月刊パラレログラム

月刊パラレログラム

備忘録を兼ねて、映画の感想など。

『マレフィセント』を観た日記

※最初から最後までネタバレしかしてません。

マレフィセント』(2014)を観て、世の中にこんなに楽しい仕事してる人がいるのかよと思いました。
私だって、大人になって改めて『眠れる森の美女』(1959)の冒頭部を観たときに「いやこんな扱いをされたらそりゃ怒るよ。マレフィセント様が何したって言うの?」って思いましたよ。思いました。
でもこの映画を作った人たちはそこから、じゃああのマレフィセントが本当は優しい人でオーロラのことをずっとツンデレ気味に見守ってたって設定にしてさ~、3人の妖精は傲慢な役立たずで王様はダメ男の煮こごりみたいな人にして~あとお妃様は話の都合で画面外で葬っちゃってさ~マレフィセント様のめっちゃかっこいい飛行シーンと無双シーンも山盛りにして~最後は尊い母子愛で〆てアニメでは死んじゃってたマレフィセント様のこともうーんと幸せにしてもちろんカラスも死ななくて、あとずっとミュージカルのかけらもない進行をしておきながらエンドロールでだけ突然メロウな『いつか夢で』かけたら超エモくない!? って思いついて盛り上がって作品にしたってことでしょ?(そうかな?)あっ主演アンジェリーナ・ジョリーで!って言って実現したってことでしょ?すごくない??

なんかこういう、身も蓋もない言い方をすると強欲な二次創作みたいな映画観るとめっちゃ嬉しくなってしまいますね。夢がてんこもりで。
最強で悲しい過去があってその結果ツンデレだけど愛情深くてほだされてしまうクールな女王様が嫌いな人なんているんでしょうか。いるかもしれない、いるかもしれないが、少なくともほだされる人が大好きな私は存分に楽しみました…。

余韻に浸りながら情報調べたら脚本リンダ・ウールヴァートンじゃないですか~やだ~!!マジで嘘くさいですけど本当に今初めて知りました(※リンダ・ウールヴァートンは私がこの半年どハマりしてる美女と野獣ミュージカル版及びアニメ版の脚本家です)。私リンダ・ウールヴァートンの書く素直じゃない人と人間の善性と疑似家族が大好きだよ~!!

他に好きだったところ:美麗で高貴なマレフィセント様のいたずらと笑いのツボがほぼ小学生なところ。浮かばされてついてくるフィリップ王子がディズニーランドの風船みたいで常にシュールなところ。97分で収まっているところ。「指が膿んで腫れたので針を探す」という、糸車に触れてしまう極めてまっとうな理由付けがされているところ。

3妖精の名前がアニメ版と違うのは、流石に良心がとがめたんでしょうか。だとしたらステファン王も変えてあげた方がよくない!?

 

 

(追記)

後日マレフィセント2も観たので、以下感想を追記します。こちらも完全にネタバレしています。


そう…そうくるか……!
そもそも前作自体がオマージュ元を大胆に改変した作品なので、その続編ともなれば乖離はさらに激しく、もはや『眠れる森の美女』のことはいったん全部忘れようか!というレベルに達しています。とはいえこの違和感の原因は、『眠れる森』からの乖離というより前作との乖離が問題なのではないかな。

前作の肝&エモって、

・恋愛感情も血の繋がりもなく、種族も違うマレフィセントとオーロラの間に真実の愛が生まれる
・オーロラが「16歳になったらおばさんたちとの家を出てあなたと住むの」と自分で決めて、最終的には王子様の助けも実家のバックアップも受けずに妖精たちの女王(×プリンセス)になる

というところにあったと思うのですが、対して今回のラストは、

・オーロラは王子様と結婚し、アッサリ人間の国のほうにある立派なお城にお嫁さんとして移り住む(一つの国になるとはいえ)
マレフィセントは同族をいっぱい見つけ、そっちで楽しくやっていく

……親離れはまだわかるんだけど結局お互い同族でまとまるの!?っていう。台無しじゃない!?まあポスター画像を見たときには「マレフィセントに同族の彼氏(コナル)ができる」という話だったらマジでどうしようと思ってたので、そうはならなくてよかったです。マレフィセント様にはディアヴァルとのほのぼのボケツッコミコンビで末永く隠居生活をしていってほしいですね…。

それにしても続編あるあるであるところの「主人公を立てるあまりサブキャラが全員無能になる」に巻き込まれた結果、オーロラ姫の株の下がり方がものすごい。少なくともフィリップのお母さんが「あーら鉄のカトラリーがダメなのね!どうぞ手で食べて(嘲笑)」とか言い出した時点でオーロラか王様かフィリップがもっと怒らないとおかしくないか。あと森のハッピーな仲間たちがガンガン死んでしまう大ピンチに際して女王なのにあまりにも役に立たない。彼らを救ったのはひとえにディアヴァル熊の頑張りです。ありがとうディアヴァル熊。

……などと好き勝手言いつつも私は好きな映画の続編はどんな内容でもあったほうが嬉しいし絶対観たい派ですし、だいたい最初から最後まで全部よくない続編というのは世の中にほぼなくて、どこかには必ずいいところがあるものです。というわけでよかったところも書いておこう!

良かったところ:
・フィリップがずっと完璧いいやつ。ほかのメンツが不完全すぎるので完璧いいやつがいると安心する。
・ディアヴァルの衣装がかっこよくなっている。マレフィセント様とディアヴァルのほのぼのシーンは全部素晴らしかったので、そこだけをつなぎ合わせてずっと観ていたい。両家顔合わせの前の挨拶練習の場面とかめちゃめちゃかわいかったですよね…マレフィセント様がけなげで、ディアヴァルはディアヴァルで「それじゃほとんど脅迫」「さっきよりはマシ」などとコメントに忌憚がなくて…。
・3妖精(赤青緑)のうち妖精(青)が花に変えられたところ。まさか!曲がりなりにも『眠れる森の美女』のオマージュ映画で!妖精(青)が死ぬなんて展開があるとは!その制作側の勇気に本当に胸打たれました。あと、ハンサムな木が死んじゃったのがすごく悲しい。

今調べたらこの年末に3の制作が決定していたらしい。嘘だろ!ここからどうなるんだ!妖精(青)は復活するのか!楽しみです!!

シドニーでBEAUTY AND THE BEAST THE MUSICALを観た日記

オーストラリアのシドニーへ出張に行き、最終宿泊日前日の夜にホテルでゴロゴロしながらYoutubeを見ていたときのことです。どうやら滞在国に合わせた広告が流れるらしく、見事に英語だわ…と思いながら終わるのをおとなしく待っていたら、突然流れ出す華やかな映像、楽しい曲、「BEAUTY AND THE BEAST THE MUSICAL now playing in Sydney」の文字。…シドニーシドニー!?
私が数か月前に劇団四季版を観てドはまりし、実写やアニメや続編を総ざらいして12000字の感想を書き、劇中歌ビーアワゲストの多種多様なバージョン違いしか入っていないクレイジーなプレイリストを作ったりしている、あの『美女と野獣』のミュージカルを、今、シドニーで、やっている!!?
待って待って一旦落ち着くべき。シドニーって言ったって広いんだから。私バス乗れないし(※シドニーでバスに乗るためには専用カードかタッチ決済式のクレジットカードが必要です)。それに上演時間も合わなかったりするのでは?

 上演開始時間:18:30~
 劇場:キャピトルシアター(ホテルから大通り沿いに徒歩20分)

…行ける。明日の仕事は16時には終わる予定だから全然行ける。あっチケットは?明日は日曜日だからもうないんじゃ?えっ全然ある。えー。えー!?行けちゃう!?でももしかしたら仕事上の付き合いの人との会食が急遽設定されたりするかもしれないし、それがなくてもそもそも夕飯は基本的に同じく出張に来ている他部署の人たちと一緒に行きましょうね~ってことになっている。日ごろ付き合いのない他部署の人に『美女と野獣』観たいので今日はサヨナラ!って言えるか!?

翌朝目覚めた時点では「ちょっと無理だろうな」と思ってたのに、気付いたら朝食会場で会うなりそっと切り出してたし「えっ仕事の後でしょ?最終日だし全然いいよ」と快諾でした。えーーー!?ヤッターーーー!!!


というわけでここまでの嘘みたいにできすぎた展開からこのままとんとん拍子でいけるかしらんと甘く考えていたらまあ全然そんなことはなく、16時に終わるはずだったその日の仕事は景気よく延び延びに延び、なんとか飛び出して劇場付近に駆け付けた時点で時刻は18時10分=開演20分前でした。どこだ!?ここか!?とキャピトルシアターの看板を探して夕暮れの路地に目を凝らしたら、そこには光り輝く大きな写真が。

 

ビーアワゲストだ~!!!(大興奮)

正面に回ると、そこには電飾に囲まれた華やかな写真や宣伝文句がずらずら。じっくり見たいけれどそれどころではない、何しろ最悪の事態も考えられたのでまだチケットも買っていません。正面玄関にはどうも売り場とかなさそうだけどチケットはどこで買うの!?あっ別の入口にBOX OFFICEって書いてある!数年前に英会話でやった!
職場の研修の一環だったのにうっかり日常(含観光)コースにしちゃったせいで「ブロードウェイで劇のチケットを取ってみましょう」という絶対仕事で使わない単元があって何だかなあって思ってたのにこんなところで役に立つなんて。ありがとうベル〇ッツ。

念のため守衛の女性に「チケットってここで買えますか」と聞いてみると、「もちろん!」と明るく返してくれました。「今日のチケット?それならそこのカウンターへどうぞ」ありがとう!
さっそくカウンターのお兄さんにチケットくださいと元気に頼みます。「今日のチケットですか?」「そう!」「席種によって90ドルから130ドルまであります」「一番高いやつください!!」「The best???」「Yes!!!!」
↑ここまで来たら後悔したくなさ過ぎたのと、全ての席の説明を聞いて理解したり選んだりする心と時間の余裕が一切なかった。ちなみに私が朝サイトを見た時には160ドルとかの席もあったので、この時点で残っていた一番高い席が130ドルだったんだと思います(出発時、羽田空港でのレートは1豪ドル100円前後)。同額の席も複数あったはずですが、私の切羽詰まり具合を見て察したのかthe bestの意図を正しく受け止めてくれたのか、お兄さんの考える最高の席を選んでくれたらしく、それ以上のことは聞かれませんでした。
ちなみに、発行作業が始まったのを見てどうやら買えそうだぞ!とうきうき現金数えてたら「カード決済しか駄目です」って言われました。バスと言い、本当にキャッシュを使わない国だなオーストラリア…。

という訳で無事チケットを買えました。夢見心地。ひどく現実感がない。なぜこんなところにいるんだろう、昨日は窓のない部屋で(※円安と宿泊費高騰のため)ゴロゴロYoutube見てたのに。ふらふらとチケットカウンターを離れると、オフィスの真ん中に据えられているひとりしか入れないかわいいちっこいカウンターの中におじさんが立っていて、手に持ったパンフレットを値段も言わずに売っています。夢見心地なので買う。…2冊組で30ドル。高くない!?いやいいです!夢見心地だから!!
なお当然このおじさんもカード決済です。彼の手元にあったのがタッチ決済用の端末だったので半泣きで「タッチ決済式のカード持ってません」って訴えたらICチップ式用の差込口もありました。よかった。シドニーに行くならほんとタッチ決済式のカード持ってったほうがいいです。

とりあえずBOX OFFICE内のお手洗いに行ったら、出てきた女性が私の後ろに向かってSo cute!と微笑んだので振り返るととっても小さいベルが黄色いドレスを着ていました。かわいい~。もちろん普段着の人もいるんですが、とっておきのおしゃれをしている人がいっぱいいるんです。なんて素敵なんだろう。私もワンピースくらい着て来たかったんですが、仕事から直行したのでごく普通のオフィスカジュアル+ビジネスバッグでした…まあジャケット着てただけよかった…。
階段のところに飾られていたでっかい写真もビーアワゲスト(外と同じ写真)でテンションが爆上がりしました。ビーアワゲストが目玉扱いされていると嬉しくなってしまう。

お手洗いが済んだらBOX OFFICEを出て正面玄関へ。いや別に中でつながってるんですけど、正面から入りたくて…。
一旦落ち着いて外のポスターを眺めます。ガストン決まってるな…。ガストンが決まってる美女と野獣は絶対に大成功だよ…。

満を持して入場します。
夢みたいだった。内装が。バラがちりばめられていてあまりにも世界観に合っていたので美女と野獣用にこうしたのか?と思ったけどどうやら元からっぽい。カジュアルに食べ物や飲み物を売っているのが、飲食禁止の演奏ホールに慣れている身としては新鮮。
参考:Expediaにいい写真がありました。客席写真もこちら。

客席入口では係員の人が一組ずつチケットを確認しながら、こんにちは、写真や録画は駄目ですよ、あなたの席はここをまっすぐ進んで左側です、というようなことを教えてくれます。中に入ったら肝心の列を示すアルファベットがどこにも見つからず(あとで通路側の座席の側面に書いてあるとわかった)、とはいえオロオロする隙もなく案内係の方がにこやかに誘導してくれました。ホスピタリティ~。1階席のG列だったので前から7列目ですね。さすが(開演20分前時点での)ベストシート。
入口で言い渡されたノーフォトグラフィーの範囲がよくわからなくて客席で写真を撮らなかったんですが、さっきサイトを見たら上演中でなければOKだったっぽい。こちらも引き続き内装がすごかった。天井のあたりに天使がたくさんいたりして。
何しろベストシート一点張りだったので1階席と2階席の指定もしなかったんですが、結果的に1階席の前方でよかったなあと思います。2階席がかなり張り出しているので、1階席後方は天井が多少邪魔になるのではないかな。でも2階席裏側=1階席後方の天井の装飾も凄く美しかったです。

隣にはあとからお父さんと少年ふたりがやってきました。小さな人用のクッションを2段重ねて席に座ったボーイ、赤いスニーカーがたまに私の膝を蹴ってましたが私もがっつり浮かれてるし場に飲まれてるので全然気にならない。むしろ彼が何も気にせずに少しでも作品を楽しんでほしいと願うばかり。右斜め前の男性はパートナーの肩に自然に腕を回している。スナック売りの人が通路を通る。皆で席を埋め尽くして、今か今かと開演を待ち構えている。
まずはまだ客席が明るいうちに、先住民の人々への謝辞と敬意を表するスピーチ(Acknowledgement of Country)が流れます。これは前日の仕事上のイベントでも述べられていたもので、オーストラリアでは近年広く浸透した儀礼なんだそうです。過去に向き合い、誠実であろうとする姿勢をこういうふうに自然に示される文化、とてもいいですね。
客席が暗くなる。舞台手前の低い所から、スコア用のライトの照り返しを浴びて、ぼんやりと指揮者の姿が見えている。つまりオーケストラピットがある!生演奏だ!すごい!ああ、始まってしまう。


当然全編英語ですが、同じシナリオに基づいている四季版を見たばかりなので話の筋はよくわかります。物語冒頭部、「ガストンが撃ち落とした鳥をル・フウがキャッチできず、バタッと地面に落とす」というシーンでみんながどっと笑って、ああ!これが!これが噂に聞いた海外の観劇!と感動してしまった。面白い所では忌憚なく笑い、可哀想なところではため息をつく、その素直なリアクション。

