思いました。
でもこの映画を作った人たちはそこから、じゃああのマレフィセントが本当は優しい人でオーロラのことをずっとツンデレ気味に見守ってたって設定にしてさ~、3人の妖精は傲慢な役立たずで王様はダメ男の煮こごりみたいな人にして~あとお妃様は話の都合で画面外で葬っちゃってさ~マレフィセント様のめっちゃかっこいい飛行シーンと無双シーンも山盛りにして~最後は尊い母子愛で〆てアニメでは死んじゃってたマレフィセント様のこともうーんと幸せにしてもちろんカラスも死ななくて、あとずっとミュージカルのかけらもない進行をしておきながらエンドロールでだけ突然メロウな『いつか夢で』かけたら超エモくない!? って思いついて盛り上がって作品にしたってことでしょ?(そうかな?)あっ主演アンジェリーナ・ジョリーで!って言って実現したってことでしょ?すごくない??

なんかこういう、身も蓋もない言い方をすると強欲な二次創作みたいな映画観るとめっちゃ嬉しくなってしまいますね。夢がてんこもりで。
最強で悲しい過去があってその結果ツンデレだけど愛情深くてほだされてしまうクールな女王様が嫌いな人なんているんでしょうか。いるかもしれない、いるかもしれないが、少なくともほだされる人が大好きな私は存分に楽しみました…。

余韻に浸りながら情報調べたら脚本リンダ・ウールヴァートンじゃないですか~やだ~!!マジで嘘くさいですけど本当に今初めて知りました(※リンダ・ウールヴァートンは私がこの半年どハマりしてる美女と野獣ミュージカル版及びアニメ版の脚本家です)。私リンダ・ウールヴァートンの書く素直じゃない人と人間の善性と疑似家族が大好きだよ~!!

他に好きだったところ:美麗で高貴なマレフィセント様のいたずらと笑いのツボがほぼ小学生なところ。浮かばされてついてくるフィリップ王子がディズニーランドの風船みたいで常にシュールなところ。97分で収まっているところ。「指が膿んで腫れたので針を探す」という、糸車に触れてしまう極めてまっとうな理由付けがされているところ。

3妖精の名前がアニメ版と違うのは、流石に良心がとがめたんでしょうか。だとしたらステファン王も変えてあげた方がよくない!?

 

 

(追記)

後日マレフィセント2も観たので、以下感想を追記します。こちらも完全にネタバレしています。


そう…そうくるか……!
そもそも前作自体がオマージュ元を大胆に改変した作品なので、その続編ともなれば乖離はさらに激しく、もはや『眠れる森の美女』のことはいったん全部忘れようか!というレベルに達しています。とはいえこの違和感の原因は、『眠れる森』からの乖離というより前作との乖離が問題なのではないかな。

前作の肝&エモって、

・恋愛感情も血の繋がりもなく、種族も違うマレフィセントとオーロラの間に真実の愛が生まれる
・オーロラが「16歳になったらおばさんたちとの家を出てあなたと住むの」と自分で決めて、最終的には王子様の助けも実家のバックアップも受けずに妖精たちの女王(×プリンセス)になる

というところにあったと思うのですが、対して今回のラストは、

・オーロラは王子様と結婚し、アッサリ人間の国のほうにある立派なお城にお嫁さんとして移り住む(一つの国になるとはいえ)
マレフィセントは同族をいっぱい見つけ、そっちで楽しくやっていく

……親離れはまだわかるんだけど結局お互い同族でまとまるの!?っていう。台無しじゃない!?まあポスター画像を見たときには「マレフィセントに同族の彼氏(コナル)ができる」という話だったらマジでどうしようと思ってたので、そうはならなくてよかったです。マレフィセント様にはディアヴァルとのほのぼのボケツッコミコンビで末永く隠居生活をしていってほしいですね…。

それにしても続編あるあるであるところの「主人公を立てるあまりサブキャラが全員無能になる」に巻き込まれた結果、オーロラ姫の株の下がり方がものすごい。少なくともフィリップのお母さんが「あーら鉄のカトラリーがダメなのね!どうぞ手で食べて(嘲笑)」とか言い出した時点でオーロラか王様かフィリップがもっと怒らないとおかしくないか。あと森のハッピーな仲間たちがガンガン死んでしまう大ピンチに際して女王なのにあまりにも役に立たない。彼らを救ったのはひとえにディアヴァル熊の頑張りです。ありがとうディアヴァル熊。

……などと好き勝手言いつつも私は好きな映画の続編はどんな内容でもあったほうが嬉しいし絶対観たい派ですし、だいたい最初から最後まで全部よくない続編というのは世の中にほぼなくて、どこかには必ずいいところがあるものです。というわけでよかったところも書いておこう!

良かったところ:
・フィリップがずっと完璧いいやつ。ほかのメンツが不完全すぎるので完璧いいやつがいると安心する。
・ディアヴァルの衣装がかっこよくなっている。マレフィセント様とディアヴァルのほのぼのシーンは全部素晴らしかったので、そこだけをつなぎ合わせてずっと観ていたい。両家顔合わせの前の挨拶練習の場面とかめちゃめちゃかわいかったですよね…マレフィセント様がけなげで、ディアヴァルはディアヴァルで「それじゃほとんど脅迫」「さっきよりはマシ」などとコメントに忌憚がなくて…。
・3妖精(赤青緑)のうち妖精(青)が花に変えられたところ。まさか!曲がりなりにも『眠れる森の美女』のオマージュ映画で!妖精(青)が死ぬなんて展開があるとは!その制作側の勇気に本当に胸打たれました。あと、ハンサムな木が死んじゃったのがすごく悲しい。

今調べたらこの年末に3の制作が決定していたらしい。嘘だろ!ここからどうなるんだ!妖精(青)は復活するのか!楽しみです!!

シドニーでBEAUTY AND THE BEAST THE MUSICALを観た日記

オーストラリアのシドニーへ出張に行き、最終宿泊日前日の夜にホテルでゴロゴロしながらYoutubeを見ていたときのことです。どうやら滞在国に合わせた広告が流れるらしく、見事に英語だわ…と思いながら終わるのをおとなしく待っていたら、突然流れ出す華やかな映像、楽しい曲、「BEAUTY AND THE BEAST THE MUSICAL now playing in Sydney」の文字。…シドニーシドニー!?
私が数か月前に劇団四季版を観てドはまりし、実写やアニメや続編を総ざらいして12000字の感想を書き、劇中歌ビーアワゲストの多種多様なバージョン違いしか入っていないクレイジーなプレイリストを作ったりしている、あの『美女と野獣』のミュージカルを、今、シドニーで、やっている!!?
待って待って一旦落ち着くべき。シドニーって言ったって広いんだから。私バス乗れないし(※シドニーでバスに乗るためには専用カードかタッチ決済式のクレジットカードが必要です)。それに上演時間も合わなかったりするのでは?

 上演開始時間:18:30~
 劇場:キャピトルシアター(ホテルから大通り沿いに徒歩20分)

…行ける。明日の仕事は16時には終わる予定だから全然行ける。あっチケットは?明日は日曜日だからもうないんじゃ?えっ全然ある。えー。えー!?行けちゃう!?でももしかしたら仕事上の付き合いの人との会食が急遽設定されたりするかもしれないし、それがなくてもそもそも夕飯は基本的に同じく出張に来ている他部署の人たちと一緒に行きましょうね~ってことになっている。日ごろ付き合いのない他部署の人に『美女と野獣』観たいので今日はサヨナラ!って言えるか!?

翌朝目覚めた時点では「ちょっと無理だろうな」と思ってたのに、気付いたら朝食会場で会うなりそっと切り出してたし「えっ仕事の後でしょ?最終日だし全然いいよ」と快諾でした。えーーー!?ヤッターーーー!!!