いちいちよかったことを書くときりがないので、大好きなビーアワゲストが始まるところの話だけします。コグスワースから、ベルに夕食を出していいけど、静かにしろ、とくぎを刺されたルミエールの返事。
"Of course, of course. But what is dinner without a little... music?"(もちろんそうするよ、だけど、ちょっとした音楽のない晩さん会なんて――ねえ?)
"MUSIC!?"(音楽!?)
オーケストラがド―――ン!!!
マスクのジム・キャリーみたいな全開笑顔決めポーズのルミエールの背後にラメッラメのピンク色の幕バッサ―――――!!!
観客爆笑!!!
邪魔者をピンクの幕の裏に追い出したルミエールがベルに向かって滔々と語りかけます。あなたをお招きしたことは我々にとって最高の栄誉です、どうかリラックスしてください、as the dining room proudly presents...
"Your dinner."
言葉と同時にぱっと変わる照明。
マスクのジム・キャリーみたいな全開笑顔決めポーズのルミエール(2回目)に観客爆笑(2回目)。
もう、泣いちゃうかと思ったな。明るくて豪華でやさしくて楽しくて。

セットも衣装も、とっても色鮮やかで豪華でかわいらしかったです。コグスワースなんか服(時計部分)メタリックグリーンで髪の毛紫でしたからね!ルミエールも全身まっきんきんですごく燭台でした。バベットもポット夫人もピンク基調で超かわいい。野獣は赤い革ジャケ着ててちょっと仮面ライダー俳優みたいだった。そんな中ベルとガストンだけは「まさにあの」という服装を守っていて、それはそれでとってもよかったです。
現在の日本での上演劇場であるアンフィシアターは舞台が円形に張り出しているので、それに比べると奥行きが少なく、また天井の高さのせいかセットの高度も低く、ダイナミックさには少し欠けるように思いました。背景が書割ではなく映像が駆使されていて、「遠くに見える城」とか「壁一面の本」とかが自在に現れるのは画期的。
明らかに、全然演出が違う、と思ったのは強いぞガストンとビーアワゲストで、そもそも曲の尺も違いました。こちらの方が新演出なのかもしれません。どっちの曲も超よかったです。ガストンの編み物コーナーとか。(あるんですよそういうのが)
ガストンがあまりにもばちばちに仕上がっていて出てくるなり恰好よすぎて笑ってしまった。ガストン、歌がうまくて顔がガストンっぽくて体が仕上がってないとできない物凄い役ですよね…オーストラリアでガストンやってたと言えばヒュー・ジャックマンっていうのがハードルの高さをまざまざと表している…。今回のガストンも、職責を完璧に果たしていました…。
ビーアワゲストの方は、後半にタップダンスパートが入ってたんですよ!!アニメのメイキングで「(曲のクライマックスで)足がないのにキックさせるのが大変だった」と言われていたルミエールが、ついにタップダンスを…燭台なのに…。


休憩時間になるなり真後ろの女性が同伴者に"My favorite character is Lumiere!!"と熱く語っていて完全に同意だった。あと、ずっと空いていた私の左側の席に人がやってきて、ここは空いているのかな、係の人が席を代わっていいって言ってくれたの、と言うのでどうぞどうぞと伝えたりしました。そんな気の利くサービスがあるのか。いい劇場。
隣のボーイはビーアワゲストで発射されたピンクの紙テープを両手いっぱいに収集してたいそうご満悦でした(私も膝に落ちてきたのをもらった)。


後半も見どころはいっぱいあるんですが、物語の最後、ついに思いが通じ合ったベルと野獣のデュエットが終わって人間に戻れた3人の召使がダッシュで舞台に飛び出してくる場面のルミエール(グレーの地毛でひとつむすび)が冗談抜きで爆イケすぎて「ハァ!!?!??!?」と動転するあまり記憶が丸ごと吹き飛びました。に、日本だと人間に戻っても白のモーツァルト鬘なんですよ、それはそれで全ッッッ然かっこいいんですけど…黒上着白手袋でさ…。シドニールミエールは金属製の燭台から人間に戻ってなお「何やそれ!」っていうきんきらきんの謎上着着てるんですけど(そんな召使いる?)、あの、そんなことが全て些細としか思えないくらいあまりにも爆イケで…ちょっとうまく説明できない…。

オリジナル・ブロードウェイ・キャストのサントラにおけるルミエールは相当コメディリリーフ寄りの声をしている(※個人の感想です)ので、ルミエールが格好いい解釈をされているのは日本だけの可能性あるぞ…と思ってたんですけど、シドニールミエールが容赦なく爆イケだったのでこの流れは世界的なものなのだとわかりたいへんよかったです(←全部憶測で言っています)。あの、顔だけじゃ無くてですね、歌い方とか、ふとした瞬間に見せる表情とかがね、いいんですよ、お父さんと引き離されて泣くベルを見て思わず下を向いちゃったりとか、野獣を優しく励ましたりとかね、するんです…。

あと何がびっくりしたってカーテンコールがない(全員で並んで1回挨拶して即終わる)ところですね。あっさりしてるなあ!観客みんなが合間合間でやんやと拍手してるから、別に最後にまとめてやらなくていいのかもしれない。

すぐには帰りがたくてもう一度BOX OFFICEに寄ってお土産を眺め(ティーセットがとても可愛かったけどどう考えても持って帰れない)、徒歩20分の道のりを呆然と歩いて帰りました。今思えば慣れない土地での夜の呆然一人歩きはあまり褒められたものではなかったかもしれないんですが、大通り沿いだったので特に怖いところはありませんでした。スーパーに寄ってヨーグルトを買った(オーストラリアのヨーグルト、基本的にバニラフレーバーでおいしい)。


ホテルの部屋で初めてパンフレットを開いてみる。写真中心の大判本と文字中心の小ぶりな本の2冊組です。写真がいっぱいあって、場面場面を思い出しやすくてとても嬉しい(後半の記憶が吹っ飛んでいるので)。30ドルだけど買ってよかった。
あわよくば歌声も耳に残したいので、サントラ出してくれないかな…。全員本当に歌がうまかったです。ルミエールの話ばっかりしましたけど、観劇中に鳥肌が立ったのは2回ともベルの歌でした(朝の風景リプライズとチェンジインミー)。いやっ…本当に…本当にすごくて…!!野獣も…!!ほんとに…!!何とかならないですか…。


というわけで、人生で一番、WEB広告に感謝した一日でした。根性出して行ってみてよかったなあ。
最後にその映像(広告バージョンはもっとショートだったけど)を貼っておきますのでご覧ください。何度でも言いますがガストンの仕上がりがやばい。

 

今こそジュラシック・パークを見よう!という記事

映画『ジュラシック・パーク』(1993)が公開30周年記念ということで、今年の上半期から記念商品発売やコラボ企画をたくさんやってくれるのでついついトートバッグやキーホルダーやノートを買ったり全作品を見直したりして、改めてジュラシック・パーク…最高ムービー…(絶句)と思ったので、以下そのプレゼンを始めます。
ディープブルーの記事といい、人間パクパクパニックムービーが大好きな人みたいですが別にそういう訳じゃないんです…90年代エンタメが好きなだけで…。
※以下、未視聴の方を想定したプレゼンが始まりますが、魅力を語るためのある程度のネタバレがあります。また、併せてシリーズ他作品の話もします。

<前提の話>

ジュラシック・パークシリーズには、93年から01年にかけて公開された「パーク」3部作と2015年から22年にかけて公開された「ワールド」3部作の計6作が存在します。

ジュラシック・パーク 1993年
・ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク 1997年
ジュラシックパークIII 2001年
   (14年の空白)
ジュラシック・ワールド 2015年
ジュラシック・ワールド/炎の王国 2018年
ジュラシック・ワールド/新たなる支配者 2022年

ちなみに、私は1作目であるジュラシック・パークを不朽の名作、ロスト・ワールドをマルコム博士ファン専用映画、ジュラシック・パーク3はB級テイストだけど普通に面白い、ジュラシック・ワールド1作目は大健闘の快作、2と3はマジこの野郎…(とはいえ見るべきところもある)と思っています。当たり前ですが個人の意見です。
以下の本稿において、ジュラシック・パークはジュラパ、ジュラシック・ワールドはジュラワと適宜略記します。

ジュラシック・パークのここがすごい!>

・恐竜が出てくる。

何言ってるの?という感じですが…恐竜が…出てくるんですよ…。
「かつていたという恐竜というものを、この目で見てみたい」という素朴な願望を叶えてくれる映画。そう思えるくらい、映像に本当にリアルな質感がある。すごいぞジュラシック・パーク
※なお、この映画は超ざっくり言うとその「恐竜見たいな」願望のせいでどんどん人が死ぬ!っていう作品です。

・愚か者がいない。

パニック映画によく出てくる、全ての足を引っ張る問題児がいない。プロや学者ばかりが集められているので皆良識があってクレバーだし、子供たちもかなり賢いタイプです。本当にグーニーズの監督が撮ったんだろうか。
ちなみにジュラパ3だと逆にパーティにド素人が複数名おり、叫ぶなって言ってるのに叫んだり走るなって言ってるのに走ったりするのでB級度がいや増していますが、なかなかどうして、それはそれで嫌いじゃないんだ…。

・被害がほどよい。

いい人も悪い人も死にますが、生き残った中にもやはり、いい人も悪い人もいます。安易な勧善懲悪じゃないところがいいですね。あと、なんとなく予算規模を感じるくらい登場人物が少ないので被害人数も自然と抑えられています。
ちなみに、ロスト・ワールドだとものすごい善人がものすごい殺され方をするのでちょっとぎょっとする。

・子どもがひどい目に遭う。

許される範囲の限界までやってみよう!というコンセプトでスピルバーグががんばったんかなというくらい子どもがひどい目に遭います。ギークなお姉ちゃんとやんちゃな弟の組み合わせ、序盤は多少キッズ感がありますが前述のとおりきょうだい揃ってかなり賢いので、絶叫しながらもきちんと危機を乗り越えるところが大変好印象。
なお、展開や構成が本作をオマージュしているジュラワ1ではこの枠が男兄弟(16歳と10歳)になるんですが、私はこのお兄ちゃんグレイくんがシリーズ随一の推しです。お母さんには裏で「弟にいじわるする」とか言われてますがとん・でも・ない!思春期なのにてんで興味ないテーマパークに半分子守で送り込まれたお兄ちゃんとしては最大限に弟に付き合ってるし励ますし優しい、グーニーズブレンドに通ずる、洋画界に名を残すべきいい兄です。どうしてジュラワ2と3ではカメオですら出てきてくれなかったんだろう。お兄ちゃん、とこしえに健やかであれ。

・恐竜への愛と畏怖がある。

ヤギの足が飛んだり人の腕が飛んだり成人男性がばっくり丸かぶりされたりする紛れもないパニックムービーであるにもかかわらず、「恐竜ってでっかくてかっこよくてすごいよね」という畏怖が最後の最後まで失われない。エンドロールでも、人間が何人もばりばり食べられた映画の最後とは思えない壮大で美しいテーマ曲がかかります(ジョン・ウィリアムズは天才)。
個人的にジュラワの2と3が全く合わなかったのは、恐竜が『手厚く保護すべき希少で大きめの動物』に成り下がっていて、延々と「恐竜を守ろう!」「心を開いて接すれば意思疎通できる!」「共生の道を!」「殺したら可哀想!」とか言ってるところなんですが、わかるよ、わかる、「恐竜って超怖いよね~」の観点だけじゃ映画を6本も作れないのはわかる、でも私は恐竜にはずっとずっとでっかくてかっこよくてすごくて人間の力ではどうにもできない巨大な災厄のようなものであってほしかったんですよ…。
ジュラパ3部作及びジュラワの1はいずれも愚かな人間が恐竜様の領域に手を出そうとして失敗して必死で逃げ出すという話なわけで、その距離感が、凄く凄くいいと思うんですね…。

・主人公が金に弱い。

主人公であるグラント博士は恐竜を舐めている子供(※パーク内ならともかく単なる発掘現場の見学中なので舐めていてもまったく問題ない)に対して「恐竜は君のはらわたを生きたまま啜る…」などとガチビビらせに走ったりするかなり大人げない人なのですが、渋っていたパーク訪問について大富豪に「発掘資金を援助するから」と言われるなりヤッター!と素直に大喜びするところが凄く好感度が高い。人間素直が一番です。ちなみにジュラパ3でも恐竜島についてきてくれと言われさんざん渋っていたのに「小切手に好きな金額を書いてくれ…」と言われてアッサリなびきます。学習しない!
あと、上記のとおり子供嫌いであるものの、有事の際には全くためらうことなく大人の責任を果たそうと体を張るのでとても安心して見ていられます。主人公が正しくて優しくて頼もしい映画、好き。

・サトラー博士がさっぱりしている。

1作目ではグラント博士と(常時仕事中ということもあり)たぶん…付き合ってる…?という距離感、2作目は出番なし、3作目ではいつの間にか別れていて別の男性と結婚しているものの、グラント博士とも子守をお願いしたり一緒に食事をしたりという良い関係を継続中のサトラー博士。なんだか大人だなあ!いいなあ!
誰よりも判断力と勇気があり、「女性だから危険な目には遭わせられない」などと言われた時にはきちんと怒る、大変頼もしく格好いい女性です。今気づきましたけど、本作品、安易に「子どもを守ること」を女性に押し付けないでグラント博士の担当にしているところにも好感が持てるなあ。

・マルコム博士のセクシー担当ぶりが潔い。

グラント博士とその助手サトラー博士に次ぐ第3の人物であるところのマルコム博士、黒髪サングラスセクシーとして登場し女性の手を撫でまわし良識ある極論を滔々と述べ、いざTレックスが初登場したら子どもを守るために速攻名誉の負傷、その後はずっと倒れているだけで何もしないという「活躍の場のバランスおかしくない!?」という数学者(数学者!?)なのですが、動けなくなってからもシャツの前をはだけて皮肉とセクシーをぶちまく係として画面内でひたすら映えまくるので本当にすごい。4年後に続編ロスト・ワールドの主人公になったのも納得です。皆もっと元気に動くマルコムが見たかったよね。超わかる。
でもロスト・ワールドのマルコムは残念ながら恐竜の恐ろしさを身をもって知るいわば良識担当かつガチの子連れなので、ずっと真面目に焦っていてあんまり皮肉屋の陽キャという感じではないです(ただし彼女はいっぱいいる)。相当終盤まで前もはだけない。飄々とした胸元全開伊達男のマルコムにもう一度会いたい人は、ジュラワの3を観ましょう。

・ティラノがブチ格好いい。

いやもう、本当はこれだけでいいくらいです。ティラノサウルスTレックス)が。ティラノが本当に、格好いい。
ロスト・ワールドの脚本家のデスクには「1作目は恐竜が出てくるまでに時間がかかりすぎでした」というファンレターが貼ってあった(これに反省した脚本家は速攻恐竜が出てくるストーリーにした)らしいんですが、確かに本作の主役恐竜たるティラノが出てくるまでにはかなりの時間がかかります。でもその出るぞ出るぞ感によりいや増す観客の期待に120%答えてくれる恐ろしさとサイズ感と質感を持つティラノが出てくるので、もうなんていうの…アドレナリンが…凄い出ます…。
あまりにも象徴的すぎて多種多様に商品化されている、あのティラノラストカットとか…か、カッコよ…この超かっこいい恐竜がメスだっていうのがまた、何とも言えずいいですよね…。
なお、このアドレナリンをより一層、鍋が焦げ付く限界までドロドロに煮詰めたのがジュラワの1です。劇場で泣きかけました。パーク見てティラノいいなと思った人には絶対見てほしい。
逆にジュラパ3はシリーズで唯一ティラノを噛ませ犬にしている意欲作(その挑戦は買う)なのですが、代わって登場する最強恐竜の顔がファニーという致命的な欠点があります。嫌いじゃないんですけど。(ジュラパ3嫌いじゃない委員会会員)

 

『美女と野獣』のミュージカルと実写とアニメを全部観た日記

※作品の展開や一部の台詞・歌詞に触れています。あと全体の半分くらいは燭台の給仕長ルミエールもしくは劇中歌『Be Our Guest(ビーアワゲスト)』の話をしています。

1.ミュージカル版(劇団四季)を観た話

やられてしまった。
素敵なお誘いを頂いたのをよいことに、『ディズニー作品に触れてはいるがすごく詳しいわけではない人』という程度のふんわりとした知識(子供の頃にひととおり観たが細部の記憶はあやふや、有名曲や名シーンやキャラクター名は知っている)で舞浜アンフィシアターにミュージカル版『美女と野獣』(劇団四季)を観に行って、完全に打ちのめされてしまった。だってアラン・メンケンがあまりにも天才で、劇中歌が全部、本当にいい曲で。だって出てくる人たちが、揃いも揃って歌がうまくて。何より、ルミエールが悪いんです、あの、燭台が!