というわけでここまでの嘘みたいにできすぎた展開からこのままとんとん拍子でいけるかしらんと甘く考えていたらまあ全然そんなことはなく、16時に終わるはずだったその日の仕事は景気よく延び延びに延び、なんとか飛び出して劇場付近に駆け付けた時点で時刻は18時10分=開演20分前でした。どこだ!?ここか!?とキャピトルシアターの看板を探して夕暮れの路地に目を凝らしたら、そこには光り輝く大きな写真が。

 

ビーアワゲストだ~!!!(大興奮)

正面に回ると、そこには電飾に囲まれた華やかな写真や宣伝文句がずらずら。じっくり見たいけれどそれどころではない、何しろ最悪の事態も考えられたのでまだチケットも買っていません。正面玄関にはどうも売り場とかなさそうだけどチケットはどこで買うの!?あっ別の入口にBOX OFFICEって書いてある!数年前に英会話でやった!
職場の研修の一環だったのにうっかり日常(含観光)コースにしちゃったせいで「ブロードウェイで劇のチケットを取ってみましょう」という絶対仕事で使わない単元があって何だかなあって思ってたのにこんなところで役に立つなんて。ありがとうベル〇ッツ。

念のため守衛の女性に「チケットってここで買えますか」と聞いてみると、「もちろん!」と明るく返してくれました。「今日のチケット?それならそこのカウンターへどうぞ」ありがとう!
さっそくカウンターのお兄さんにチケットくださいと元気に頼みます。「今日のチケットですか?」「そう!」「席種によって90ドルから130ドルまであります」「一番高いやつください!!」「The best???」「Yes!!!!」
↑ここまで来たら後悔したくなさ過ぎたのと、全ての席の説明を聞いて理解したり選んだりする心と時間の余裕が一切なかった。ちなみに私が朝サイトを見た時には160ドルとかの席もあったので、この時点で残っていた一番高い席が130ドルだったんだと思います(出発時、羽田空港でのレートは1豪ドル100円前後)。同額の席も複数あったはずですが、私の切羽詰まり具合を見て察したのかthe bestの意図を正しく受け止めてくれたのか、お兄さんの考える最高の席を選んでくれたらしく、それ以上のことは聞かれませんでした。
ちなみに、発行作業が始まったのを見てどうやら買えそうだぞ!とうきうき現金数えてたら「カード決済しか駄目です」って言われました。バスと言い、本当にキャッシュを使わない国だなオーストラリア…。

という訳で無事チケットを買えました。夢見心地。ひどく現実感がない。なぜこんなところにいるんだろう、昨日は窓のない部屋で(※円安と宿泊費高騰のため)ゴロゴロYoutube見てたのに。ふらふらとチケットカウンターを離れると、オフィスの真ん中に据えられているひとりしか入れないかわいいちっこいカウンターの中におじさんが立っていて、手に持ったパンフレットを値段も言わずに売っています。夢見心地なので買う。…2冊組で30ドル。高くない!?いやいいです!夢見心地だから!!
なお当然このおじさんもカード決済です。彼の手元にあったのがタッチ決済用の端末だったので半泣きで「タッチ決済式のカード持ってません」って訴えたらICチップ式用の差込口もありました。よかった。シドニーに行くならほんとタッチ決済式のカード持ってったほうがいいです。

とりあえずBOX OFFICE内のお手洗いに行ったら、出てきた女性が私の後ろに向かってSo cute!と微笑んだので振り返るととっても小さいベルが黄色いドレスを着ていました。かわいい~。もちろん普段着の人もいるんですが、とっておきのおしゃれをしている人がいっぱいいるんです。なんて素敵なんだろう。私もワンピースくらい着て来たかったんですが、仕事から直行したのでごく普通のオフィスカジュアル+ビジネスバッグでした…まあジャケット着てただけよかった…。
階段のところに飾られていたでっかい写真もビーアワゲスト(外と同じ写真)でテンションが爆上がりしました。ビーアワゲストが目玉扱いされていると嬉しくなってしまう。

お手洗いが済んだらBOX OFFICEを出て正面玄関へ。いや別に中でつながってるんですけど、正面から入りたくて…。
一旦落ち着いて外のポスターを眺めます。ガストン決まってるな…。ガストンが決まってる美女と野獣は絶対に大成功だよ…。

満を持して入場します。
夢みたいだった。内装が。バラがちりばめられていてあまりにも世界観に合っていたので美女と野獣用にこうしたのか?と思ったけどどうやら元からっぽい。カジュアルに食べ物や飲み物を売っているのが、飲食禁止の演奏ホールに慣れている身としては新鮮。
参考:Expediaにいい写真がありました。客席写真もこちら。

客席入口では係員の人が一組ずつチケットを確認しながら、こんにちは、写真や録画は駄目ですよ、あなたの席はここをまっすぐ進んで左側です、というようなことを教えてくれます。中に入ったら肝心の列を示すアルファベットがどこにも見つからず(あとで通路側の座席の側面に書いてあるとわかった)、とはいえオロオロする隙もなく案内係の方がにこやかに誘導してくれました。ホスピタリティ~。1階席のG列だったので前から7列目ですね。さすが(開演20分前時点での)ベストシート。
入口で言い渡されたノーフォトグラフィーの範囲がよくわからなくて客席で写真を撮らなかったんですが、さっきサイトを見たら上演中でなければOKだったっぽい。こちらも引き続き内装がすごかった。天井のあたりに天使がたくさんいたりして。
何しろベストシート一点張りだったので1階席と2階席の指定もしなかったんですが、結果的に1階席の前方でよかったなあと思います。2階席がかなり張り出しているので、1階席後方は天井が多少邪魔になるのではないかな。でも2階席裏側=1階席後方の天井の装飾も凄く美しかったです。

隣にはあとからお父さんと少年ふたりがやってきました。小さな人用のクッションを2段重ねて席に座ったボーイ、赤いスニーカーがたまに私の膝を蹴ってましたが私もがっつり浮かれてるし場に飲まれてるので全然気にならない。むしろ彼が何も気にせずに少しでも作品を楽しんでほしいと願うばかり。右斜め前の男性はパートナーの肩に自然に腕を回している。スナック売りの人が通路を通る。皆で席を埋め尽くして、今か今かと開演を待ち構えている。
まずはまだ客席が明るいうちに、先住民の人々への謝辞と敬意を表するスピーチ(Acknowledgement of Country)が流れます。これは前日の仕事上のイベントでも述べられていたもので、オーストラリアでは近年広く浸透した儀礼なんだそうです。過去に向き合い、誠実であろうとする姿勢をこういうふうに自然に示される文化、とてもいいですね。
客席が暗くなる。舞台手前の低い所から、スコア用のライトの照り返しを浴びて、ぼんやりと指揮者の姿が見えている。つまりオーケストラピットがある!生演奏だ!すごい!ああ、始まってしまう。


当然全編英語ですが、同じシナリオに基づいている四季版を見たばかりなので話の筋はよくわかります。物語冒頭部、「ガストンが撃ち落とした鳥をル・フウがキャッチできず、バタッと地面に落とす」というシーンでみんながどっと笑って、ああ!これが!これが噂に聞いた海外の観劇!と感動してしまった。面白い所では忌憚なく笑い、可哀想なところではため息をつく、その素直なリアクション。

いちいちよかったことを書くときりがないので、大好きなビーアワゲストが始まるところの話だけします。コグスワースから、ベルに夕食を出していいけど、静かにしろ、とくぎを刺されたルミエールの返事。
"Of course, of course. But what is dinner without a little... music?"(もちろんそうするよ、だけど、ちょっとした音楽のない晩さん会なんて――ねえ?)
"MUSIC!?"(音楽!?)
オーケストラがド―――ン!!!
マスクのジム・キャリーみたいな全開笑顔決めポーズのルミエールの背後にラメッラメのピンク色の幕バッサ―――――!!!
観客爆笑!!!
邪魔者をピンクの幕の裏に追い出したルミエールがベルに向かって滔々と語りかけます。あなたをお招きしたことは我々にとって最高の栄誉です、どうかリラックスしてください、as the dining room proudly presents...
"Your dinner."
言葉と同時にぱっと変わる照明。
マスクのジム・キャリーみたいな全開笑顔決めポーズのルミエール(2回目)に観客爆笑(2回目)。
もう、泣いちゃうかと思ったな。明るくて豪華でやさしくて楽しくて。

セットも衣装も、とっても色鮮やかで豪華でかわいらしかったです。コグスワースなんか服(時計部分)メタリックグリーンで髪の毛紫でしたからね!ルミエールも全身まっきんきんですごく燭台でした。バベットもポット夫人もピンク基調で超かわいい。野獣は赤い革ジャケ着ててちょっと仮面ライダー俳優みたいだった。そんな中ベルとガストンだけは「まさにあの」という服装を守っていて、それはそれでとってもよかったです。
現在の日本での上演劇場であるアンフィシアターは舞台が円形に張り出しているので、それに比べると奥行きが少なく、また天井の高さのせいかセットの高度も低く、ダイナミックさには少し欠けるように思いました。背景が書割ではなく映像が駆使されていて、「遠くに見える城」とか「壁一面の本」とかが自在に現れるのは画期的。
明らかに、全然演出が違う、と思ったのは強いぞガストンとビーアワゲストで、そもそも曲の尺も違いました。こちらの方が新演出なのかもしれません。どっちの曲も超よかったです。ガストンの編み物コーナーとか。(あるんですよそういうのが)
ガストンがあまりにもばちばちに仕上がっていて出てくるなり恰好よすぎて笑ってしまった。ガストン、歌がうまくて顔がガストンっぽくて体が仕上がってないとできない物凄い役ですよね…オーストラリアでガストンやってたと言えばヒュー・ジャックマンっていうのがハードルの高さをまざまざと表している…。今回のガストンも、職責を完璧に果たしていました…。
ビーアワゲストの方は、後半にタップダンスパートが入ってたんですよ!!アニメのメイキングで「(曲のクライマックスで)足がないのにキックさせるのが大変だった」と言われていたルミエールが、ついにタップダンスを…燭台なのに…。


休憩時間になるなり真後ろの女性が同伴者に"My favorite character is Lumiere!!"と熱く語っていて完全に同意だった。あと、ずっと空いていた私の左側の席に人がやってきて、ここは空いているのかな、係の人が席を代わっていいって言ってくれたの、と言うのでどうぞどうぞと伝えたりしました。そんな気の利くサービスがあるのか。いい劇場。
隣のボーイはビーアワゲストで発射されたピンクの紙テープを両手いっぱいに収集してたいそうご満悦でした(私も膝に落ちてきたのをもらった)。


後半も見どころはいっぱいあるんですが、物語の最後、ついに思いが通じ合ったベルと野獣のデュエットが終わって人間に戻れた3人の召使がダッシュで舞台に飛び出してくる場面のルミエール(グレーの地毛でひとつむすび)が冗談抜きで爆イケすぎて「ハァ!!?!??!?」と動転するあまり記憶が丸ごと吹き飛びました。に、日本だと人間に戻っても白のモーツァルト鬘なんですよ、それはそれで全ッッッ然かっこいいんですけど…黒上着白手袋でさ…。シドニールミエールは金属製の燭台から人間に戻ってなお「何やそれ!」っていうきんきらきんの謎上着着てるんですけど(そんな召使いる?)、あの、そんなことが全て些細としか思えないくらいあまりにも爆イケで…ちょっとうまく説明できない…。

オリジナル・ブロードウェイ・キャストのサントラにおけるルミエールは相当コメディリリーフ寄りの声をしている(※個人の感想です)ので、ルミエールが格好いい解釈をされているのは日本だけの可能性あるぞ…と思ってたんですけど、シドニールミエールが容赦なく爆イケだったのでこの流れは世界的なものなのだとわかりたいへんよかったです(←全部憶測で言っています)。あの、顔だけじゃ無くてですね、歌い方とか、ふとした瞬間に見せる表情とかがね、いいんですよ、お父さんと引き離されて泣くベルを見て思わず下を向いちゃったりとか、野獣を優しく励ましたりとかね、するんです…。

あと何がびっくりしたってカーテンコールがない(全員で並んで1回挨拶して即終わる)ところですね。あっさりしてるなあ!観客みんなが合間合間でやんやと拍手してるから、別に最後にまとめてやらなくていいのかもしれない。

すぐには帰りがたくてもう一度BOX OFFICEに寄ってお土産を眺め(ティーセットがとても可愛かったけどどう考えても持って帰れない)、徒歩20分の道のりを呆然と歩いて帰りました。今思えば慣れない土地での夜の呆然一人歩きはあまり褒められたものではなかったかもしれないんですが、大通り沿いだったので特に怖いところはありませんでした。スーパーに寄ってヨーグルトを買った(オーストラリアのヨーグルト、基本的にバニラフレーバーでおいしい)。


ホテルの部屋で初めてパンフレットを開いてみる。写真中心の大判本と文字中心の小ぶりな本の2冊組です。写真がいっぱいあって、場面場面を思い出しやすくてとても嬉しい(後半の記憶が吹っ飛んでいるので)。30ドルだけど買ってよかった。
あわよくば歌声も耳に残したいので、サントラ出してくれないかな…。全員本当に歌がうまかったです。ルミエールの話ばっかりしましたけど、観劇中に鳥肌が立ったのは2回ともベルの歌でした(朝の風景リプライズとチェンジインミー)。いやっ…本当に…本当にすごくて…!!野獣も…!!ほんとに…!!何とかならないですか…。


というわけで、人生で一番、WEB広告に感謝した一日でした。根性出して行ってみてよかったなあ。
最後にその映像(広告バージョンはもっとショートだったけど)を貼っておきますのでご覧ください。何度でも言いますがガストンの仕上がりがやばい。

 

今こそジュラシック・パークを見よう!という記事

映画『ジュラシック・パーク』(1993)が公開30周年記念ということで、今年の上半期から記念商品発売やコラボ企画をたくさんやってくれるのでついついトートバッグやキーホルダーやノートを買ったり全作品を見直したりして、改めてジュラシック・パーク…最高ムービー…(絶句)と思ったので、以下そのプレゼンを始めます。
ディープブルーの記事といい、人間パクパクパニックムービーが大好きな人みたいですが別にそういう訳じゃないんです…90年代エンタメが好きなだけで…。
※以下、未視聴の方を想定したプレゼンが始まりますが、魅力を語るためのある程度のネタバレがあります。また、併せてシリーズ他作品の話もします。

<前提の話>

ジュラシック・パークシリーズには、93年から01年にかけて公開された「パーク」3部作と2015年から22年にかけて公開された「ワールド」3部作の計6作が存在します。

ジュラシック・パーク 1993年
・ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク 1997年
ジュラシックパークIII 2001年
   (14年の空白)
ジュラシック・ワールド 2015年
ジュラシック・ワールド/炎の王国 2018年
ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 2022年

ちなみに、私は1作目であるジュラシック・パークを不朽の名作、ロスト・ワールドをマルコム博士ファン専用映画、ジュラシック・パーク3はB級テイストだけど普通に面白い、ジュラシック・ワールド1作目は大健闘の快作、2と3はマジこの野郎…(とはいえ見るべきところもある)と思っています。当たり前ですが個人の意見です。
以下の本稿において、ジュラシック・パークはジュラパ、ジュラシック・ワールドはジュラワと適宜略記します。

ジュラシック・パークのここがすごい!>

・恐竜が出てくる。

何言ってるの?という感じですが…恐竜が…出てくるんですよ…。
「かつていたという恐竜というものを、この目で見てみたい」という素朴な願望を叶えてくれる映画。そう思えるくらい、映像に本当にリアルな質感がある。すごいぞジュラシック・パーク
※なお、この映画は超ざっくり言うとその「恐竜見たいな」願望のせいでどんどん人が死ぬ!っていう作品です。

・愚か者がいない。

パニック映画によく出てくる、全ての足を引っ張る問題児がいない。プロや学者ばかりが集められているので皆良識があってクレバーだし、子供たちもかなり賢いタイプです。本当にグーニーズの監督が撮ったんだろうか。
ちなみにジュラパ3だと逆にパーティにド素人が複数名おり、叫ぶなって言ってるのに叫んだり走るなって言ってるのに走ったりするのでB級度がいや増していますが、なかなかどうして、それはそれで嫌いじゃないんだ…。

・被害がほどよい。

いい人も悪い人も死にますが、生き残った中にもやはり、いい人も悪い人もいます。安易な勧善懲悪じゃないところがいいですね。あと、なんとなく予算規模を感じるくらい登場人物が少ないので被害人数も自然と抑えられています。
ちなみに、ロスト・ワールドだとものすごい善人がものすごい殺され方をするのでちょっとぎょっとする。