というわけで、これはうわーすごいなーと無邪気に劇を観ていたら、人間サイズのルミエールがビーアワゲスト(邦題『ひとりぼっちの晩餐会』)を熱唱しながらまだご主人様が満足に会話すらできてない段階のベルと腕組んで踊るわ抱き上げてくるくる回るわしていて「何事!?」と衝撃を受けた私がその勢いのまま実写版を履修・アニメ版を再履しました、というご報告です。いや知ってた、ルミエールという陽気なろうそくのことは小さな頃からとっくに知ってた。フィルハーマジックでもガンガン場を回してたし。でも、あの、等身大になったら急にめちゃくちゃ格好よかったんですよ…歌も上手いし(四季なので)…子供のチップ(ティーカップ)に「かわいい友よ」って対等に呼びかけるのも素敵で…。なお羽根箒の彼女バベットともどもゴリゴリの浮気者です。真実の愛が全てを救う! みたいな話にゴリゴリの浮気者がふたりも挟まってるの面白いな。あと上着が黒いんですよ! パンフレットを凝視するとどうやら厳密には紺っぽいんですけど、舞台上では黒に見える。金の縁取りで。そんなの……格好良いじゃん………。

www.youtube.com

↑まあご覧くださいよくるくる回るところを。あと野獣の美声(後述)を。

本当に、冗談じゃなく、観劇しながら「ベル、野獣の前にルミエールのこと好きになっちゃうんじゃない?」とハラハラしました。だってひどい目に遭って閉じ込められて、ひもじい思いをしてたタイミングで、あんなに明るくあっけらかんと至れり尽くせり優しくされちゃったらさ…。歌も上手いし(2回目)。そりゃルミエールは燭台ですが、そもそもベルは相手を外見で判断しない女性なわけだし。いやいやまあまあ少なくとも劇中で「ご主人様をあんなふうに育てた我々にも責任が」などと言っているくらいだからベルおよび野獣よりはかなり年上だろうしいくら浮気者とはいえそんな女殺しキャラではないだろうとは…思いますけど…へえ…人間に戻ったら白手袋なんだ……好き……。

のっけからルミエールの話しかしてませんが本当にすごい舞台だったんです。特に、野獣の解釈がとてもよかった。誰があのアニメ版から、この幼く素直で反抗期で可哀想な野獣を導き出したのだろうか。パンフレットによればオリジナル版の脚本家の方がブロードウェイ版向けの改稿も手掛けられたそうですが、このキャラクター造形には脚本だけではなく翻訳や演技も大いに関わっていると感じます。どうして執拗に夕食に誘うのかをベルに問われた時の返事として、「君と一緒に食事をしたいからだ!!(毅然)」と「い、一緒にっ…食べたいからっ…だ~!(地団太)」じゃあ全然違うじゃないですか。少なくとも私が観た回の野獣は後者だったんです(台詞はあやふやなので、ニュアンスでとらえてください)。オリジナルとは別物だけれども、それがものすごく、よかった。
何しろこんな感じで途中からは「どうしようどうしよう!」といちいちルミエールとコグスワース(時計の執事長)に頼りまくるため、使用人たちもご主人様に対してどんどん強気になるので観客側にストレスがなくて助かる。ずっと怒鳴り散らしのDVモードだと見ていて疲れますからね。使用人全員総出でビーアワゲスト大宴会してる時に「紳士的に…紳士的にだ…」と呟きながらひとりで廊下を一生懸命うろうろしているところなんて、あんまり必死で、可哀想で。
そんな可愛い系野獣ですがとんでもなく歌がうまい。前半の締めとして歌われるミュージカルオリジナルの彼の歌に至っては、声量がもう、アンフィシアターを包み込んでいました。歌って、凄い。まずそもそもが美声。地声にビブラートかかってるタイプの人。すごい。何あの声。オープニングのナレーションからもううっとり。ベルもまーーーー本当に歌がうまかったです(歌がうまい人を称える語彙が「歌がうまい」しかないんですけどどうしたらいいんですか!?)。やはり追加楽曲であるところのベルのソロ曲が、「ベル、あんなに広い世界見たがってたのに結局近所で結婚して終わる問題」をきちんとカバーしていてよかった。
あとはガストンが心底ガストンで……『強いぞガストン』のとき、村の男性からの人気がすごく高くていっそ悲しくなりました。これだけ好かれるんだから、我々に見えていないだけでガストンにはガストンなりの長所があったんだと思うんですよ、もっと多様な価値観のある村に生まれればよかったのに……。あとル・フウのアクロバットスキルがカンストしていた……あと大団円のフィナーレの曲が終わるところでルミエールとコグスワースがビッ!!って親指立てててすげーかわいかったです……。私の記憶力と感想力が低いせいで感動が伝わらなくてもどかしい……。

ある意味当然のことながら、おおもとが90年代初頭の作品だということもあって、手放しで何もかも素晴らしいと言えるかといえばそうじゃないところもあるわけです。外見だけ重視することと内面だけ重視することは、後者のほうが常に素晴らしいって決めつけてよいわけ? とか、さすがに現代において「傲慢さを反省してきちんとしたいい人間になれば自ずと恋愛的に誰かに愛され、それではじめて人として合格」みたいな価値観はいかがなもんかとか、そもそも長年にわたってあんなに一生懸命仕えていた使用人たちの野獣への愛情は「愛し愛されれば解ける」はずの呪いにおいてノーカンなうえ野獣本人のことも全然変えられていないってどういうことなのとか、色々思うところはあります。

つまるところディズニー版『美女と野獣』という物語は、ひとことで言ってしまえば「罪のない女の子をとじこめて自分(ご主人様)に恋してくれないかな~!と期待する」という全然正しくない話である一方で、切羽詰まった状況で、不完全な人たちが不完全なりにどうにかして人に親切にしようとしたり、よい人間になろうとしたりして頑張るというところが、個人的に妙に胸に迫りました。ここでいう不完全というのはもちろん人間の形ではないという意味ではなく、「生い立ちと状況からひねくれ過ぎてしまい、怒鳴るばかりで他者とまともに会話ができない」とか「善良だがご主人様が怖すぎて逆らえないしやっぱり呪いは解きたい」とかで、そういう人たちがベルの登場によって、何とか状況を改善するべく必死で癇癪を堪えたり怖いご主人様をばんばん叱るようになったり一生懸命誰かを庇ったりすること、愚かで自分勝手で間違っていて、それでも優しさや親切さを最後まで手放さずに持っているということの人間臭さ、そういうものが何だか、すごくぐっとくるな…と思ったのでした。
(でも実際に怒鳴りまくる人に監禁されたら、すぐに逃げたほうがいいと思います)

正直言って、気に入った作品を所有して安心するタイプ、何度も何度も再生して細部をねちねち見て楽しむタイプの人間が基本的に映像販売・配信されない劇団四季作品を好きになるのってかなりしんどいですね!!! もうすでに全然しんどい。夜な夜な観たい。
私は今は首都圏在住ですが、しばらくしたらかなりの遠方に引っ越すので絶対に観られなくなってしまいます。でも観劇を作品鑑賞の基本としてほしいという気持ちも凄くわかりますし、そもそもディズニー題材だから権利の関係とかもあることは大いに想像が付きます。でもつらいものはつらい。ひーん。よしわかった。実写とアニメを観よう!!! あとサントラを聴きます!!!(切り替え)

余談:ティーカップのチップくんをお母さんのミセス・ポットが運搬するシーン、基本的にカートなんですが1か所だけお盆に乗った生首にしか見えないサロメシーンがあって、怖すぎて気が散りました。

2.実写版を観た話

というわけで実写版を観ました。
まずびっくりしたこと→ ルミエールがかなり人間フォルムだった。

実写版は家具や道具たちもアニメ版に比べてかなりリアルテイスト、そのためたとえばポット夫人の顔はティーポット側面に描かれた柄の一部であり、表情も変わるしウィンクもしますが、立体的に口がパクパク動いたりはしません。あくまで柄。コグスワースに至ってはどこが顔なのかパッと見でわからないくらいガチの置き時計。そんな中なぜかルミエールだけはほぼほぼ人間と同じ構成の全身をゲットしています。顔もロウソク側ではなく燭台側に付いてるし金物のはずなのにやたらひらひらする上着も着てるし二足歩行(どころじゃないアクロバット)も可能! えっずるくない? ひとりだけ物質化のルール違くない? 他の使用人に文句言われなかった?? あとは声がユアンマクレガーだからか何なのか、アニメ版やミュージカル版(※私の観た回)に比べてめちゃくちゃ若くて軽くて声からお調子者感がにじみ出ているほか、予想の倍くらいご主人様の言うことを聞かない。勝手にダイニングにベルの夕食をセットしたときも野獣が反射的に「ルミエール!!!(激怒)」と怒鳴ってたので、勝手なことをするやつ=ルミエールだとご主人様にも思われているんだと思う。

ルミエールがユアンならコグスワースはサーイアンマッケランだ!というわけでサーイアンマッケランコグスワースもいます。リアルテイスト化によりアニメで見せていた表情の豊かさがなく機動力も激減している代わり、よく歯車とかこぼしていてかわいい。
オリジナルのアニメ版だとコグスワースとルミエールは同じくらいの年のおじさんで性格だけ逆、という感じだったと思うんですが、本作ではコグスワースのかわいい系おじいちゃん的なドジっ子ぶりが加速&前述のとおりルミエールが若さを感じる多弁無邪気めプレイボーイに設定されていて、そういう全然違う二人が仲良くつるんでいるのがとても可愛いですね…チェスとかしてるし…。さすがに年の差があるからか、このルミエールとコグスワースは相手をフランベしたり取っ組み合いの喧嘩したりはしなさそう。それで人間に戻ったらサーイアンマッケランとユアンマクレガーの顔してるからほんと勘弁してくれよって感じですよ(外見を加点要素にしてしまう愚かな人間)。

物語の終盤に追加された、呪いの時間切れによりついに使用人たちが調度品そのものに変わってしまうシーンで、ルミエールの恋人が早々に意識を失ったのをいいことに(?)コグスワースとルミエールがふたりきりでそっと交わす別れの挨拶がとても切ない。
なお、その後呪いが解けて人間に戻ったときもまずはふたりで微笑み合います! 仲がいい! ありがとう! あとビーアワゲストでやり過ぎて落下したルミエールをもたもたコグスワースが起こしてあげるのも大変よかったです。ありがとう! おじさんたちが仲良くしてるのって最高だね!!

あと特筆すべきは無口なコート掛けシャポー氏(イントネーションはシャ↓ポー↑)、コートも掛けられるしお皿も拭けるし小さき存在たちをこまこまと机に載せてくれるし給仕もできるしバイオリンも弾けるうえボクシングも強いという逸材です。使用人たちの中では貴重なんでしょうね、人間サイズかつ機動力のある存在(他の大きめメンバーはキッチンそのものとかハープシコードとか洋服ダンスとかなので…)。アラジンの絨毯的なしゃべらない良さ。

実写版は、一見明るく振る舞っている使用人たちが実は全員死のタイムリミットを抱えているという点でオリジナル版よりエモが増されている印象です。そもそもあの呪い、バラが散るまでに王子が愛し愛されなかった場合はその姿が永遠にキープされるという呪いであって、少なくともアニメ版では「使用人たちが全員実質的に死ぬ」という話ではなかったような気がする(実際に最後の花びらが散ったあとも、しょんぼりしてるだけで生きている)。野獣以外の全員が実質的に死ぬ呪いだとすると、ベルを家に帰してしまったことの重みがかなり変わってくるなと思いましたね…。そういえばミュージカル版も「昨日までなかったネジがある」「だんだん道具に近づく」等と言っていたので、この実写版の方の設定に近いのかもしれません。

あとは終盤の戦闘シーンが熱い。ミュージカル版では一切描写されない(ので、観たときは「あの殺意に燃えた村人たちはどこへ…?」と呆然とした)調度品VS人間の大バトルを、実写ではかなりの長尺かつホーム・アローンくらいの楽しさでお届け。ハープシコードであるところのマエストロが鍵盤ぶっとばして戦うところなんか最高ですよ。そのあと人間に戻ったら歯がなくなってて可哀想でした。歯を飛ばして戦ってる感覚だったの??

3.アニメ版に戻ってきた話

ここまできたら改めてアニメ版もじっくり観直すべきでしょうと思い、20年ぶりくらいに観てみてびっくり。面白い。絵が凄い。話がきちんとまとまっている(オリジナル版84分)。全体的に展開が早い(IMAX版でも92分)!!

やっぱり表情と動きが豊かっていうのはものすごい武器だと思いました。特に使用人3人衆(ルミエール・コグスワース・ポット夫人)。無機物をあくまで無機物らしく描写したのが実写版なら、限界まで有機物らしく、いきいきとさせたのがアニメ版。観ていて楽しいのがどちらかと言えば、明らかに後者のほうが楽しい。ポット夫人が顔パーツしかないのにあんなに生き生きとワゴンの上で躍動できるのはアニメだけに許された嘘というか誇張というか、表現の幅の広さがあるからですね。あと、野獣ね! 野獣! 野獣のビジュはどうあがいてもアニメがナンバーワン! 凄い。芸術。完成されてる。最高のキャラデザ。マントのはためきのぬめりも美しい。

ところで、ベルのお父さんに弄ばれるコグスワースを見て口元に手を当ててくすくす笑うルミエール、可愛すぎません…? 3回巻き戻して見たけど…(←すぐこういうことをするので、本当に手元に映像がほしい)。

VS村人決戦シーンのさ~コグスワースがルミエール助けるとこすごくいいですよね、いや子供の頃はごくごくさらりと見てましたけど大人になるととてもいい、直後にルミエールも自分の彼女助けてるけど、言葉にしない感謝のシーン(両頬への丁寧なヴェーゼ)があるのはルミエール→コグスワースだけだしコグスワースは照れもせずただただ全力でうっとうしがっててね……。
如才なく万事を切り抜けまくり、相方をろうそくでちりちり熱しまくりだったルミエールを小心者かつ天性のドジっ子コグスワースがこんなにスマートに助けて何も恩に着せないこと、そして普段あれほどぺらぺらよく喋る口先フランス男のルミエールがありがとうのひとことも言わずにただただ黙ってニコニコしているところがさあ…最高のシーン……。
なおネットで見た情報によれば、ルミエールの大ピンチをコグスワースが救出する激熱シーンは実写版にもあったもののカットになったらしいです。意味がわからない。何でそんな大事なところカットしたの!?