・子どもがひどい目に遭う。

許される範囲の限界までやってみよう!というコンセプトでスピルバーグががんばったんかなというくらい子どもがひどい目に遭います。ギークなお姉ちゃんとやんちゃな弟の組み合わせ、序盤は多少キッズ感がありますが前述のとおりきょうだい揃ってかなり賢いので、絶叫しながらもきちんと危機を乗り越えるところが大変好印象。
なお、展開や構成が本作をオマージュしているジュラワ1ではこの枠が男兄弟(16歳と10歳)になるんですが、私はこのお兄ちゃんグレイくんがシリーズ随一の推しです。お母さんには裏で「弟にいじわるする」とか言われてますがとん・でも・ない!思春期なのにてんで興味ないテーマパークに半分子守で送り込まれたお兄ちゃんとしては最大限に弟に付き合ってるし励ますし優しい、グーニーズブレンドに通ずる、洋画界に名を残すべきいい兄です。どうしてジュラワ2と3ではカメオですら出てきてくれなかったんだろう。お兄ちゃん、とこしえに健やかであれ。

・恐竜への愛と畏怖がある。

ヤギの足が飛んだり人の腕が飛んだり成人男性がばっくり丸かぶりされたりする紛れもないパニックムービーであるにもかかわらず、「恐竜ってでっかくてかっこよくてすごいよね」という畏怖が最後の最後まで失われない。エンドロールでも、人間が何人もばりばり食べられた映画の最後とは思えない壮大で美しいテーマ曲がかかります(ジョン・ウィリアムズは天才)。
個人的にジュラワの2と3が全く合わなかったのは、恐竜が『手厚く保護すべき希少で大きめの動物』に成り下がっていて、延々と「恐竜を守ろう!」「心を開いて接すれば意思疎通できる!」「共生の道を!」「殺したら可哀想!」とか言ってるところなんですが、わかるよ、わかる、「恐竜って超怖いよね~」の観点だけじゃ映画を6本も作れないのはわかる、でも私は恐竜にはずっとずっとでっかくてかっこよくてすごくて人間の力ではどうにもできない巨大な災厄のようなものであってほしかったんですよ…。
ジュラパ3部作及びジュラワの1はいずれも愚かな人間が恐竜様の領域に手を出そうとして失敗して必死で逃げ出すという話なわけで、その距離感が、凄く凄くいいと思うんですね…。

・主人公が金に弱い。

主人公であるグラント博士は恐竜を舐めている子供(※パーク内ならともかく単なる発掘現場の見学中なので舐めていてもまったく問題ない)に対して「恐竜は君のはらわたを生きたまま啜る…」などとガチビビらせに走ったりするかなり大人げない人なのですが、渋っていたパーク訪問について大富豪に「発掘資金を援助するから」と言われるなりヤッター!と素直に大喜びするところが凄く好感度が高い。人間素直が一番です。ちなみにジュラパ3でも恐竜島についてきてくれと言われさんざん渋っていたのに「小切手に好きな金額を書いてくれ…」と言われてアッサリなびきます。学習しない!
あと、上記のとおり子供嫌いであるものの、有事の際には全くためらうことなく大人の責任を果たそうと体を張るのでとても安心して見ていられます。主人公が正しくて優しくて頼もしい映画、好き。

・サトラー博士がさっぱりしている。

1作目ではグラント博士と(常時仕事中ということもあり)たぶん…付き合ってる…?という距離感、2作目は出番なし、3作目ではいつの間にか別れていて別の男性と結婚しているものの、グラント博士とも子守をお願いしたり一緒に食事をしたりという良い関係を継続中のサトラー博士。なんだか大人だなあ!いいなあ!
誰よりも判断力と勇気があり、「女性だから危険な目には遭わせられない」などと言われた時にはきちんと怒る、大変頼もしく格好いい女性です。今気づきましたけど、本作品、安易に「子どもを守ること」を女性に押し付けないでグラント博士の担当にしているところにも好感が持てるなあ。

・マルコム博士のセクシー担当ぶりが潔い。

グラント博士とその助手サトラー博士に次ぐ第3の人物であるところのマルコム博士、黒髪サングラスセクシーとして登場し女性の手を撫でまわし良識ある極論を滔々と述べ、いざTレックスが初登場したら子どもを守るために速攻名誉の負傷、その後はずっと倒れているだけで何もしないという「活躍の場のバランスおかしくない!?」という数学者(数学者!?)なのですが、動けなくなってからもシャツの前をはだけて皮肉とセクシーをぶちまく係として画面内でひたすら映えまくるので本当にすごい。4年後に続編ロスト・ワールドの主人公になったのも納得です。皆もっと元気に動くマルコムが見たかったよね。超わかる。
でもロスト・ワールドのマルコムは残念ながら恐竜の恐ろしさを身をもって知るいわば良識担当かつガチの子連れなので、ずっと真面目に焦っていてあんまり皮肉屋の陽キャという感じではないです(ただし彼女はいっぱいいる)。相当終盤まで前もはだけない。飄々とした胸元全開伊達男のマルコムにもう一度会いたい人は、ジュラワの3を観ましょう。

・ティラノがブチ格好いい。

いやもう、本当はこれだけでいいくらいです。ティラノサウルスTレックス)が。ティラノが本当に、格好いい。
ロスト・ワールドの脚本家のデスクには「1作目は恐竜が出てくるまでに時間がかかりすぎでした」というファンレターが貼ってあった(これに反省した脚本家は速攻恐竜が出てくるストーリーにした)らしいんですが、確かに本作の主役恐竜たるティラノが出てくるまでにはかなりの時間がかかります。でもその出るぞ出るぞ感によりいや増す観客の期待に120%答えてくれる恐ろしさとサイズ感と質感を持つティラノが出てくるので、もうなんていうの…アドレナリンが…凄い出ます…。
あまりにも象徴的すぎて多種多様に商品化されている、あのティラノラストカットとか…か、カッコよ…この超かっこいい恐竜がメスだっていうのがまた、何とも言えずいいですよね…。
なお、このアドレナリンをより一層、鍋が焦げ付く限界までドロドロに煮詰めたのがジュラワの1です。劇場で泣きかけました。パーク見てティラノいいなと思った人には絶対見てほしい。
逆にジュラパ3はシリーズで唯一ティラノを噛ませ犬にしている意欲作(その挑戦は買う)なのですが、代わって登場する最強恐竜の顔がファニーという致命的な欠点があります。嫌いじゃないんですけど。(ジュラパ3嫌いじゃない委員会会員)

 

『美女と野獣』のミュージカルと実写とアニメを全部観た日記

※作品の展開や一部の台詞・歌詞に触れています。あと全体の半分くらいは燭台の給仕長ルミエールもしくは劇中歌『Be Our Guest(ビーアワゲスト)』の話をしています。

1.ミュージカル版(劇団四季)を観た話

やられてしまった。
素敵なお誘いを頂いたのをよいことに、『ディズニー作品に触れてはいるがすごく詳しいわけではない人』という程度のふんわりとした知識(子供の頃にひととおり観たが細部の記憶はあやふや、有名曲や名シーンやキャラクター名は知っている)で舞浜アンフィシアターにミュージカル版『美女と野獣』(劇団四季)を観に行って、完全に打ちのめされてしまった。だってアラン・メンケンがあまりにも天才で、劇中歌が全部、本当にいい曲で。だって出てくる人たちが、揃いも揃って歌がうまくて。何より、ルミエールが悪いんです、あの、燭台が!

というわけで、これはうわーすごいなーと無邪気に劇を観ていたら、人間サイズのルミエールがビーアワゲスト(邦題『ひとりぼっちの晩餐会』)を熱唱しながらまだご主人様が満足に会話すらできてない段階のベルと腕組んで踊るわ抱き上げてくるくる回るわしていて「何事!?」と衝撃を受けた私がその勢いのまま実写版を履修・アニメ版を再履しました、というご報告です。いや知ってた、ルミエールという陽気なろうそくのことは小さな頃からとっくに知ってた。フィルハーマジックでもガンガン場を回してたし。でも、あの、等身大になったら急にめちゃくちゃ格好よかったんですよ…歌も上手いし(四季なので)…子供のチップ(ティーカップ)に「かわいい友よ」って対等に呼びかけるのも素敵で…。なお羽根箒の彼女バベットともどもゴリゴリの浮気者です。真実の愛が全てを救う! みたいな話にゴリゴリの浮気者がふたりも挟まってるの面白いな。あと上着が黒いんですよ! パンフレットを凝視するとどうやら厳密には紺っぽいんですけど、舞台上では黒に見える。金の縁取りで。そんなの……格好良いじゃん………。

www.youtube.com

↑まあご覧くださいよくるくる回るところを。あと野獣の美声(後述)を。

本当に、冗談じゃなく、観劇しながら「ベル、野獣の前にルミエールのこと好きになっちゃうんじゃない?」とハラハラしました。だってひどい目に遭って閉じ込められて、ひもじい思いをしてたタイミングで、あんなに明るくあっけらかんと至れり尽くせり優しくされちゃったらさ…。歌も上手いし(2回目)。そりゃルミエールは燭台ですが、そもそもベルは相手を外見で判断しない女性なわけだし。いやいやまあまあ少なくとも劇中で「ご主人様をあんなふうに育てた我々にも責任が」などと言っているくらいだからベルおよび野獣よりはかなり年上だろうしいくら浮気者とはいえそんな女殺しキャラではないだろうとは…思いますけど…へえ…人間に戻ったら白手袋なんだ……好き……。

のっけからルミエールの話しかしてませんが本当にすごい舞台だったんです。特に、野獣の解釈がとてもよかった。誰があのアニメ版から、この幼く素直で反抗期で可哀想な野獣を導き出したのだろうか。パンフレットによればオリジナル版の脚本家の方がブロードウェイ版向けの改稿も手掛けられたそうですが、このキャラクター造形には脚本だけではなく翻訳や演技も大いに関わっていると感じます。どうして執拗に夕食に誘うのかをベルに問われた時の返事として、「君と一緒に食事をしたいからだ!!(毅然)」と「い、一緒にっ…食べたいからっ…だ~!(地団太)」じゃあ全然違うじゃないですか。少なくとも私が観た回の野獣は後者だったんです(台詞はあやふやなので、ニュアンスでとらえてください)。オリジナルとは別物だけれども、それがものすごく、よかった。
何しろこんな感じで途中からは「どうしようどうしよう!」といちいちルミエールとコグスワース(時計の執事長)に頼りまくるため、使用人たちもご主人様に対してどんどん強気になるので観客側にストレスがなくて助かる。ずっと怒鳴り散らしのDVモードだと見ていて疲れますからね。使用人全員総出でビーアワゲスト大宴会してる時に「紳士的に…紳士的にだ…」と呟きながらひとりで廊下を一生懸命うろうろしているところなんて、あんまり必死で、可哀想で。
そんな可愛い系野獣ですがとんでもなく歌がうまい。前半の締めとして歌われるミュージカルオリジナルの彼の歌に至っては、声量がもう、アンフィシアターを包み込んでいました。歌って、凄い。まずそもそもが美声。地声にビブラートかかってるタイプの人。すごい。何あの声。オープニングのナレーションからもううっとり。ベルもまーーーー本当に歌がうまかったです(歌がうまい人を称える語彙が「歌がうまい」しかないんですけどどうしたらいいんですか!?)。やはり追加楽曲であるところのベルのソロ曲が、「ベル、あんなに広い世界見たがってたのに結局近所で結婚して終わる問題」をきちんとカバーしていてよかった。
あとはガストンが心底ガストンで……『強いぞガストン』のとき、村の男性からの人気がすごく高くていっそ悲しくなりました。これだけ好かれるんだから、我々に見えていないだけでガストンにはガストンなりの長所があったんだと思うんですよ、もっと多様な価値観のある村に生まれればよかったのに……。あとル・フウのアクロバットスキルがカンストしていた……あと大団円のフィナーレの曲が終わるところでルミエールとコグスワースがビッ!!って親指立てててすげーかわいかったです……。私の記憶力と感想力が低いせいで感動が伝わらなくてもどかしい……。

ある意味当然のことながら、おおもとが90年代初頭の作品だということもあって、手放しで何もかも素晴らしいと言えるかといえばそうじゃないところもあるわけです。外見だけ重視することと内面だけ重視することは、後者のほうが常に素晴らしいって決めつけてよいわけ? とか、さすがに現代において「傲慢さを反省してきちんとしたいい人間になれば自ずと恋愛的に誰かに愛され、それではじめて人として合格」みたいな価値観はいかがなもんかとか、そもそも長年にわたってあんなに一生懸命仕えていた使用人たちの野獣への愛情は「愛し愛されれば解ける」はずの呪いにおいてノーカンなうえ野獣本人のことも全然変えられていないってどういうことなのとか、色々思うところはあります。

つまるところディズニー版『美女と野獣』という物語は、ひとことで言ってしまえば「罪のない女の子をとじこめて自分(ご主人様)に恋してくれないかな~!と期待する」という全然正しくない話である一方で、切羽詰まった状況で、不完全な人たちが不完全なりにどうにかして人に親切にしようとしたり、よい人間になろうとしたりして頑張るというところが、個人的に妙に胸に迫りました。ここでいう不完全というのはもちろん人間の形ではないという意味ではなく、「生い立ちと状況からひねくれ過ぎてしまい、怒鳴るばかりで他者とまともに会話ができない」とか「善良だがご主人様が怖すぎて逆らえないしやっぱり呪いは解きたい」とかで、そういう人たちがベルの登場によって、何とか状況を改善するべく必死で癇癪を堪えたり怖いご主人様をばんばん叱るようになったり一生懸命誰かを庇ったりすること、愚かで自分勝手で間違っていて、それでも優しさや親切さを最後まで手放さずに持っているということの人間臭さ、そういうものが何だか、すごくぐっとくるな…と思ったのでした。
(でも実際に怒鳴りまくる人に監禁されたら、すぐに逃げたほうがいいと思います)

正直言って、気に入った作品を所有して安心するタイプ、何度も何度も再生して細部をねちねち見て楽しむタイプの人間が基本的に映像販売・配信されない劇団四季作品を好きになるのってかなりしんどいですね!!! もうすでに全然しんどい。夜な夜な観たい。
私は今は首都圏在住ですが、しばらくしたらかなりの遠方に引っ越すので絶対に観られなくなってしまいます。でも観劇を作品鑑賞の基本としてほしいという気持ちも凄くわかりますし、そもそもディズニー題材だから権利の関係とかもあることは大いに想像が付きます。でもつらいものはつらい。ひーん。よしわかった。実写とアニメを観よう!!! あとサントラを聴きます!!!(切り替え)

余談:ティーカップのチップくんをお母さんのミセス・ポットが運搬するシーン、基本的にカートなんですが1か所だけお盆に乗った生首にしか見えないサロメシーンがあって、怖すぎて気が散りました。

2.実写版を観た話

というわけで実写版を観ました。
まずびっくりしたこと→ ルミエールがかなり人間フォルムだった。

実写版は家具や道具たちもアニメ版に比べてかなりリアルテイスト、そのためたとえばポット夫人の顔はティーポット側面に描かれた柄の一部であり、表情も変わるしウィンクもしますが、立体的に口がパクパク動いたりはしません。あくまで柄。コグスワースに至ってはどこが顔なのかパッと見でわからないくらいガチの置き時計。そんな中なぜかルミエールだけはほぼほぼ人間と同じ構成の全身をゲットしています。顔もロウソク側ではなく燭台側に付いてるし金物のはずなのにやたらひらひらする上着も着てるし二足歩行(どころじゃないアクロバット)も可能! えっずるくない? ひとりだけ物質化のルール違くない? 他の使用人に文句言われなかった?? あとは声がユアンマクレガーだからか何なのか、アニメ版やミュージカル版(※私の観た回)に比べてめちゃくちゃ若くて軽くて声からお調子者感がにじみ出ているほか、予想の倍くらいご主人様の言うことを聞かない。勝手にダイニングにベルの夕食をセットしたときも野獣が反射的に「ルミエール!!!(激怒)」と怒鳴ってたので、勝手なことをするやつ=ルミエールだとご主人様にも思われているんだと思う。

ルミエールがユアンならコグスワースはサーイアンマッケランだ!というわけでサーイアンマッケランコグスワースもいます。リアルテイスト化によりアニメで見せていた表情の豊かさがなく機動力も激減している代わり、よく歯車とかこぼしていてかわいい。
オリジナルのアニメ版だとコグスワースとルミエールは同じくらいの年のおじさんで性格だけ逆、という感じだったと思うんですが、本作ではコグスワースのかわいい系おじいちゃん的なドジっ子ぶりが加速&前述のとおりルミエールが若さを感じる多弁無邪気めプレイボーイに設定されていて、そういう全然違う二人が仲良くつるんでいるのがとても可愛いですね…チェスとかしてるし…。さすがに年の差があるからか、このルミエールとコグスワースは相手をフランベしたり取っ組み合いの喧嘩したりはしなさそう。それで人間に戻ったらサーイアンマッケランとユアンマクレガーの顔してるからほんと勘弁してくれよって感じですよ(外見を加点要素にしてしまう愚かな人間)。

物語の終盤に追加された、呪いの時間切れによりついに使用人たちが調度品そのものに変わってしまうシーンで、ルミエールの恋人が早々に意識を失ったのをいいことに(?)コグスワースとルミエールがふたりきりでそっと交わす別れの挨拶がとても切ない。
なお、その後呪いが解けて人間に戻ったときもまずはふたりで微笑み合います! 仲がいい! ありがとう! あとビーアワゲストでやり過ぎて落下したルミエールをもたもたコグスワースが起こしてあげるのも大変よかったです。ありがとう! おじさんたちが仲良くしてるのって最高だね!!