みんなが大好きな名曲『朝の風景』の、ベルの「もっと夢がほしいの」のところでカメラがぐりーーっと回るところ、息を飲みます。凄いものを見た!と思う。もちろんビーアワゲストでも思うし何よりやっぱりダンスシーンで思う。おずおずと~ふれあうわ~指と指~~~~。
カメラワークの概念は基本的には舞台にはないし(※セットの回転とかはある)、リアリティを超越した表情の概念は実写版には難しい、媒体により強みって全然違うんだなあ…と心から実感しました。いやすごい。DVD買おう。

4.ビーアワゲストが大好きなんだよという話

ミュージカル版・実写版・アニメ版のどれにおいても物語中盤でおっぱじまる祝祭こと『ビーアワゲスト』、個人的な『美女と野獣』の好きなところ(歌とキャラデザと使用人たちの善良なおもてなしと調度品がいっぱい動いて楽しいところ)のエッセンスを凝縮した一曲です。
この使用人総出の壮大なパーティが彼らの純粋な優しさから開かれているのかと言えば、全員どこかには「この子が楽しく過ごしてくれれば、ゆくゆくはご主人様に恋して自分たちの呪いを解いてくれるかもしれない」という下心がなくはないはずなんですが、それだけにしては完全にやり過ぎ、シャンパンあきすぎ、料理作りすぎ、歌歌いすぎ。
本来はおもてなしが大好きだったのに、不幸にも呪いにかけられてしまった使用人たちが、10年間待ちに待ちに待ちに待っていたたったひとりのお客様をついつい過剰に大歓迎してしまうという明るさと健気さがすごくいい。だって"Why, we only live to serve"(奉仕こそが我々の人生)で"It's been years since we've had anybody here"(もう何年もどなたもいらっしゃらなかった)なんですから。唯一毎日食事してくれる王子様、牛乳がけオートミールを顔で食べるんだから。そりゃあね…嬉しいよね……。

ここで、各種映像やサントラで手当たり次第にビーアワゲストを聞きまくってみた私のお気に入りビーアワゲストポイントを書いておきます。特記のない場合はルミエールの歌か台詞です。

○アニメ版(原語ver.)

"Oui, our guest"
ルミエールのフランス訛りをちっとも受信できない自らの英語力が憎いのですが、ここの「ウイ」は実にフランス的でとてもよい。いい笑顔だし。ちなみにしばらくWeに空耳していてどういうことだろうと思っていた。

ポット夫人の "She's our guest!"
どういう鍛練を積めば、歌声に喜びの感情をこれほどの特盛りで載せられるのか……と思っていたら、ちょうどこの部分のレコーディング映像がありました(7秒目くらいから)。なんて可愛い方なんだろう、アンジェラ・ランズベリー

www.youtube.com

○アニメ版(吹替ver.)

前口上「お城のキッチンが腕によりをかけました!」
「キッチン」のちいさいツが限りなく短い(「キチン」に近い)ところの品のよさ
と、「た!」のところにみなぎるサービスへの自信。
ちなみに実写版の歌詞は全部新訳なんですが、このあたりの口上だけは丸々アニメ版のまま残っていて、エモいじゃん…と思いました。

「フランス料理はさいこォ~、さ」
「さ」の添え方に光る表現力の高さよ…。

ポット夫人の「お客~さまよ!嬉しいことね!」
原語版に引き続き、嬉しそう過ぎて最高。

どうやら本作の日本語版サントラは再録らしく、上記の映画バージョンとは音源が違い、例えばルミエールのプリンに~!ソルベ~!のあたりがサントラだと巻き舌になります。2バージョンも聞けるなんて贅沢。

○ミュージカル版のサントラ(1996年ver.)

「ごちそうですよ」
き、給仕長感が…かっこいい…。

「太ってなまけて、そこへ、あなたが」
この音源に限らず、どのバージョンでも、上記「太って…」の部分(原語だとFlabby, fat, and lazy, you walked in and oops-a-daisy!)は全部好き。

ポット夫人の「神様ありがと 輝く夜を」
歌詞の語呂がものすごくいい。あと単純に歌が超うまい。

コーラス部「今宵楽しく、思い残さず」
急にせつないこと言わないでよ! 絶対またできるよ!

四季のサントラは2023年版もあります。96年のルミエールは大人の雰囲気漂うダンディ、23年のルミエールはすごく若い。私は96年版がお気に入り。ビーアワゲストに限らず全体の歌唱力がえぐい。

○実写版(吹替ver.)

「そう、フランスですからねぇ笑」 
歌詞にはないが明らかに「笑」がついている。フランスプライドがエッフェル塔級なところがよく出ている。

「これはもう料理の、ギャラリー…(掠れ声)」
これ原語だと「キャバレー…(掠れ声)」なんですが、この別単語で語調を合わせる感じ好きだなあ。フレンドライクミーの「アリトルモアバグラバ~♪」が「お手元にドゥビドゥバッバ~♪」になってたのと同じ良さを感じる。

コーラス部「お客様がようやくみえた 久しぶりのおもてなしがんばろう!」
かわいすぎるでしょ。がんばれ!

○実写版(原語ver.)

「マシェールマッマゼール……」
冒頭部。あまりにもセクシーでユアンいい加減にしろよと心底思った。

プディング?」
一番最後。あまりにもかわいくて(略)何でここまでサントラに入れてくれなかったんですか!?

実写版、歌の最中にあまりにもベルがご飯食べられない(おもてなしの本末が転倒している)ので最後激怒したらどうしようかと思いました。笑ってくれてよかった。ルミエールが過去を嘆くシーン(雪の演出つき)とか完全にお客様の死角で何も見えてないですからね。なお、ろうそくなのにびっしゃびしゃになって雨に唄えばパロまでやります。

5.総括

ルミエールが好きです……。

感想を書けば書くほど、自分がベルと野獣の恋愛模様にはさほど興味がなく(それぞれのキャラクターはとても好き)、そのくせルミエールとコグスワースのひねくれ友情物語とかご主人様と使用人たちの関係性の地道な成長とかにはぶち上がるタイプだとわかりました。あと、最初の方にも書きましたが、不条理や困難を舐めてきた人たちがそれでも思いやりや優しさが物事を解決すると信じて頑張って善くあろうとする様が好きです。これ、ものすごく大雑把に言えばズートピアとかベイブを好きになったのと同じやつだな…。

どの作品もそれぞれにいいところがあるけれど、突然沼った原因はミュージカル版を見たからだと思うので、舞浜へのアクセスのよい方には是非おすすめします。生の歌唱や演技の力ってとてつもない。キャストの方も交代制なので私が衝撃を受けた回とは印象や演技が違うケースも多々あるかとは思いますが、それはそれで、きっと全部すごいのでしょう。絶対そう。でも最初に出会ったキャストのひとを永劫推してしまう予感もすごくしている。私にはそういうところがある。いずれにせよ引っ越し前に絶対にまた行きたい。

 

おまけ1:Human Again(人間に戻りたい)について

ミュージカル版でとても耳に残った曲『Human Again』、アニメ版でもIMAX版作成時に追加されており、ブルーレイ等で観られます。曲調がかわいらしいし使用人たちに芽生えた明るく前向きな気持ちがしみじみと織り込まれていて、どちらのバージョンもすごく好きです(本来自由であるべき他人の恋心に熱烈に期待することの不健全性はこの際置いておく)。

使用人一同のコーラス 吹替版:
また踊ろう また歌おう!
皆で楽しくね
また人間に 戻れるなら
ワルツを踊ろうね
ウキウキして コロコロして
遊びまわろうね
また人間に 戻れるなら

何だろうこの、10年もつらい思いをしてきたはずの人たちの、何の恨みもない、素直で無邪気で期待に満ちた歌詞は……(泣いている)。メロディもね、かわいいんです…メンケンが天才なので…。

ちなみに冒頭のソロ部分ではルミエールが「人間に戻れたら両腕に美人を抱く」と堂々と宣言しており、ポット夫人がそれに当たり前のように「一部の夫たちは心配するでしょうね~」などと返していた(原語歌詞)ので、総合するとルミエールが同時に複数名に、且つ人妻でも気にせず手を出すタイプのハイレベル浮気者だとわかる曲でした。いいのか。ディズニーなのに。まあいいか。いいの? なおこのやりとりを目の前にしても羽根箒の彼女は全然ニコニコしてたので、なるほどつまりルミエールと羽箒の子はイチャイチャフレンドではあるものの交際関係ではないのか……と思う私(※おまけ2への伏線)。
でもそんなルミエールが、人間に戻れたらやりたいこととして一番最初に言うのが「お料理」だっていうのが何だか、しみじみといいですね(その後は全部女遊びの話してるんですけど)。

おまけ2:アニメ版の続編・続々編を観た話

見られる限りのものは完走してやるぜ!と思って、つい先日続編と続々編(いずれも映画ではなくホームビデオ)をTSUTAYAで借りてきました!
見ました!
激怒!!!!☆


激怒は嘘ですが、ちょっとおもろいくらい解釈違いを起こしたうえ展開が耐えられなくて30秒スキップとか駆使しちゃったよね。すみません。いやでも。何でこんな。いやいや。うーん!

特に、続々編(3作目)にある「使用人たちが個々に仲たがいを繰り返した結果パーティの準備が全然できずベルにたしなめられる」という展開がもうびっくりするほど「これ作った人たちビーアワゲストちゃんと観ました!!?!??!」って感じ!で!私は!!(ビーアワゲストの強火担)
この城の人たちがどれほどおもてなしのプロフェッショナルでどれだけパーティに飢えていて有能で統制が取れていて、夜中にお腹がすいてこっそりやってきたベルに10年のブランク&準備時間ゼロにもかかわらず最高のおもてなしをしていたか覚えていらっしゃらない!!?!??(強火担)
確かに彼らは見た目はちっちゃくておもちゃみたいですけど、もとは、もとはというか今も本当は年齢を重ねた人間で、ベルは聡明で強くて恐ろしい野獣にもちゃんと意見を言える自立した女性だけれどもそれでも16歳の娘さんで、お父さんを守ろうとした結果孤立無援になってしまった彼女に寂しくて怖かったでしょうでも大丈夫ですよ我々があなたを歓迎しますよ、ほら元気を出してくださいねっていう、大人たちの優しさと過剰なおもてなし心の暴走だったじゃないですか、ビーアワゲストは…そんな彼らが…ベルの助けがなければケーキのひとつも焼けないわけ…ないだろうが…!!!
続編によくある、個々の特徴をコミカルに誇張した結果登場人物が軒並み賢くなくなって主人公が無双になるやつ~わかるけど~強火じゃないときはまあよくあるよねって許せるんだけど~~。

ベルが城に来た後・舞踏会の前という超限定的な期間にねじこまないと全員のビジュアルが人間に戻ってしまうので仕方ない(なお本編では当該期間はほとんどないので、続編と続々編はどちらもIFストーリー的に見るべきなんだと思う)んですが、結果として野獣は性格に難があるままなのでとても感じが悪いし基本的に「野獣が癇癪を起こしてみんなで沈む」「使用人たちが勘違いですれ違う」「使用人たちが大喧嘩する」のいずれかの話しかないので見ていて疲れます☆★☆ でもルミエールがコグスワースでスノボするところ(!)はめちゃくちゃすぎて逆に良かった。
※ベルのお父さんが再び森に入ったのはベルが人質になった日の夜中で、ベルは彼(吹雪で迷ってるけどまだ存命)を助けるために城から帰されるわけなので、お城にいた期間は実質足掛け2日からせいぜい3日くらいっぽい。


まあ他にも解釈違いポイントはめちゃめちゃある(Human Againをあんなにニコニコ聞いていた羽根箒の彼女がルミエールへの独占欲を突然剥き出しにするはずないだろ!とか ←伏線回収)(君たち使用人なのに、スプーンもまともに使えない王子様に徹夜で屋根の雨漏りの修理させてるの!?とか)(あるんですよ…そういうシーンが…)んですけど、まああくまでIFストーリーなので目くじら立てても仕方ないということはわかる…ベル相変わらず歌うまいな! とかジェリー・オーバックの声が聞けて嬉しいな! とか調度品たちがいきいきちょこまかと動く様は楽しいな! とかチップの声がハーレイ・ジョエル・オスメント君でびっくり! とか、そういう観点でエンジョイすべき作品なんだと思います。というか、ビーアワゲストの強火担じゃない人(もしくは使用人たちの優秀さに変にこだわってない人)なら全然楽しく観られるのかもしれない…。
あとは、オリジナルストーリー追加により結果的にベルとの出会いから改心までの期間が引き延ばされることによって、本編では一晩で人間性を取り戻していた野獣に対して「この人なかなか更生しないしベルに何度も酷いことをするなあ!」と思ってしまうのがちょっと可哀想でした。

でもなんとか冷静さを取り戻してみると、続々編はともかく続編の方はまだよかったかもしれない。主題歌がいい曲だし、悪役(パイプオルガン)の声が壤晴彦で超格好良いし。
あと、クリスマスプディングにカスタードは入れる?と聞かれたルミエールが「我々を野蛮人だとでも? もちろん入れる」って言っててほんとにフランスプライドの悪いところがよく出てていいなと思いました。いやでもそもそも君たちって食事できるの? どう考えてもモップやお皿やはさみは無理だろうから口のある皆さんもたぶん食べられないのでは? 実写版でも「味はわからない」って言ってたし。ほーらこうやってすぐ整合性を気にする厄介オタクはやっぱりゆるふわめな続編の視聴には向いていないんだよ!もう!!

ほしとんでの隼先輩を推していますという記事

※タイトルのとおり、以降『ほしとんで』の隼先輩が最高すぎるんだよなという話しかしませんのでどうぞよろしくお願いします。

皆さんご存じの俳句ゼミ漫画『ほしとんで』、文学部出身の私としては心臓をかきむしられるくらいの学術的空間への郷愁と「あの時もっと真剣に勉強しておけばよかったなァ」という後悔をかき立てられるとんでもなく良い漫画なのですが、それに出てくる隼(じゅん)先輩がとても素晴らしいので、私の考える彼の素晴らしポイントを以下に列記します。この記事は私の「なんなんこの人!?」というエモーションの吐け口ですが、あわよくば、既読の方の共感と、未読の方の興味を得られれば幸いです。

 

①口調が変

主人公流星くんの所属している、1年生のみで構成されたゆったりのほほん俳句ゼミに2巻で突如乱入してくる高圧的で口調がきつくて普通に怖いひとつ上の先輩、それが隼先輩です。いや文学部にこんな怖い人いるかな!?と思いますが、単に私のいた文学部がのほほん空間すぎたのでそう思うだけかもしれない。別に私は隼先輩の高圧的なところを最高!とは思わないんですけど(普通に怖いから)、メタ的で嫌な見方をしたら彼の存在にはおそらく「俳句のこんなことも知らないで授業進めるの?」みたいな攻撃的知識人層の読者(?)の矛先を逸らす目的があり、そのためかとにかく勢いがいいので、江戸っ子なんだかなんなんだかよくわからん口調なのである。「そんな寝言ほざいたなァどちらさんかな!?」とか言いますからね。いややっぱりこんな人いなくない!?