あと特筆すべきは無口なコート掛けシャポー氏(イントネーションはシャ↓ポー↑)、コートも掛けられるしお皿も拭けるし小さき存在たちをこまこまと机に載せてくれるし給仕もできるしバイオリンも弾けるうえボクシングも強いという逸材です。使用人たちの中では貴重なんでしょうね、人間サイズかつ機動力のある存在(他の大きめメンバーはキッチンそのものとかハープシコードとか洋服ダンスとかなので…)。アラジンの絨毯的なしゃべらない良さ。

実写版は、一見明るく振る舞っている使用人たちが実は全員死のタイムリミットを抱えているという点でオリジナル版よりエモが増されている印象です。そもそもあの呪い、バラが散るまでに王子が愛し愛されなかった場合はその姿が永遠にキープされるという呪いであって、少なくともアニメ版では「使用人たちが全員実質的に死ぬ」という話ではなかったような気がする(実際に最後の花びらが散ったあとも、しょんぼりしてるだけで生きている)。野獣以外の全員が実質的に死ぬ呪いだとすると、ベルを家に帰してしまったことの重みがかなり変わってくるなと思いましたね…。そういえばミュージカル版も「昨日までなかったネジがある」「だんだん道具に近づく」等と言っていたので、この実写版の方の設定に近いのかもしれません。

あとは終盤の戦闘シーンが熱い。ミュージカル版では一切描写されない(ので、観たときは「あの殺意に燃えた村人たちはどこへ…?」と呆然とした)調度品VS人間の大バトルを、実写ではかなりの長尺かつホーム・アローンくらいの楽しさでお届け。ハープシコードであるところのマエストロが鍵盤ぶっとばして戦うところなんか最高ですよ。そのあと人間に戻ったら歯がなくなってて可哀想でした。歯を飛ばして戦ってる感覚だったの??

3.アニメ版に戻ってきた話

ここまできたら改めてアニメ版もじっくり観直すべきでしょうと思い、20年ぶりくらいに観てみてびっくり。面白い。絵が凄い。話がきちんとまとまっている(オリジナル版84分)。全体的に展開が早い(IMAX版でも92分)!!

やっぱり表情と動きが豊かっていうのはものすごい武器だと思いました。特に使用人3人衆(ルミエール・コグスワース・ポット夫人)。無機物をあくまで無機物らしく描写したのが実写版なら、限界まで有機物らしく、いきいきとさせたのがアニメ版。観ていて楽しいのがどちらかと言えば、明らかに後者のほうが楽しい。ポット夫人が顔パーツしかないのにあんなに生き生きとワゴンの上で躍動できるのはアニメだけに許された嘘というか誇張というか、表現の幅の広さがあるからですね。あと、野獣ね! 野獣! 野獣のビジュはどうあがいてもアニメがナンバーワン! 凄い。芸術。完成されてる。最高のキャラデザ。マントのはためきのぬめりも美しい。

ところで、ベルのお父さんに弄ばれるコグスワースを見て口元に手を当ててくすくす笑うルミエール、可愛すぎません…? 3回巻き戻して見たけど…(←すぐこういうことをするので、本当に手元に映像がほしい)。

VS村人決戦シーンのさ~コグスワースがルミエール助けるとこすごくいいですよね、いや子供の頃はごくごくさらりと見てましたけど大人になるととてもいい、直後にルミエールも自分の彼女助けてるけど、言葉にしない感謝のシーン(両頬への丁寧なヴェーゼ)があるのはルミエール→コグスワースだけだしコグスワースは照れもせずただただ全力でうっとうしがっててね……。
如才なく万事を切り抜けまくり、相方をろうそくでちりちり熱しまくりだったルミエールを小心者かつ天性のドジっ子コグスワースがこんなにスマートに助けて何も恩に着せないこと、そして普段あれほどぺらぺらよく喋る口先フランス男のルミエールがありがとうのひとことも言わずにただただ黙ってニコニコしているところがさあ…最高のシーン……。
なおネットで見た情報によれば、ルミエールの大ピンチをコグスワースが救出する激熱シーンは実写版にもあったもののカットになったらしいです。意味がわからない。何でそんな大事なところカットしたの!?

みんなが大好きな名曲『朝の風景』の、ベルの「もっと夢がほしいの」のところでカメラがぐりーーっと回るところ、息を飲みます。凄いものを見た!と思う。もちろんビーアワゲストでも思うし何よりやっぱりダンスシーンで思う。おずおずと~ふれあうわ~指と指~~~~。
カメラワークの概念は基本的には舞台にはないし(※セットの回転とかはある)、リアリティを超越した表情の概念は実写版には難しい、媒体により強みって全然違うんだなあ…と心から実感しました。いやすごい。DVD買おう。

4.ビーアワゲストが大好きなんだよという話

ミュージカル版・実写版・アニメ版のどれにおいても物語中盤でおっぱじまる祝祭こと『ビーアワゲスト』、個人的な『美女と野獣』の好きなところ(歌とキャラデザと使用人たちの善良なおもてなしと調度品がいっぱい動いて楽しいところ)のエッセンスを凝縮した一曲です。
この使用人総出の壮大なパーティが彼らの純粋な優しさから開かれているのかと言えば、全員どこかには「この子が楽しく過ごしてくれれば、ゆくゆくはご主人様に恋して自分たちの呪いを解いてくれるかもしれない」という下心がなくはないはずなんですが、それだけにしては完全にやり過ぎ、シャンパンあきすぎ、料理作りすぎ、歌歌いすぎ。
本来はおもてなしが大好きだったのに、不幸にも呪いにかけられてしまった使用人たちが、10年間待ちに待ちに待ちに待っていたたったひとりのお客様をついつい過剰に大歓迎してしまうという明るさと健気さがすごくいい。だって"Why, we only live to serve"(奉仕こそが我々の人生)で"It's been years since we've had anybody here"(もう何年もどなたもいらっしゃらなかった)なんですから。唯一毎日食事してくれる王子様、牛乳がけオートミールを顔で食べるんだから。そりゃあね…嬉しいよね……。

ここで、各種映像やサントラで手当たり次第にビーアワゲストを聞きまくってみた私のお気に入りビーアワゲストポイントを書いておきます。特記のない場合はルミエールの歌か台詞です。

○アニメ版(原語ver.)

"Oui, our guest"
ルミエールのフランス訛りをちっとも受信できない自らの英語力が憎いのですが、ここの「ウイ」は実にフランス的でとてもよい。いい笑顔だし。ちなみにしばらくWeに空耳していてどういうことだろうと思っていた。

ポット夫人の "She's our guest!"
どういう鍛練を積めば、歌声に喜びの感情をこれほどの特盛りで載せられるのか……と思っていたら、ちょうどこの部分のレコーディング映像がありました(7秒目くらいから)。なんて可愛い方なんだろう、アンジェラ・ランズベリー

www.youtube.com

○アニメ版(吹替ver.)

前口上「お城のキッチンが腕によりをかけました!」
「キッチン」のちいさいツが限りなく短い(「キチン」に近い)ところの品のよさ
と、「た!」のところにみなぎるサービスへの自信。
ちなみに実写版の歌詞は全部新訳なんですが、このあたりの口上だけは丸々アニメ版のまま残っていて、エモいじゃん…と思いました。

「フランス料理はさいこォ~、さ」
「さ」の添え方に光る表現力の高さよ…。

ポット夫人の「お客~さまよ!嬉しいことね!」
原語版に引き続き、嬉しそう過ぎて最高。

どうやら本作の日本語版サントラは再録らしく、上記の映画バージョンとは音源が違い、例えばルミエールのプリンに~!ソルベ~!のあたりがサントラだと巻き舌になります。2バージョンも聞けるなんて贅沢。

○ミュージカル版のサントラ(1996年ver.)

「ごちそうですよ」
き、給仕長感が…かっこいい…。

「太ってなまけて、そこへ、あなたが」
この音源に限らず、どのバージョンでも、上記「太って…」の部分(原語だとFlabby, fat, and lazy, you walked in and oops-a-daisy!)は全部好き。

ポット夫人の「神様ありがと 輝く夜を」
歌詞の語呂がものすごくいい。あと単純に歌が超うまい。

コーラス部「今宵楽しく、思い残さず」
急にせつないこと言わないでよ! 絶対またできるよ!

四季のサントラは2023年版もあります。96年のルミエールは大人の雰囲気漂うダンディ、23年のルミエールはすごく若い。私は96年版がお気に入り。ビーアワゲストに限らず全体の歌唱力がえぐい。

○実写版(吹替ver.)

「そう、フランスですからねぇ笑」 
歌詞にはないが明らかに「笑」がついている。フランスプライドがエッフェル塔級なところがよく出ている。

「これはもう料理の、ギャラリー…(掠れ声)」
これ原語だと「キャバレー…(掠れ声)」なんですが、この別単語で語調を合わせる感じ好きだなあ。フレンドライクミーの「アリトルモアバグラバ~♪」が「お手元にドゥビドゥバッバ~♪」になってたのと同じ良さを感じる。

コーラス部「お客様がようやくみえた 久しぶりのおもてなしがんばろう!」
かわいすぎるでしょ。がんばれ!

○実写版(原語ver.)

「マシェールマッマゼール……」
冒頭部。あまりにもセクシーでユアンいい加減にしろよと心底思った。

プディング?」
一番最後。あまりにもかわいくて(略)何でここまでサントラに入れてくれなかったんですか!?

実写版、歌の最中にあまりにもベルがご飯食べられない(おもてなしの本末が転倒している)ので最後激怒したらどうしようかと思いました。笑ってくれてよかった。ルミエールが過去を嘆くシーン(雪の演出つき)とか完全にお客様の死角で何も見えてないですからね。なお、ろうそくなのにびっしゃびしゃになって雨に唄えばパロまでやります。

5.総括

ルミエールが好きです……。

感想を書けば書くほど、自分がベルと野獣の恋愛模様にはさほど興味がなく(それぞれのキャラクターはとても好き)、そのくせルミエールとコグスワースのひねくれ友情物語とかご主人様と使用人たちの関係性の地道な成長とかにはぶち上がるタイプだとわかりました。あと、最初の方にも書きましたが、不条理や困難を舐めてきた人たちがそれでも思いやりや優しさが物事を解決すると信じて頑張って善くあろうとする様が好きです。これ、ものすごく大雑把に言えばズートピアとかベイブを好きになったのと同じやつだな…。

どの作品もそれぞれにいいところがあるけれど、突然沼った原因はミュージカル版を見たからだと思うので、舞浜へのアクセスのよい方には是非おすすめします。生の歌唱や演技の力ってとてつもない。キャストの方も交代制なので私が衝撃を受けた回とは印象や演技が違うケースも多々あるかとは思いますが、それはそれで、きっと全部すごいのでしょう。絶対そう。でも最初に出会ったキャストのひとを永劫推してしまう予感もすごくしている。私にはそういうところがある。いずれにせよ引っ越し前に絶対にまた行きたい。

 

おまけ1:Human Again(人間に戻りたい)について

ミュージカル版でとても耳に残った曲『Human Again』、アニメ版でもIMAX版作成時に追加されており、ブルーレイ等で観られます。曲調がかわいらしいし使用人たちに芽生えた明るく前向きな気持ちがしみじみと織り込まれていて、どちらのバージョンもすごく好きです(本来自由であるべき他人の恋心に熱烈に期待することの不健全性はこの際置いておく)。

使用人一同のコーラス 吹替版:
また踊ろう また歌おう!
皆で楽しくね
また人間に 戻れるなら
ワルツを踊ろうね
ウキウキして コロコロして
遊びまわろうね
また人間に 戻れるなら

何だろうこの、10年もつらい思いをしてきたはずの人たちの、何の恨みもない、素直で無邪気で期待に満ちた歌詞は……(泣いている)。メロディもね、かわいいんです…メンケンが天才なので…。

ちなみに冒頭のソロ部分ではルミエールが「人間に戻れたら両腕に美人を抱く」と堂々と宣言しており、ポット夫人がそれに当たり前のように「一部の夫たちは心配するでしょうね~」などと返していた(原語歌詞)ので、総合するとルミエールが同時に複数名に、且つ人妻でも気にせず手を出すタイプのハイレベル浮気者だとわかる曲でした。いいのか。ディズニーなのに。まあいいか。いいの? なおこのやりとりを目の前にしても羽根箒の彼女は全然ニコニコしてたので、なるほどつまりルミエールと羽箒の子はイチャイチャフレンドではあるものの交際関係ではないのか……と思う私(※おまけ2への伏線)。
でもそんなルミエールが、人間に戻れたらやりたいこととして一番最初に言うのが「お料理」だっていうのが何だか、しみじみといいですね(その後は全部女遊びの話してるんですけど)。

おまけ2:アニメ版の続編・続々編を観た話

見られる限りのものは完走してやるぜ!と思って、つい先日続編と続々編(いずれも映画ではなくホームビデオ)をTSUTAYAで借りてきました!
見ました!
激怒!!!!☆


激怒は嘘ですが、ちょっとおもろいくらい解釈違いを起こしたうえ展開が耐えられなくて30秒スキップとか駆使しちゃったよね。すみません。いやでも。何でこんな。いやいや。うーん!

特に、続々編(3作目)にある「使用人たちが個々に仲たがいを繰り返した結果パーティの準備が全然できずベルにたしなめられる」という展開がもうびっくりするほど「これ作った人たちビーアワゲストちゃんと観ました!!?!??!」って感じ!で!私は!!(ビーアワゲストの強火担)
この城の人たちがどれほどおもてなしのプロフェッショナルでどれだけパーティに飢えていて有能で統制が取れていて、夜中にお腹がすいてこっそりやってきたベルに10年のブランク&準備時間ゼロにもかかわらず最高のおもてなしをしていたか覚えていらっしゃらない!!?!??(強火担)
確かに彼らは見た目はちっちゃくておもちゃみたいですけど、もとは、もとはというか今も本当は年齢を重ねた人間で、ベルは聡明で強くて恐ろしい野獣にもちゃんと意見を言える自立した女性だけれどもそれでも16歳の娘さんで、お父さんを守ろうとした結果孤立無援になってしまった彼女に寂しくて怖かったでしょうでも大丈夫ですよ我々があなたを歓迎しますよ、ほら元気を出してくださいねっていう、大人たちの優しさと過剰なおもてなし心の暴走だったじゃないですか、ビーアワゲストは…そんな彼らが…ベルの助けがなければケーキのひとつも焼けないわけ…ないだろうが…!!!
続編によくある、個々の特徴をコミカルに誇張した結果登場人物が軒並み賢くなくなって主人公が無双になるやつ~わかるけど~強火じゃないときはまあよくあるよねって許せるんだけど~~。

ベルが城に来た後・舞踏会の前という超限定的な期間にねじこまないと全員のビジュアルが人間に戻ってしまうので仕方ない(なお本編では当該期間はほとんどないので、続編と続々編はどちらもIFストーリー的に見るべきなんだと思う)んですが、結果として野獣は性格に難があるままなのでとても感じが悪いし基本的に「野獣が癇癪を起こしてみんなで沈む」「使用人たちが勘違いですれ違う」「使用人たちが大喧嘩する」のいずれかの話しかないので見ていて疲れます☆★☆ でもルミエールがコグスワースでスノボするところ(!)はめちゃくちゃすぎて逆に良かった。
※ベルのお父さんが再び森に入ったのはベルが人質になった日の夜中で、ベルは彼(吹雪で迷ってるけどまだ存命)を助けるために城から帰されるわけなので、お城にいた期間は実質足掛け2日からせいぜい3日くらいっぽい。