しかし記念すべき初登場一発目の台詞が「こんにちは」であることからもおわかりのとおり、隼先輩は挨拶がちゃんとできます。あと後輩を「君ら」って言ったりする(けど「お前」とも言う)。そしてこのキャラとこの強めテンションなのに立ち位置がツッコミ寄り。

ところで私の中の隼先輩ベスト台詞は、自分の同期とのゼミの際に、遠隔参加の人と通話しているスマホがめちゃくちゃ絢爛で宗教色の強いスマホスタンドに置かれているのを見たときの「死んじゃったみてーになってんじゃんよォ」です。「死んじゃった」ってなんだよ可愛いな。同期といるときの、ビビられておらずむしろちょっとディスられてる普通に大学生ぽい隼先輩、すごく良いんですよね…

②好きなものが好きであることに躊躇がない

読んでいるこっちがちょっと引くくらいゼミの先生である坂本先生に心底ほれ込んでいる俳句大好き隼先輩はその「好き」の表明にまったく躊躇いがありません。先生に会えば一番弟子にしてください!と毎回断られているのに突撃するし、自分の句を作中何度褒められても一度も照れず、常に堂々としている。私は重度の共感性羞恥持ちなので照れない人に弱いんです…(個人的事情…)いやでも格好いいでしょうこのスタンス…

隼先輩本人の「つーか好きなら堂々と言えや 感情をためらうなよ」という台詞が最も端的にこのありかたを示しています。名台詞過ぎませんか。待ち受けにしたい。ちなみにこれだけ読むとコイバナの最中みたいですが句会での発言なので俳句の話です。

②字がきれい

句会シーンではっきり書き文字が示されている(読者はそれだけで「へー隼先輩って字が上手いんだー」ってちゃんとわかる)のに、わざわざ台詞でも「ねえ見てちょうだい隼先輩の達筆さ」と念を押されるほどのきれいぶり。挨拶100点ぶりといい字といい何なのか。

③左利きである

左利きなんですよ!!!私左利きの人大好き!!!

④バンドやってる

服選ぶのがめんどくさくて年がら年中スーツ着てる頭もさもさで俳句がうまくてゼミの先生にぞっこんLOVEの文学青年隼先輩ですがバンドをやっています。推定ボーカル。何それ!?

外見ソースのひとつとしてまず間違いなくエレカシ宮本さんの影響が見られる隼先輩ですが、バンド名「クラーケン・イン・ザ・シティ」の方はブランキージェットシティのオマージュではないかと思います。大学生バンドで本人写真の宣伝ポスター(しかも隼先輩がピンで真ん中に突っ立っているだけ)作ってるのってなかなかじゃないですか…?

チケットは凄い余ってるっぽいんですけど、坂本先生が聴きに行くくらいなので聴くに堪えないとかそういう感じではないのではないかと推察されます(しかし演奏シーンは一切ないので推察の域を出ません)。俳句と字と歌が上手いの…?何それ…?絶対作詞もしてるじゃん…

⑤乳幼児と交流する

1年生ゼミが真夏の鎌倉に初の吟行に行く際、ゼミ生みどりさんの子どもひばりさんの運搬要員として登場した隼先輩ですが、この吟行の最中、ひばりさんの帽子を取って頭を風に当ててあげているシーン(台詞なしコマ)があります。尊。純粋に尊。

隼先輩、結局最後までひばりさんにデレデレしたりしないんですが(「何かが芽生えかけたわ」という発言止まり)、乳児~幼児期ゆえの無邪気さでちょっかいかけてくるひばりさんに「見ないでよォ」とか「ちぎっていいョ」とか普通の感じで話すのが可愛いなって思うんですよね…はたちすぎ(推定)と小さい子の交流…かわい…

あと最終巻における最終登場コマ(除くおまけページ)で、ほぼ画面外ですが、寝起きのひばりさんとちゃんと手を振ってバイバイしています。かわいいかよ!!!

 

隼先輩のこと抜きでも(いや抜きようがないんですけど)本当に面白い漫画ですので、お勧めします、『ほしとんで』。わりと似た感じのゼミにいたんですが、もう一度こういう空間に行きたいなあと読むたびに思います。
いやでもこんな綺麗にまとめようとしている場合じゃない、何はさておき隼先輩なんですよ。ほんとに好き。隼先輩永遠なれ。

ルパン三世PART6全話の感想を書く

※各話のネタバレがあります。

PART4から始めた履修マラソン、ついに最新シーズンです。次元好き(でも一味箱推し)が書いています。
言いたいことを言っていますが、全体的に楽しく見ました。
※覚え書き代わりなので盛大にネタバレしています。とはいえ、そのわりに筋の話をあまりしていません。
※文中の「新ル」は2ndシーズン(ルパンが赤のジャケット)を指します。

000:EPISODE 0 -時代-

コバキヨ次元引退回
50年の歴史に対して私ごときが語ったり総括したりことなど何もない、よってこの話に真面目な感想を書くことはできないししないんですが、本筋を離れたことを言うと信じられないくらいジゲフジでしたね。ここで!?コバキヨ最終話で!?
「これからは私と組んでみない?(中略)何なら試し撃ちでも…」とか意味深すぎて何が起きてるのかと思いました。「試し撃ち」がジゲフジ界の隠語になったりしそう。
あと、トルネイドがかかったときに、「と、トルネイド~~~!!!(語彙力ゼロ)」ってなりました。と、トルネイド~~~!!!(涙)大野先生、本当に本当に今更ですけど、こんなに格好いい曲を次元大介に書いてくれてありがとう…。
次元について「あんな男ひとりになにができるんですか!」とか言ってたモブ警察官はとりあえずPART5の第23話見てから出直してきてください。

001:シャーロック・ホームズ登場

唐突に始まるホームズ対アルベールのイケボバトルレペゼングレートブリテン。第1話なのにルパン一味をなかなか出さないのが挑戦的~!大塚次元はたぶん全部足しても10秒くらいしか喋ってないよ!とはいえこれには「新しい声にじわじわと慣れてほしい」的な配慮もあると思います。
とにかく五ェ門の再登場シーンが最高にかっこよかった。何あの作画。全員気になったであろうゾイドっぽいCGの車は私もばりばり気になりましたが、たぶんそのうち慣れます。
今だかつて、シャーロック・ホームズの名前を背負ったキャラでこんなに社会性のある人がいただろうか。絶対コカインやってなさそう。バイオリンは弾けそう。
EDが、PART4か5っぽい不二子の顔も演出も曲もめちゃめちゃかわいくてとても好きです。

002:探偵と悪党

次元が不満げに「け!」って言ってるとものすごく次元みがあふれて超安心しますね!何この感情?
前シーズンあれだけファム・ファタールだった(※単発話を除く)不二子が一味に違和感ゼロで馴染んでる上にキャラデザもあいまってこう…夏休みに実家で親戚のおじさんやいとことだらだらしてる女子大生みたいでよいですね…そんなとこ(谷間)にポスター突っ込んだらべこべこになっちゃうんじゃないかな…。
五ェ門抜刀シーンの作画が相変わらず神がかっている。毎話抜刀してほしい。

003:大陸横断鉄道(嘘)の冒険

なんていいタイトルなんでしょう。(偽)とか(?)とかじゃなくて(嘘)。
銭形に見つかったときに次元と一緒に「フラ~イパンなら向こ~う」という謎の発言で誤魔化す五ェ門の変顔と変声、夢に見そう。
いや、ていうか、あの、シリーズ開始前に公開された「相棒と呼べる仲間がいますか?俺にはいるぜ!」トレイラーにおけるものすごくいい声の次元の台詞「相棒、出番だぜ」がこの話からのサンプリングだったんですが、この「相棒」がルパンじゃなくてマグナムだなんて誰が思いました…?嘘だろ…?こちとらあれでエモーション直撃されて泣いてたんだぞ!!!(参考記事
線路に縛られたクラシックメイド不二子が超えっちでたじろぐ。何かの扉が開きそう(性癖的な意味で)。ルパンにまだ生きてたか~と聞かれたときの「もうすぐ死ぬわよ!!(爆切れ)」がソーキュート。
しかし、なんか、PART6の次元と不二子やたら仲良くないですか。
第0話:不二子「何なら試し撃ち(意味深)でも…」次元「お前がいい女だってことはわかる」
第1話:当たり前のようにバイク2人乗り
第3話:不二子、笑顔で次元に命を預ける
まだ計4話しかないのにペース配分がおかしい。

004:ダイナーの殺し屋たち

押井守脚本回。
カウンター席のふたりのうち、後ろから見て左側の人の声と話し方が超好みで声優さん誰だろ~?とエンドロール確認したら「殺し屋①」~「殺し屋⑧」の表示しかなくて何番やねん!となりました(①でした)。語尾の上げ方というか、抜き方が癖になる。
前半がもうほんと押井守すぎて(もしくはヘミングウェイオマージュすぎて)全くルパン三世じゃないんですけど超面白かったので、もう後編も含めて全編ルパン三世じゃなくていいのになと思いました。それもどうなのか。ちょっと今から前半もう一回見てきます。
――いやちょっと待って(見てきた)後半が蛇足っぽいのはキーとなる小説「The Killers」の後半が付け足されたという逸話に合わせてるのかな…!?前半最後の次元の台詞(「あのそばかすの姉ちゃんから、居場所を聞き出すさ」)で終わってもわりときれいな話になるし、逆に後半の展開(そばかすの姉ちゃんは偽物で居場所は聞き出せない)を踏まえると、その台詞は不要ですもんね…?エッやりたい放題すぎないか…!?(ほめています)
<追記>「The Killers」を確認したら本当にアニメの前後半と小説の前後半の位置が一致していたので、やっぱりわざと前半だけでも成立するようにしたんだと思われます。とんでもないな押井守

005:帝都は泥棒の夢を見る 前篇

江戸川乱歩回。ワンピースで言うところのグランドジパング編。AUもの同人誌だ!!という感想が喉から出そうなのを飲み下しまくりながら頑張りました。
当たっちゃったら話が終わるような人(ホームズとルパン)ばっかり撃ってるのが悪いんですけど、PART6の次元(含・次元ぽい人)、銃の腕悪くないですか…バンバン撃って一発も当たらなすぎじゃないですか…。そして別人不二子には秒で適応するのに別人次元にいちいち寂しそうにしんみりするルパンはなんなんだ。やっぱりAUもの同人誌なの?
サラントヤちゃんを転生前五ェ門だと思って見てたら全然違いました。だってひとりだけ全然出てこないから!てっきり!
この話、ルパンもタイムスリッパーじゃなくて黄金仮面そのものということにして、IFもの完全パラレルストーリーにしたほうがよかったんじゃないかなー。そのほうが「でも銭形/不二子/次元じゃないんでしょ?」と思いながら見ないで済むような気がするんですが。それかせめて名字を揃えてルパン8世式ご先祖様物語にするとか。

006:帝都は泥棒の夢を見る 後篇

次元(じゃない人)の上司への耳打ちのしかたが凄く…軍人ぽくていいですね…などと思ったりはするものの結局は他人なので、相変わらずこの話をどう受け止めていいのかがわからなくて大変だよ!助けて五ェ門!五ェ門見てると安心する!ところでついさっきがっつり頭撃たれてたのになにごともなかったみたいになってるけど大丈夫!?
次元じゃない人こと本郷少佐、満を持して大見得切って名を名乗るんですけどいやいや名乗られたところで知らねえわ誰だよ!!と思ってたら本郷義昭さんが大活躍する実在の小説(作/山中峯太郎)があるんですね…つまり明智小五郎や黒蜥蜴と同じ枠だったと…。コンテクストの要求水準が高すぎない?この2話とヘミングウェイ押井守回が並んでるの、構成ミスじゃない?オタクしか喜ばなくない?
いや大変だった 恥ずかしかった 共感性羞恥がえぐかった

007:語られざる事件

忘れかけていたメインストーリー、ホームズ編。個人的には単発話大好きなので忘れかけるくらいでオッケーです。
ルパンの「俺は全てを知っているが、語るのは今じゃねえ…」的な意味深はぐらかし顔見てると、カリオストロ次元つれてきて例の「ひとりでかっこつけて悩むんじゃねえ」サブミッション決めてほしくなりますね。ほら!!言え!!!
追撃するでも逃走するでもなく、長い長い身の上話が終わるまで墓場で一晩中待っててくれるモラン大佐優しすぎるな。
だいたいの視聴者が「たぶんこうだろうな」と思っていたとおりのこと(ルパンはワトソンを殺していない、殺したのはレイブン)をものすごくストレートに説明されて終わったので「ミステリー(第1クールのテーマ)はどこに!?」と驚愕しました。「この男、悪人か、ヒーローか」(煽り文)とか「俺は悪党だ。嘘だって平気で言うし、人だって殺すぜ」(第2話)とか何だったの!?
次回予告で「頼りになるのはただひとり」ってナレーションとともににんまり笑う次元がかなりよかった。

008:ラスト・ブレット

世界中の港に決着のついていない因縁の相手が待っている男、次元大介メイン回。
序盤のルパンの「少女誘拐とは、ほっとけないねェ」がドスきいててかっこいいです。
11歳のキッズに密室(車内)でめちゃくちゃ人生訓をたれてくるガンマンこわい。ガンマンってのは生き方なんだ…今にわかる…じゃないよ!一般人は多分そういうの一生わからないよ!
あらあらまた銃を相棒呼びしながらキスしたわ~1$マネーウォーズじゃん~とかのんきに思ってたらとんでもないこと(マグナム大破)になったんですけど、そ、それはいいんですか?グリップ以外ほとんどふっとんでから修理されたその銃は本当に長年連れ添った相棒ですか(テセウスの船問題)?弱い弾じゃ防弾チョッキ貫通できないとしても、脳天撃てばよくない??
そして11歳キッズは車内教育の甲斐あって最終的にはばりばり中二病を発動するのだった。いいのか?よくない!何この話!

009:漆黒のダイヤモンド

クラーケンに乗ってブラジルにやってくる五ェ門で、何もかも(例:そんなパイレーツオブカリビアンみたいな装いの海賊はその時代にはいないだろとか)どうでもよくなりました。細かいことはいいんだ!というその勢いやよし。
ルパンと次元の現在の住環境がわかります。1階とロフトにそれぞれベッド置いてるの、成人男性の妥協的プライベートスペースの取り方って感じでやたらリアル。カップ麺と空き瓶の感じとかもふくめ、PART4や5に比べると生活感があるかんじですね。
しかしパート6のルパン何も盗まないな。こけしさえ盗まない。

010:ダーウィンの鳥

幻の押井監督による劇場版ルパンについてはWikipediaに書いてあることくらいしか知らないんですが、こういう形で供養できたなら本当によかったね…という気持ちといやこっっわ!!!という気持ちが半々というところです。でもこういう不条理なアニメを突然夜中に見ちゃってトラウマになるのも人生において大事ですよね。私は大友克洋のMEMORIESでそうなりました。
世界が小刻みにループし始めたあたりですごくぞくぞくしました。ルパンの作画がずっと残念だったのはあのげたげた笑うクライマックスシーンのための伏線だったのかな!
面白いな~!という回では全然ないんですが、このくらい持ち味が出てこそ脚本家を外注する意味があると思います。とくに押井監督には、こういうテイストが見たくて頼んだに決まってるし。全力で応えてくれてありがとう監督。ところで監督はどうしてかたくなに五ェ門出してくれないんですか?

011:真実とワタリガラス

「ただいま」って言って帰ってくる五ェ門がかわい過ぎるな…イントネーションも只今とかじゃなくて完全にただいま…かわ…
ホームズとレストレードの話し方が至極似ている(ちなみにアルベールとも似ている)のは、これが当代の二枚目の話し方のトレンドだからなのだろうか。語尾が吐息混じりになるというか。

012:英国の亡霊

ちょっと待って、冒頭シーン、セントジェームズパークで敵味方同士(ルパンとアルベール)がたまたまベンチ隣り合った体で打合せしてません!?つまり概念としてはグッドオーメンズ!!?
ルパンでもホームズでもないリリーの知り合いの成人男性がひとりしかいない時点でワトソン殺しの犯人はお察しもいいところだったんですが、「ラスト・ブレット」での一旦自分の本物の部下を派遣→別の手を回して殺し屋をその部下と入れ換わらせる、の二度手間は何だったんでしょうか。最初から殺し屋派遣したらよかったじゃないか。
まあでもたいした話数も割いてないので(みもふたもない)、別にメインストーリーがようわからん話でも個人的にはオッケーです。ホームズにやられたショックで修行までしてきた五ェ門がいつもの車切断と不発弾コロコロと一言解説しただけで出番終わったのはかなり可哀そうでしたけども…。バリツは一体どうしたんだ。
<追記>いやちょっと待て…「LupinIII vs. Holmes」シリーズなのに…第2話以外…対決してなくない…!?

013:過去からの招待状

次元がランチパスタに添えるためにわざわざタコさんウインナー作る上にごま(?)で目まで付けるということがわかるたいへん貴重な回です。たぶんほんとに暇かつトランプが弱い上に凝り性なんだと思う。意味深はぐらかしシーンのたびに待ち望んでいたカリオストロサブミッションが特に意味深ではないシーンで見られますが、健康的な顔色のPART6ルパンと絡み合ってるとPART6次元ほんとに血色悪いな!
同じことばっかり言ってて恐縮ですが、不二子が普通にアジトにいたり当たり前のように自分を頭数にいれて「全員揃ってない」って言い出したりするのがいちいち嬉しいのと、ルパンの顔面に本気のえぐりこむようなグーパンするのがおもろくてよかったですね。令和の不二子はピンクが好きでもビンタとかしない。ここまで書いておいてあれですが私は一味と一線を引いた魔性の不二子も好きです、が、いずれにせよ不二子には三人に対し気安い感じでいてほしいんです…PART5のトラウマが深いな…?
五ェ門が日々修行にはげんでるのにも関わらずすごい撫で肩なところ推せるわ~と眺めていて気づいたんですが、2クール目に入ってキャラデザ変わりました?単なる作画ブレの可能性もありますが、PART4・5の横堀ルパンに戻ったというか、ルパンがちょっとかわいくなって次元が痩せて口の横の謎の線なくなりましたね?好印象~!
しかしいつまでたっても世代交代を迫られ続けてるなルパン。「ルパンはもう古い」ネタがもう古いんじゃないかな。

014:蜃気楼の女たち

毎食山盛りのそばでも気にならないレベルの食へのこだわりのなさなのに、日々料理うまくなってミートソースに目玉焼き載っけてパセリ散らしてた次元の向上心めちゃくちゃ偉くない!?
丁寧にタイミングを読みながら「何があった」って聞いてるのにルパンが相変わらずの意味深はぐらかしを、しかも最悪の形で(「わからねえだろうな…いくらお前でも…」)やりやがるので私の中のカリオストロ次元が激おこですよ!!わりと優しいPART6次元でさえ「埋めてくぞ」と言うレベルですが埋めるくらいでは足りない。踏み固めないと。五ェ門が次元に「手を貸そう」って言ってくれて本当によかった。ちなみに何があったかはその日の夜案外あっさり言います。さっき言いなよ!じゃあ!
「俺の相棒が外から狙ってるぜ」に完全に騙されて、メルセデスの一味と一緒に超びっくりしてたのが私です。次元、ルパンの真似うますぎる大賞受賞(PART5の第7話ぶりn回目)。「うまくやったかな?」の「かな?」の抜けが好き。
不二子が概念的魔女っ子になっててぎゃー!!と興奮の声を上げる。不二子をスタンド(JOJO)にするなんて贅沢すぎるぞルパン。心底うらやましい。

015:祝福の鐘に響けよ、銃声

古きよき次元女がらみ回。PART6履修前に大塚次元めあてにフライングで見たので再履です(1回目はこちら)。
冒頭、雨でアンニュイな次元をルパンが「髭面天使」って呼ぶんですけど真剣に意味がわからない、思えばPART5でアルベールが次元を突然「白馬の騎士」って言い出したときにも「髭面のナイト様たぁぞっとしねぇ」とかアッサリ言っててちゃんと否定しなかったんですよルパンは。どういうこと?相棒が何に見えてるの?
そういう話じゃないのはわかるんですけど、客観的に見て「道端で大怪我して死にかけていたところを助けてやった男」に2回も恋する医者はちょっと何かのフェティシズムがあるんじゃないだろうか。怪我萌えとか。
つい2話前ではパジャマの時ですらかぶってたのに、この回の次元は隙あらばばんばん帽子脱ぐし目元が見えます(たぶん目がテーマのひとつだから)。このキャラデザの次元、たいへんさっぱりしたイノセントな目(©️ラーメンズ)をしてますよね…なにそのきれいな目…と思っていたらラストでそのイノセントな目にガンガンカメラが寄ってくのでどうしようかと思いました(照れて)。恋愛回ですけど、過剰にべとっとしてないところがよかったと思います。
新郎はいい人なので「はっ!」と改心してくれたものの、視聴者的には次元にだけは恋愛系説教されたくないと思う。

016:サムライ・コレクション

五ェ門はなぜ海産物とばっかり戦ってるんですか!?(登場シーン感想)
待って!!!!!(再登場シーンで五ェ門が何の説明もなくランウェイの練習をしていたのを見た感想)
何なのこれ!?の連発過ぎて毎度止めて休憩していたら見終わるのに足掛け3日もかかりました(実話)。いやほんと全編にわたり何なのこれなんですけどギャビーはいい子だし五ェ門が終始「石川」って呼ばれてるのはすごい萌えました。けど。何なのこれ!?五ェ門先生は狭い室内で夜な夜な1000回ランウェイの練習したくらいじゃ倒れないだろ!!(そこ?)
とりあえず、男3人は自分を助けてくれた女子にいちいち義理堅すぎるのでもう女のそばでピンチになるのやめた方がいいと思います。
展開上一切必要のない褌チラリシーンがあって笑ってしまった。まじで何で次元回があれで五ェ門回がこれなの?

017:0.1秒に懸けろ

ワンティック、CMが日本の中小企業すぎるし、宣伝方法が渋谷向けすぎる。
ちょっっっタイミング合わせ用アプリの顔アイコンが可愛すぎるんですけど4人のうち誰が描いたんですか!?なにその不二子の口!?昔なつかしのflash動画にこういうキャラいなかった!?
予行演習シーン及び本番における次元の移動手段(台車に座って足で漕いで前方に移動)が腰に悪そう過ぎて心配。後ろ向きになって床を蹴る方が速くない?あとひとりだけゴール地点に不確定要素(回るファン)があって可哀想。
タイミングが合わないととにかくまず次元に文句つける不二子が素っぽくてかわいいな~仕返しで嫌み言われてふくれてるのもまたよき~とか思ってたら突然イチャイチャしだす(不二子が後ろから次元の帽子を脱がす)のでPART6の次元と不二子!!?やはり!!?と久しぶりにぎょっとしました。この、嫌みを言われてふくれる→両手で後ろから次元の帽子を取って自分の頭の上空に構える、という一連のカットの不二子が作画最高で超可愛い。次元の帽子を勝手に取るってものすごいことなんだぞ、少なくともPART4からは誰もしてないぞ(※THE FIRSTのルパンはやります)。私、冗談じゃなく、この話がルパンシリーズとか関係ない単発の映画か何かだとしたら、このふたりが付き合ってるか今後付き合うと思うよ…戻ってくるときも一緒だし…。
オマージュもとである新ル「華麗なるチームプレイ作戦」の一番面白いところって、練習シーンでメンバーがギスッてルパンが仲裁に明け暮れたり困り果てたりしてるところだと思うので、本作ルパンもニヒルに笑ってないであたふたしてくれたらよかったのにとちょっと思いました。PART6ルパンニヒルに笑いがちなんですよね~。もっとわちゃわちゃしてほしい~。
作画が比較的ゆるめの回だったんですけど、クライマックスのワンティック!ワンティック!のシーン(字で書くとなにそれ感が凄い)はすごいよかったしルパン三世見てる!!!って感じがして血が滾りました。こういうのがずっと見たかった!電波妨害でタイミングが合わせられない、と気付いたときに、全員取り乱さないで静かに状況を見ていたのが凄くグッときました。修羅場慣れを感じるというか、仕事人らしくて。

018:フェイクが嘘を呼ぶ 前篇

PART6の男3人アジト共同生活、食事当番とか水やり当番とかやたらちゃんと分担してて好感度高いですね…。
「ちょっと出掛けてくる~」と明らかに一人で外国に行くつもりのルパンに、行ったところで用事もないのにしっかりついてくる次元五ェ門が本当にいいやつらなのでルパンにはふたりのことをすごく大事にしてほしい。でも本当に一切話に絡まずそもそも行きの飛行機以外台詞すらなくそのまま帰国するので、それなら普通に置いてきてよかったと思います。どういうことなんですか脚本の人!!
令和ルパン、好きな女の子(マティアちゃん)にめろめろ~!おさわり~!ちゅ~!っていかないで普通に友情ベースみたいなすごく感じのいい関係の深め方するので、逆にすごいモテそう…。マティアちゃんはたぶん闇が深いんですけど、「食い逃げは嫌!」とか言ってるところはふつうにとてもかわいい。
トモエ先生は闇メリーポピンズみたいな感じなのだろうか。

019:フェイクが嘘を呼ぶ 後篇

まさかの八咫烏くんメイン回。PART6、銭形回すらないのに!?そしてそのやたくんが、すぐ切れて大声出したり人を殴ろうとしたりするので本気で警察官向いてなくてやばい。銭形警部、後輩教育頑張ってください…。
全体を通してものすごくカメラワークとかカット割が謎の回なんですが、唐突に、死ぬほど生々しい男女のもじもじしたベッドイン寸前駆け引きシーンが挟まるのでびっくりする。「峰不二子という女」はともかく、ルパン本編のエロってもっと洋服すぽーん!とか、すぐ脱ぐけど局部の形が♂♀!(原作)みたいなファンタジー路線だと思ってたのに…
ちなみに結果は未遂なんですが、それを受けた翌日の気まずさもすごいリアルです。要る?このリアルさ!?
あと本筋にぜんぜん関係ないんですが、回を追うごとに次元の話し方が軽く、力の抜けた感じになっていて、それがすごく…好きですね…。

020:二人の悪女

久々に登場の不二子がメインの回です!ひゃっほう!私はいつの間にこんなに不二子が好きになったんだろう。
不二子の「やあよ」が、何度出てきてもいちいちめちゃくちゃに刺さる…あと今回はお姉さんムーブを惜しみ無くやるので、それもまたとてもよかったです…。
それにしても「不二子の女友達に嫉妬するルパン」が新しすぎて凄かった。お前のその50年隣にいてナチュラルに三食一緒に食べてる相棒はなんなのよという話ですよ。
一ヶ所たぶんミスで不二子の目がアメリアの色になっちゃってるとこがあるんですけど、それがまあかわいい…不二子にはなんでも似合う…不二子とルパンが常に優秀かつアメリアも予想ほどめんどくさい子ではなくて、楽しくいい回でした。

021:うたかたの島へようこそ

妄想系少女ムルーちゃんにダンディを連呼される次元を見て、ひょっこりひょうたん島でダンディ大好きだったことを思い出しました……次元とダンディ、立ち位置もビジュアルもだいたい一緒だから……。
こちらブルームーン探偵社」で、実際はまだまだ犬猿の仲の主人公ペアに製作陣がキスさせたくて夢という設定で丸々1話パラレルストーリー撮ったっていうとんでもない回があるんですけど、つまりそんな感じの回です。ジゲフジとゴエフジを映像と音声で楽しめます。すごいぞ(発想と絵面が)。
ムルーちゃんを想像力豊かな少女だと思ってあたたかく見守っていたら、なんと想像と現実の境をわかっていないヤバい少女でした。とにかく彼女が本人たちに自らの妄想を開陳する後半が恥ずかしい(共感性羞恥)!公式に無許可でファンフィク送りつけるのはだめなやつだって言ってるでしょう!
Netflixの親切なところは、再生中に画面を閉じると次に開いたときには数秒前に戻してから再生してくれるところなので、恥ずかしさが限界突破してウィンドウを閉じるたびに微妙に巻き戻ってしまい全然恥ずかしいシーンが終わらないという地獄が発生しました。唯一の救いは、告白ショーをやりきったあとの3人が全然恥ずかしがってなかった(どころか拍手に応えていた)ところですね。これで照れてたら無理だった。あと見てた爺さんによる「ほんとにダンディじゃのう…」がツボにはまって笑ってしまった。ほんとにダンディだよね…わかる…。

022:私のママの記録

マリエルがスマホに語りかけるシーン、アリアンナと同じように録音しながら調査してるのかと思ったらまさかのライブ配信で「げ…現代っ子~!」と思いました。まだ一度も聞いていない実の母親の肉声テープをライブ配信して、突然とんでもないこと言い出したらどうするんだ(実際わりと言い出す)。
ルパンが相変わらずひとりでふいっと出掛けながらもわざわざどこにいくか図解していき仲間に追いかけさせる(現地では当然のような顔で合流する)という、めんどくさいカップルの片割れみたいなことをしています。PART6のルパンのこういうとこほんとにめんどくさいな!「こういう理由でここに行くのでついてきて」ってちゃんと言いなよ!しかもまた特に仕事がないので次元と五ェ門は車内でトランプをしているだけです(ただしこれはこれでかわいい)。どれだけトランプ好きなのこの人たち。
「まあ何かやることあるかもしれないからルパンを追いかけてやろう、でもたぶん暇だからトランプ持っていこう」ってしてるわけでしょ…ふたりで…素直すぎかつ甘やかしすぎでは…PART5五ェ門だったらぶち切れてるぞ…とてもかわいいけれども…。