まあ他にも解釈違いポイントはめちゃめちゃある(Human Againをあんなにニコニコ聞いていた羽根箒の彼女がルミエールへの独占欲を突然剥き出しにするはずないだろ!とか ←伏線回収)(君たち使用人なのに、スプーンもまともに使えない王子様に徹夜で屋根の雨漏りの修理させてるの!?とか)(あるんですよ…そういうシーンが…)んですけど、まああくまでIFストーリーなので目くじら立てても仕方ないということはわかる…ベル相変わらず歌うまいな! とかジェリー・オーバックの声が聞けて嬉しいな! とか調度品たちがいきいきちょこまかと動く様は楽しいな! とかチップの声がハーレイ・ジョエル・オスメント君でびっくり! とか、そういう観点でエンジョイすべき作品なんだと思います。というか、ビーアワゲストの強火担じゃない人(もしくは使用人たちの優秀さに変にこだわってない人)なら全然楽しく観られるのかもしれない…。
あとは、オリジナルストーリー追加により結果的にベルとの出会いから改心までの期間が引き延ばされることによって、本編では一晩で人間性を取り戻していた野獣に対して「この人なかなか更生しないしベルに何度も酷いことをするなあ!」と思ってしまうのがちょっと可哀想でした。

でもなんとか冷静さを取り戻してみると、続々編はともかく続編の方はまだよかったかもしれない。主題歌がいい曲だし、悪役(パイプオルガン)の声が壤晴彦で超格好良いし。
あと、クリスマスプディングにカスタードは入れる?と聞かれたルミエールが「我々を野蛮人だとでも? もちろん入れる」って言っててほんとにフランスプライドの悪いところがよく出てていいなと思いました。いやでもそもそも君たちって食事できるの? どう考えてもモップやお皿やはさみは無理だろうから口のある皆さんもたぶん食べられないのでは? 実写版でも「味はわからない」って言ってたし。ほーらこうやってすぐ整合性を気にする厄介オタクはやっぱりゆるふわめな続編の視聴には向いていないんだよ!もう!!

ほしとんでの隼先輩を推していますという記事

※タイトルのとおり、以降『ほしとんで』の隼先輩が最高すぎるんだよなという話しかしませんのでどうぞよろしくお願いします。

皆さんご存じの俳句ゼミ漫画『ほしとんで』、文学部出身の私としては心臓をかきむしられるくらいの学術的空間への郷愁と「あの時もっと真剣に勉強しておけばよかったなァ」という後悔をかき立てられるとんでもなく良い漫画なのですが、それに出てくる隼(じゅん)先輩がとても素晴らしいので、私の考える彼の素晴らしポイントを以下に列記します。この記事は私の「なんなんこの人!?」というエモーションの吐け口ですが、あわよくば、既読の方の共感と、未読の方の興味を得られれば幸いです。

 

①口調が変

主人公流星くんの所属している、1年生のみで構成されたゆったりのほほん俳句ゼミに2巻で突如乱入してくる高圧的で口調がきつくて普通に怖いひとつ上の先輩、それが隼先輩です。いや文学部にこんな怖い人いるかな!?と思いますが、単に私のいた文学部がのほほん空間すぎたのでそう思うだけかもしれない。別に私は隼先輩の高圧的なところを最高!とは思わないんですけど(普通に怖いから)、メタ的で嫌な見方をしたら彼の存在にはおそらく「俳句のこんなことも知らないで授業進めるの?」みたいな攻撃的知識人層の読者(?)の矛先を逸らす目的があり、そのためかとにかく勢いがいいので、江戸っ子なんだかなんなんだかよくわからん口調なのである。「そんな寝言ほざいたなァどちらさんかな!?」とか言いますからね。いややっぱりこんな人いなくない!?

しかし記念すべき初登場一発目の台詞が「こんにちは」であることからもおわかりのとおり、隼先輩は挨拶がちゃんとできます。あと後輩を「君ら」って言ったりする(けど「お前」とも言う)。そしてこのキャラとこの強めテンションなのに立ち位置がツッコミ寄り。

ところで私の中の隼先輩ベスト台詞は、自分の同期とのゼミの際に、遠隔参加の人と通話しているスマホがめちゃくちゃ絢爛で宗教色の強いスマホスタンドに置かれているのを見たときの「死んじゃったみてーになってんじゃんよォ」です。「死んじゃった」ってなんだよ可愛いな。同期といるときの、ビビられておらずむしろちょっとディスられてる普通に大学生ぽい隼先輩、すごく良いんですよね…

②好きなものが好きであることに躊躇がない

読んでいるこっちがちょっと引くくらいゼミの先生である坂本先生に心底ほれ込んでいる俳句大好き隼先輩はその「好き」の表明にまったく躊躇いがありません。先生に会えば一番弟子にしてください!と毎回断られているのに突撃するし、自分の句を作中何度褒められても一度も照れず、常に堂々としている。私は重度の共感性羞恥持ちなので照れない人に弱いんです…(個人的事情…)いやでも格好いいでしょうこのスタンス…

隼先輩本人の「つーか好きなら堂々と言えや 感情をためらうなよ」という台詞が最も端的にこのありかたを示しています。名台詞過ぎませんか。待ち受けにしたい。ちなみにこれだけ読むとコイバナの最中みたいですが句会での発言なので俳句の話です。

②字がきれい

句会シーンではっきり書き文字が示されている(読者はそれだけで「へー隼先輩って字が上手いんだー」ってちゃんとわかる)のに、わざわざ台詞でも「ねえ見てちょうだい隼先輩の達筆さ」と念を押されるほどのきれいぶり。挨拶100点ぶりといい字といい何なのか。

③左利きである

左利きなんですよ!!!私左利きの人大好き!!!

④バンドやってる

服選ぶのがめんどくさくて年がら年中スーツ着てる頭もさもさで俳句がうまくてゼミの先生にぞっこんLOVEの文学青年隼先輩ですがバンドをやっています。推定ボーカル。何それ!?

外見ソースのひとつとしてまず間違いなくエレカシ宮本さんの影響が見られる隼先輩ですが、バンド名「クラーケン・イン・ザ・シティ」の方はブランキージェットシティのオマージュではないかと思います。大学生バンドで本人写真の宣伝ポスター(しかも隼先輩がピンで真ん中に突っ立っているだけ)作ってるのってなかなかじゃないですか…?

チケットは凄い余ってるっぽいんですけど、坂本先生が聴きに行くくらいなので聴くに堪えないとかそういう感じではないのではないかと推察されます(しかし演奏シーンは一切ないので推察の域を出ません)。俳句と字と歌が上手いの…?何それ…?絶対作詞もしてるじゃん…

⑤乳幼児と交流する

1年生ゼミが真夏の鎌倉に初の吟行に行く際、ゼミ生みどりさんの子どもひばりさんの運搬要員として登場した隼先輩ですが、この吟行の最中、ひばりさんの帽子を取って頭を風に当ててあげているシーン(台詞なしコマ)があります。尊。純粋に尊。

隼先輩、結局最後までひばりさんにデレデレしたりしないんですが(「何かが芽生えかけたわ」という発言止まり)、乳児~幼児期ゆえの無邪気さでちょっかいかけてくるひばりさんに「見ないでよォ」とか「ちぎっていいョ」とか普通の感じで話すのが可愛いなって思うんですよね…はたちすぎ(推定)と小さい子の交流…かわい…

あと最終巻における最終登場コマ(除くおまけページ)で、ほぼ画面外ですが、寝起きのひばりさんとちゃんと手を振ってバイバイしています。かわいいかよ!!!

 

隼先輩のこと抜きでも(いや抜きようがないんですけど)本当に面白い漫画ですので、お勧めします、『ほしとんで』。わりと似た感じのゼミにいたんですが、もう一度こういう空間に行きたいなあと読むたびに思います。
いやでもこんな綺麗にまとめようとしている場合じゃない、何はさておき隼先輩なんですよ。ほんとに好き。隼先輩永遠なれ。