023:愛しの魔女の記憶

催眠によるご乱心ルパンが車をひとりで乗り逃げしたとき、ああっその中には思い出のトランプが!と思ったらほんとに次の場面でアップで映ったので笑ってしまった。トランプ、精神世界に侵食するほどのキーアイテムなの!?
ほんとに私情で申し訳ないんですが、大塚次元が「俺はてめえの相棒だぞ。忘れる訳はねえよな」ってまっすぐ言うのが爆刺さりしました。これ、もしかすると、初の大塚次元によるルパンに対する「相棒」呼びでは…?違ったらすみません…
峰不二子という女」ですごく見たぞこういう催眠で出生の記憶改竄して闇落ちさせて行動を操る話。ていうか、お、同じじゃないか…?大丈夫…?オマージュ…?(スピンオフを…!?)
そして相変わらず「ルパンをひっぱたく」の一点では一瞬で意気投合する不二子と次元であった。脳力を下げろ!ハンマーで殴れ!10トンの!(参考
なんとか最終話では本当に全力で殴るなりルパンからの謝罪や感謝があるなりして、一味の思いやりがきちんと報われてほしい。ニヒル顔ルパンを引き立てるためのリアクション要員だったらどうしよう(ありそうで嫌)。
ところでルパンがまた撃たれました。PART4から通算何回目かもはやわかりません。「メインストーリーではルパンに怪我をさせる」っていう鉄の掟かなんかがあるの?
トモエ先生がきちんとおばあちゃんになっていたのはとてもよかったんですけどあまりにも作戦が迂遠過ぎるというか、別に人生ごと操らなくても何人かの魅力的な女性に頼んで伝言してもらえばよかったんじゃないかなと思います。電話とかで。

024:悪党が愛すもの

結論から言うとちゃんと不二子がルパンをぶん殴ったしまあまあ謝罪もありました!めでたい!素の不二子はグーパンなのに演技の時はビンタ(たぶん優しさ)だったんですけど、最終的には普通にグーでいこうとしてたのがよかったです。そういうところが好きだよ令和不二子。
あんなにシリーズ後半をミステリアスに牽引していたトモエ先生の底が驚くほど浅かった(ルパンを手に入れたい催眠術師、以上の要素が全くなかった)こととか全員部屋に棒立ちで喋ってるだけで話をまとめていく展開には、もうちょっとこう冒険活劇が見たかったなと正直思いました。「個性豊かで生き方が魅力的な奴ら」としてくくられた仲間たちのわりにはみんな聞き分けが良すぎるんですよ、もっとぶうぶう文句言ったり勝手に横から手を出したり切れて帰ったりしなよ!
少なくとも、ルパン三世が自分のアイデンティティを取り戻す過程で思い出すのは仲良し一味のトランプによる食事当番決めじゃなくて、みんなで協力したスリルに満ちた盗みの瞬間とかじゃ…ないのか…私は関係性オタクなので仲良し一味のトランプシーンとか大好きですけど…あとたぶん「人の作った食事を信じるな」という先生の教えと対比させてるんだとは思うんですけど…!まあ今期、全然お宝盗んでないから仕方ないんですが。何しろこのアニメは「ルパン三世」なんだからもうちょっと盗んでるところが見たかった、ワンティック回みたいな感じのやつ…。
ただ、ひとりずつ仲間たちがルパンの精神世界に侵食してくるところや、不二子が新ルオープニングオマージュのルージュの銃弾を撃つところはピュアに熱かったです。「俺が最後に信じる女は不二子だけ」ってめちゃくちゃいいルパフジ。不二子が裏切りの代名詞みたいな女だからなおさら。好き。
あと百万人思ったと思うんですけど(自分が思ったことを百万人が思ったと思うたちの悪いオタク)、終盤で次元が不二子にしゃらくせえとばかりに言う「ハーッ!」が物凄く次元大介っぽくて(ありていに言えばコバキヨ寄りで)、先代とそっくり同じにやってほしい!なんて全然思っていないんですが、なるべく似せたい、同じにやりたいと言っていた大塚さんのインタビューを思い出してぐっときました。凄いよ大塚明夫…。

『ルパン三世 THE FIRST』及び『PART5』全話の感想を書く

※各話のネタバレがあります。次元好きが書いています。

ルパン三世 THE FIRST』

視聴3回目?多分。好きなんです…THE FIRST…
PART4全話一気見などを通して、自分がストーリーやエモや演技がどんなによい回でも作画が荒れていると気が散って没入できない人間であることを再確認したんですが…なんと3Dは…作画が荒れないんですよ…モデリングされてるから…!ルパンが100%顔がいいんですよ…モデリングされてるから…!!

というわけでモデリングされているところが最高のルパン三世 THE FIRSTです。さっきも言いましたがルパンのキャラデザがかっこいいわかわいいわで100点。
この映画、ゲストキャラにやたらと時間を割いていて一味+銭形が期待ほど出てこないところが急所なのですが、ルパンはそれでも出ずっぱりに近いので観客は主にルパンの立ち振舞いや顔を眺めることになります。いやあ…生きてる…金庫を華麗に開けて気取ってお辞儀するルパン、指先まで生きてる…すご…

ストーリーは普通に「ルパンがゲストの女性を助けて悪人をやっつけてちょっと恋されて終わる」という伝統芸能的というかカリオストロ及びテレスぺの鉄板のやつなので何一つ意外性はないんですが、この、生きている感が…3Dなので1秒たりともじっとせずに動き続ける感じが…ディズニーランドでキャラクターに会ったときの感動が最も近いです。つまりキャラグリ映画です。うわー!そこに存在してるー!ぎゃー!っていう、そういうやつ。

あとルパンについては、超人的メンツを引き連れていながら「一番運動神経が良い」というところを明確に担当しており、更にはそれが映像の力で生き生きと伝わってきたのもとてもよかった。頭脳担当でありながら一番運動神経いいんですよ…それがルパン三世…。

あとは、もう触れないで話を進められないので先に言いますけど次元の顔が異常に良い。本当にびっくりするくらい良い。イケメン設定でもないシケモク吸いのおっさんの顔をあんなに良くする必要がどこにあったんですか!?

私の偏見ではなく広〇すずちゃんも「帽子を取ったらあんなにカッコいいんだ」って思ったって言ってるので事実です。カーチェイスのあとシケモク吸ってるシーンだけで「顔のいい次元が…生きてる…」と思考が停止(アニメっぽさを強調する目元が基本見えないので存在感がやたら生々しい)。

様々なダンジョントラップを乗り越えるために各自がそれぞれ活躍するところ、次元の見せ場は「みんなが頑張って探し物をしているときにひとりゴロゴロしてたらたまたまそれを見つける」という(ガンマンどうこうが全く関係ない)シーンなんですけど、ここも本当に…無駄に…顔が良くて…帽子が空中に浮いちゃったときに慌てて見上げた瞳が茶色で…か、かっこいい…必要性がないのに…何なん…

五ェ門は綾〇剛似の色白さんなのですが大変に魅力的なそばかすが散っています。前述のカーチェイス後シケモクシーンで初めてアップになったときにウワー!そばかす!と盛り上がってしまいました。ディティールに弱いんだこっちは。あと髪がさらっさら(ちなみにルパンはふさふさ、次元はワックスでぴかぴか)。斬鉄剣大好きな末っ子という感じです。袴が景気よくはためく、生足魅惑のマーメイド。後半、にっこにこで「これが斬鉄剣の正式な使い方でござる!!」って言うのが超かわいいんですよ…ドロロ兵長かってくらい「ござる!!」って言い切りますからね…どう考えてもドロロ兵長より五エ門の方が初出は先ですけど…

それぞれのキャラデザを堪能できるオープニングが最高だなあ(公式YOUTUBEで見られます)。ルパン三世のテーマからのフィアット爆走からの救出シーンも(公式YOUTUBEで見られます)。おもちゃみたいなフィアットが物凄く意思を感じさせる動きをするの、実写じゃできない表現だなあと思います。この二つのシーンだけで映画の価値半分くらいあるなあ。

前述したようにストーリーはとても普通だしゲストキャラシーン多すぎるし「血のつながり」をことさら強調するっていうのはあんまり現代的ではないな(※血のつながり以外を重要視するシーンも一応あります)とか思うところはあるんですが、動きのそれっぽさや視線の移り方や細かい手つきなんかに気を奪われがちな人間としては、それらが丁寧に丁寧に作り上げられた映像が大変眼福であったわけなのでした。
トレイラーのルパンの声が軽妙で物凄く好みだったので、英語版のDVDが欲しい。


ルパン三世 PART5

見ながら書いたので感想が展開に踊らされまくっている。全体的に不二子の可愛さと「友達」の取り扱いに大混乱しています。

001:地下塔の少女
・オープニングが昔懐かしいニコ動手描きMADの装いに。なぜ…当時全盛期だったのか…?
・ルパンと次元、日常生活では変装し、仕事の時には変装しないスタイル。逆にしたら?
・ガソリン車好きとリボルバーガンマンとお侍の3人でつるんでるんですね…ローテクで可愛いね…
・今作、製作陣が五ェ門を推している予感がする。顔がいい。
・しかしOPと本編で銭形のテンションが違いすぎませんか?
・何この昭和のサラリーマンが死ぬ前に見る夢みたいなエンディング!?角ハイボールのCM…!?
・アッでも次回予告のタイトルの背景の絵はとっても好きです、絵はがきにしたい


002:ルパン・ゲーム
画面を流れていく無邪気な一般人たちのコメント及びツイートが胸糞すぎて見るのが辛い。何が悲しくてこんな大量のクソリプを見ないといけないんだ!
ゲイネタのギャグはともかく、ルパンが次元と五ェ門に「お前ら日本人だろ!豆腐を食え豆腐を!」って言うのが面白かったですね…気にしたことがなかった…言われてみると、なんで世界を股にかける大泥棒がこんな日本人だらけのパーティ組んでるんだろうなとか気になってきますね…あと牡蠣で下痢しててすら上着+ネクタイスタイルを崩さなかったパート4と違って、ちゃんと上着脱ぐところが好印象…
ルパンの、格好つけを全部口頭説明させられた挙句の「あーもうかっこわりーなー!」が心底嫌そうでよかった。最後の一言は、今まで見たあらゆる作品のルパンの台詞の中で一番格好いいんじゃないかと思いました。
うわーーユニオンだーーママと一郎ちゃんとラッキーちゃん(※原作キャラ)だーーー!!!


003:殺し屋は荒野に集う
ネズミはともかく赤奇血汐やシャードックと十完まで出てきていよいよ原作オールスターの様相。モンキー・パンチ先生の手癖のせいで、次元のパチもんみたいなキャラデザの奴が多すぎる。
相変わらずルパンは爆イケです。というか会話がずっっっとウィットにとんでいるのでようやく気付いたんですけど、もしかして今作って旧ル的な「ちょっと大人のおしゃれなアニメ」方面なのかな!?次元だけ常に何か食べてるはらぺこのアホの子みたいな感じですけど大丈夫ですか?
とにかく画面を流れまくる一般人コメントから受けるストレスがすごい。きつい。


004:銭形の誇りと砂漠の埃
不二子が次元と五ェ門を指して「友達思いの男の子」って言うのが、言い方もあいまってセクシーなお姉さんみがすごくてとてもいいのですが、思えば2話で次元に「仕事仲間だ!」って言われたルパンが「せめて友達って言ってほしい」とか言ってたときにも気になったんだった…君たちは友達なの…?てっきり「相棒」って言うと思ってたので…。相棒だとスリーマンセル感が出ないからかしらん。とにかく4話目にしてようやく次元がキリッとしました。
なぜ一話に一回ゲイを題材にしたギャグがあるんだ。


005:悪党の覚悟
いやーゲストキャラメインのストーリーに連続5話も使うならテレスぺとかでよかったんじゃない~!?と一味好きとしては正直思いますが、終わり方が明るかったのでよし!訣別の雰囲気が悲しかった不二子ちゃんも何やかんやこっち側(仮)だったし!
銭形、年頃の女の子と同居するならタンクトップ生活はやめてあげてほしい。
今更だけどアミの髪型がかわいい(本当に今更)。ピーカブー、「ジャンプの読みきり漫画のやられ役の不良みたいな顔だなあ」と思ったらそれにしか見えなくなりました。あと、やっぱりPART5は五ェ門の顔がいい。
なんで階下の店にコショウ借りに行くだけなのに二人で行く必要があるんだ。友達だからか。


006:ルパン対天才金庫
うわーーーパースリ回だーーーー!!!
PART4→THE FIRST→PART5の流れで「かわいそうなゲスト異性」に食傷気味になってきたので(一気見しているせいです)、ここはおとなしくパースリとか見とくべきかもしれないなあと思っていた矢先のテレコム本気の昭和ギャグ回。おそ松テイスト作画(昭和なので…)の不二子がとんでもなく可愛い。あと昭和なので意味もなく土管のある広場で会議したりします。次元と不二子が仲良くしてると悪友みがあってにこにこしてしまうな。あと服がパースリなのでパースリ回って書きましたが、動きやテイストはわりと新ルの感もあります。
とにかく冷静になったら負けの話。グルーヴ感に飲まれろ!突然宮崎作画になるルパンや10tハンマーでルパンを殴る不二子にしびれろ!でも本当は2018年放映なので、女性に「とりあえず脱げ」とか言うのはダメです!
ここまでテイストを自在に操れるなら、例の『昭和男の走馬灯』エンディングもわざとやってる気がしてきましたね…?


007:その名はアルベール
一旦解散した次元がこれまでで一番のどや顔と決め台詞で再登場したので、「ハッハーン…これは敵の変装の奴ですね…」って思ってたらふつうに本人だったので申し訳ない気持ちになりました。あとルパンと次元の相棒/友達問題、今回は双方相棒を連呼してたのであっさり解決。
不二子に変装したルパンとか、ルパンに変装した次元とか、「相手のことが普段そういう風に見えてるんだな」というのがわかって凄く好きです。
今までの謎のゲイギャグは今話におけるゲイの重要人物登場の布石だった模様ですが、いやそれは布石としてどうなんだろうか。


008:黒い手帳は誰の手に
ソファの上でうー!って一瞬大の字になる次元をつい巻き戻して確認してしまう。かわいい。おじさんなのにスマホ打つの早い。
PART4が基本的に余裕こきルパンとすれば、PART5は本気ルパンといったところ。しかしよく撃たれますねこの人!
アルベールの声がやたらとよいな…誰…と思ったらこの人が噂の津田健次郎さんなんですね…?お噂はかねがね…


009:"ルパン"を棄てた男
次元ちゃんがいい相棒すぎて普通に泣きそうになるんですが…得難すぎるでしょ…よかったねルパン…。あと五エ門がしょっちゅう赤くなって可愛いんですけど五エ門沼に落とそうという制作陣の策略なんでしょうか。
それにしても物凄い量の殺し屋が出てくるシリーズである。バトルが多いのはいいことです。煙突の陰でのルパンと次元の会話が久しぶりに軽妙で明るくてふざけててよかったな。ずっと軽妙で明るくてふざけててほしい。
「男の趣味が変わってない」「あいつはルパンを棄てた」とか厳しい顔で言うから、本気でアルベールをルパンの元カレだと思ってました。違うんだ…


010:泥棒と泥棒
すっごいさらっと流れましたけどメキシコ回想の世界観おかしくなかったですか!?
共闘始めたアルベールとルパンが普通に仲がいいので、あんなにシリアスに「会いたくない野郎だ…」とか言うほどじゃなかったんじゃないの…?と思ったり。まあ会ったらがっつり撃たれたわけですけど。アルベール、ルパンの親戚だけあって(そうですよね?)ルパンのイケメンIFみたいな顔してるな。
「負けたと見せかけて相手の獲物を飛ばして目つぶし」が別パターンで連続2回も見られる(なぜ2回もやるのかはわからない)。


011:パブロ・コレクションを走れ
赤ジャケットの新ル回です!
あの壮絶な含ませとアダルトさと底の知れなさを誇っていたPART4及び本作1~5話の不二子と別ジャンルのこの、「覗かないで!」「目つきがやらしいからおんぶはいや!」っていう女学生みたいな単体エピソード版不二子(6話以来2回目)。幅が広いぞ不二子。顔もめっちゃ可愛い。悪く言えばこう、男の人に可愛がられる感じの、つんつんしてて気が強いけどちょっと頼りない、ジャングルにもブーツで来ちゃうもん!みたいなかわいらしさなんですけど、でも本当にかわいいからな…第1~3シリーズの不二子ちゃんってこんな感じですよね…
アイキャッチが新ルのオープニングリスペクトで最高だった。まさにこういう雰囲気が見たいんですよ!いやもうそしたら新ル見てればいいじゃん!そうですね!
最後、多分ルパンに対して、「結局は私より友達を取るんじゃない」って不二子がぷりぷり独り言を言うんですけど、やっぱり『友達』がキーワードのシリーズなんですか…!?何で私はそんな細部にいつまでもこだわっているのか…!?いや、彼らが友達だったらいいなって思ってしまうんですよ…いいですよね…友達…


012:十三代目石川五ェ門散財ス
ゆかいな五ェ門回。名言が多い。
夜な夜なやってくる不埒な輩に対する独り言「夜は寝ろ!」
ルパンに怒って「某とあの男では仲間の意味が違うらしい」
極めつけはルパンを追いかけ回す五ェ門に対する第三者からの「仲良しかよ」(友達じゃん…)(仲良しクラブなんじゃん…)※PART4 16話参照
女性絡みなのに変に色っぽく&しめっぽくないのもいいですね。PART5でいまのところ一番好きかもしれない。


013:弓と王女とテロリスト
五ェ門がいるおかげで癖の強い話し方の子が出てきても違和感がないですね!
男性に女性が戦いを挑む際の初動が、色仕掛け一本勝負しかないように見えてちょっとしょんぼり。子供のアミにやられるとかなりしんどい。不二子ちゃんはいいんだけど…百戦錬磨だから…。「選択肢からそれを選んでいる」のと「それしか選べない(と思っている)」のとはまた違うから…。


014:王国の盗み方
屋台料理を渡されて順番にアチアチする愉快な三人組になごむ。
アミが自分を鼓舞するときの言葉が、「ルパンならできる」とかじゃなくて「不二子に笑われる」なところがいいなって思いました。
ていうかまじでめちゃくちゃ怪我するなルパン!?お腹ズタズタじゃない!?


015:ルパンと彼女の関係
腕力ある不二子ちゃんーーー!!!(かっこよすぎて泣いてる)
「女は色仕掛けしかできないのか?」という13話からのもやもやへの、本シリーズなりの回答の回でした。
次元と五ェ門は一体何してるのかと思ってたら、予想以上に何もしてなくて笑う。塔に女盗みに行くときは一人で行かなきゃいけない法則でもあるんですか!?昼間は特に理由もなく二人で侵入してたじゃん!!
あったなあ不二子ちゃんが裸でルパンを温めてくれるシーン(『くたばれノストラダムス』)… 緊急事態ではあるんだけど子供の前で突然やるのはどうなんでしょうか…市街地なんだし手術セット探せたんだから、毛布も探してきたらいいんじゃないでしょうか…
五エ門、一人でいろいろこなしてしまうルパンに対する蚊帳の外感でもんにょりするのはわかる(そういう時は私も見ていてもんにょりする)のですが、1シリーズで2回も死にかけて仲間に回収されて一命を取り留めている人について「仲間は要らないのではないか…」とか言われても「要るやろ」としか思わないのである。五エ門いなかったら8話で死んでたよルパン。落ち着いて。
後半、シリアス展開なのに不二子の顔がキュート方面に全力でかわいい。本当にすっごいかわいい。この作画のラバーマスコットがほしい。


016:初恋の話をしよう
すっっごい顔が好みな人出てきたなー!ひゅー!と思ったらルパンの変装だったのでくそッ…!!となりました。なにあのキャラデザの気合い!とかいっている ばあいでは ぜんぜんなかった
「友達、一人しかいなから」
「俺だって友達は二人だけだよ。たぶんな」


ともっ……


(一時停止してもがき苦しむ絵文字)
あーーーー
相棒や仲間だって唯一無二のすごく強い表現なんだけど 友達という言葉にはさ 好意が 相手に対する明確な好意の表明が含まれるから ルパンにとってはあのふたりが友達なんだね そっか 友達もっと大事にしなよ ていうかこの「たぶんな」は「3人以上いるかも」のたぶんなじゃなくて「向こうがどう思ってるかは知らねえけど」のたぶんなでしょ…? 自信ないの…? おいおい…おいおいおい…
友達………やっぱりテーマだったんじゃん………

「恋」の話の時の次元のリアクションが大人で、何かもっと「はぁ~?やめとけやめとけ」とか言うと思っていたので反省しました。恋を知る男のそれだった…。五ェ門は五エ門で彼らしくてよかった…。
ラストの不二子の恋愛感情をデリカシーゼロで問いただしてくる銭形、親戚のおじさんみがあってすごいよかったです。なにこのふたり、新しい。好き。


017:探偵ジム・バーネット三世の挨拶
面白いかといえば別に面白くないんですけど非常に挑戦的なので私は好きでした、なグリーンジャケットルパンによる館ものミステリパロ回。もう一人くらい一味から誰か連れてきてもよかった気がしますけど、不二子とか。しかし出てくる女が全員ルパンに惚れるシステムはなんとかなりませんか?PART5のルパンがイケメンモードだからなのか?考えてみると昭和のエロ(覗きやボディタッチやベッド飛び込み)を封じられた今のルパンは単なる(?)立ち振る舞いが粋な親しみやすい人なのかもしれないですね…?
単発回専用書き下ろしアイキャッチが相変わらず超いいというのと、トイレが壊れた話しかしていない次回予告が面白すぎて笑いが止まらない。PART5の服着てるってことはメインストーリー回なの!?トイレなのに!?と思ったら次元のネクタイが白いからPART4だ!


018:不二子の置きみやげ
・次元がコバキヨボイスで「まだ(尿が)出る!!」とか言うのを聞く日が来るとは思っていなかったトイレトラブル回。というかゆるふわ日常回。
・私ずーーーっと「次元があおむけでゴロゴロしてるときに銃はどこにあるのか(お腹側に寄せたりするのか)」って疑問に思っていたんですけど、普通に背中にあるんですね…絶対痛いと思うんですけど…床だし…でも物音でとっさに銃に手をやるとこがかっこよかったのでALL OKです…
・ルパンが水道屋さんを「水道屋さん」ってスマホに登録してるの超かわいくないですか?「さん」要る!?
・「おぬしも赤の他人だ」って不二子に普通の顔で言い放つ五エ門がひどい。そりゃ例の「結局は私より友達を取るんじゃない」になりますよ。「細長いもんで何を突っつくんだ~」(※トイレの詰まり)ってわかってるくせにダラダラ聞く次元の方がまだ感じがいいよ。
・「とりあえず脱げ」「やあよ!!」という側面も、ためらいもなくすっぽんぽんで飛び出してくる側面も内包しているのが峰不二子という女…。
・それにしても涙目彼シャツの峰不二子にわざわざトイレを乞わせておいて返事もリアクションも特にしない(トイレは貸す)次元大介半端ないな!(涙目彼シャツの峰不二子がトイレを乞うアニメって何ですか?)残されたルパンと五エ門の「つまらん」「詰まってんだよ!」「斬るか?」「乗り切る!」のあたりのラーメンズ感というか脚本の遊びがよかったです。
・ルパンが不二子にデレデレしてると超安心するので早く仲直りしてください。
・単発回専用アイキャッチ、旧作へのリスペクトがすごすぎて見るたびに郷愁の念で泣きそうになる。リアタイ世代じゃないのに…


019:7.62mmのミラージュ
のっけからバカンスしてるルパンと次元…バカンスまで一緒に行くんだ…な、仲良しだね…
↑この一文を残してその後一文字もメモを書くことなく、最後まで観てしまいました。えっちょ…良……!!良……!!!
作画・演出もよければチェスプレイヤーたちを挟んだ銃撃バトルという舞台もおしゃれで、いつも砂漠だろうが雪山だろうがスーツでライフルばんばん撃ってる次元が突然リアル寄りのスナイパー装備になった(割にはライフルは間に合わせだった)のも致し方なしと思うほどの超絶スナイパーバトル…
え、良かったですね…単体キャラ話に当たりが多いぞPART5…私の中で名作殿堂入りです…。


020:怪盗銭形
銭形回。普通記憶喪失で困ってるときにあんなに自分の過去知ってそうな人が接触してきたらもっと話聞くと思うけどな!?
三人の対比(ルパン:銭形を心配している/次元:ひたすら面白がっている/五ェ門:寡黙。黄色い襟巻きがとても似合う)が面白かったです。ルパンが銭形を好きそうにするのが好きだなあ。というか私は誰かが誰かを好きそうな様に弱いんだな…


021:時代遅れの大泥棒
ごっ五ェ門も私と同じ、相手との関係性の名称にいちいちこだわって巨大感情抱く系パーソンなんですか…!!?握手!!!
五ェ門と女子高生の組み合わせは古来より縁起物とされています。拝め拝め。
PART5のタイトルセンス、キャッチーで好きだなあ。
しかしこれ食べログに怒られたりしなかったんだろうか。


022:答えよ斬鉄剣
懐かしの昭和キャラたちがみんなスマホ持ってる!この分だとクラリスフェイスブックやってるな!
ヒトログの仕組みをようやく知った五ェ門があんまりかわいくて製作陣ーーー!!と思っています(おもうつぼ)。あと関係性の名前ちまちま入れて確認してて関係性オタクとしてもう一度握手したかったし、一番下に「友達」あったんでそこ みせて みせて!!!!信憑性のステータス何だった!!?とかぶりつきました。
とはいえ五ェ門的にはふたりの関係はineffableなんだ…それもまたよしだよ…と思ってたらとんでもないことになったしルパンは全24回しかないアニメで重傷3回目なのですがまじで怪我ネタ大好きなプロデューサーでもいるんですか?同人誌か??
次回予告の次元が会社辞めそうな同僚を居酒屋に誘うおじさんみたいでよかったです。


023:その時、古くからの相棒が言った
いやそりゃ次元が助けに来るとは思ってましたけど、SSK(1stシーズン等でルパンが乗っていた超かっこいい車)で来るとは思わないじゃないですか………(泣いている)え、エモい………
何か作戦があるのかと思ったら「銃をいっぱい持ってくる」だけだったのに無傷で一団に圧勝。これと渡り合ってたうえに肩撃ったってすごいな!!?とまさかのミラージュ株爆上がり。五ェ門、念のため次元も斬っといた方がよくない?大丈夫?1シリーズ3回重傷のひとよりこっちの方が強そうじゃない?
最初に振り返ったときはやる気なさそうだし殲滅後もいつにも増して猫背だけど、その間の戦闘中だけはアドレナリン全開の悪い笑顔を浮かべてて、ガンマンなんだわ…と思いました。そして、そこまでやって再会した次元がルパンに伝えるのが相棒愛でも激励でも罵倒でもなく、引退勧告なのでした。会社辞めそうなのこっちだった。
『ファースト・コンタクト』がよた話だと仮定すると、ルパンと次元はいちばん最初、50年前の第1話から何の説明もなくずっと相棒で、今シリーズにおいてファミリーの中で唯一自分とルパンの関係性を問いたださない、むしろ自分から仕事仲間呼ばわり(2話)の彼がここで口に出すのは相棒でも友達でもなく「一番古い付き合い」なんだなと思いました。義理堅い、義理堅いよ…次元大介
例の城はもちろんなんですけど、次回予告の背景に五ェ門が追加されたことに感無量です。あともちろん「俺の名はルパ~ン三世」というあの台詞に。エモを煽ってきやがるぜ…


024:ルパン三世は永遠に
6話の問題児ヒラメキ兄弟が元気に再登場したことによって、あの昭和日本とこの話が地続きであることが判明してしまい、10トンハンマー振り回したりノミでルパンの脳削ろうとしたり「おりこう酸だわ!」ってニコニコ言ったりしてた不二子ちゃんと屋上でファム・ファタール然としている不二子様が同一人物だと確定したのであった…いいのか!いいのかそれで!そもそもPART5が過去作全肯定路線なのはわかってたんですけどヒラメキ兄弟もありなのか!!いいけど!!
私が不二子だって、同棲失敗したあとに彼氏が男友達とあんな楽しそうにルームシェア(※厳密には別室)してたら切れるわ……特に21話の次元との「住み慣れた家にうまい飯!うひゃひゃ」「ガレットよりガールフレンドが好きだけどね」「懲りねえよなお前も笑」のあたりがものすごく腹が立つわ…と思いました。あと不二子が「男女の友情って信じてないから」と言いきるところ、不二子なら致し方ないとも思いますが、とはいえ6話で次元ときゃっきゃしながらルパンの脳力下げてたときすっごい友達ぽかったよ。くそう6話がどこまでも解釈を邪魔してくるな!(6話大好きです)
ビルの側面滑り降りシーンで流れるサンバ・テンペラード、大好き!名曲!しかしあのおしゃれオフィスのどこから段ボール4枚も出てきたんだ。
ビルの下に着いた不二子が、憑き物が落ちたようにかわいい不二子になっててよかったです。トイレ借りてくれそう。

 


(2/24追記)
じわじわ色々考えたんですが、23話で引退を勧める次元にルパンがメタい物語を身振り手振りで語って説得を試みるところ、カリオストロの「今はこれが精一杯」のあたりの再現ですね…クラリスにやってたこと次元にやってんの…!?(23話終盤の城や24話の次元のフィアットの上から上半身突き出してやる「やったー!」も明らかにカリオストロなので、23~24話は相当カリオストロ
泥棒の力を信じない人にルパンが持ち出すのはいつだって物語なのだ…。
ルパン三世は全身全霊で、彼自身が「そういう俺が好き」(※1話)だと思う人間そのものであり続けていて、それは自分を偽っているとか無理しているとかそういうものではない、こうありたいという自分をぶっちぎりで貫き通すやり方であり、いわゆる「友達」「ファミリー」であるところの次元や五ェ門はそれにいつまでもどこまでもついていけるわけですが、対して関係性に名前をつけられない不二子には、そういうルパン本人の大好きな「ルパン三世」の下の素顔を見せた、という話だったわけですね…PART5…


私は原作推しではあるもののルパンの本当の顔は今みんなが見てる顔でいいと思っている派で、それは単に「素顔は仲間にも見せないルパン三世」というちょっと冷たい感じの解釈は寂しいな、と思うからなんですが、万一PART5的にぺろっとした下に別の顔があるとしても、四六時中自分が気に入った第二の顔でいるならばそっちこそが本当の顔じゃない!?とも思います。つまり、「いつもはお気に入りの顔でいる」みたいなのがいいな!
第一、顔、親戚のアルベールに似てるし…。