月刊パラレログラム

月刊パラレログラム

備忘録を兼ねて、映画の感想など。

大塚次元をようやく聞けて、情緒ががたがたになった日記

大体オリンピックくらいのペースでやってくるルパン三世の個人的大ブームがまたやってきたので、未視聴だったPART4・5やその他過去作品をじゃぶじゃぶ摂取しながら、その先に待っているPART6第1話からの、次元の声優交代にずっとおびえていました。
実際のところ、私は以前から交代は『あり』派で、だって新しいのと古いのを交互に見るとどうしても年齢は感じるし、不二子や五エ門の声優交代も、そしてもちろんクリカンルパンも物凄く好意的に受け止めているので(そもそも最初にルパンを好きになった時点でとっくにクリカンになってた訳ですが)、必要があれば次元の声が代わる選択肢だってある、もちろん今の声だって大好きだけど、久しぶりに若々しい次元になってもいいよね、と思っていました。ほんとに。しかも結構前から。寂しいけど、仕方ないよね、突き詰めればキャラクターと声は別だしね。みたいな。

でもじゃぶじゃぶシリーズを見て湯水のように聞けば聞くほど、浴びれば浴びるほど、次元が本当に、いい声で。全ての台詞に、夢のような抑揚と粋な揺れがついている。次回予告が次元の担当の時、「次元大介だ。」って最初に言うんですけど、この言い方だけで泣きそうになるくらい次元大介。じげン、だいすけだ。「ン」のあとが途切れて、「だ」のあとが心なしか長い。あの魅力を文字では表現できない。お時間があれば聞いてください。

結果、PART5の話数が進むほど、最後に待っている終わりの予感に苦しくなり、純粋に楽しめなくなるという不測の事態が発生。
いやでもこの先にあるのは本当は終わりじゃない、明るくて前向きで、素敵なことのはずなんだ、頑張ろう、いやもうごめん耐えられない先にそっちを見よう!!だって毎週オンエアしてるんだし!!この先に待ってるのが悲しいことじゃないって思わせてくれ!!

↑上記経緯(情緒の乱れ)により土曜日のPART6放送を見る決意を固めていたんですが、たまたま私用で見られないということが判明し、じゃあもう今見るしかないぞ、と木曜の夜に覚悟を決めました。

 

第1話はやっぱりPART5完走したあとにしっかり見たいし、複数話に跨るストーリー回を途中から見るのもなんだかなという感じだったので、単発っぽいタイトルの中から次元がサムネに出ている=確実に声が聞けるであろう話をチョイス。ちなみに第3話「大陸横断鉄道(嘘)の冒険」でした(超素敵なタイトル)。ところが再生してみたら全然次元が出てこない!アッやっと出てきた。
「さっさと着ろ」「おっ、来た来た」
二言!!短い!!わからない!!低いことはわかる!!ベルベットボイス!!
これはらちが明かない。確実に次元がいっぱい出てくる奴にしよう。第15話「祝福の鐘に響けよ、銃声」。サムネと説明文とタイトルで完璧にわかる、これは古き良き次元女がらみ回!
ちなみにこれはこれで落とし穴がありまして、のっけから雨をきっかけに次元が過去の女を思い出してふさぎ込んでいるので、全然しゃんしゃん喋らなかったんですけど!
悲しげにぽつぽつ喋る次元をはらはら…と見てたのもつかの間、その後の回想編で怪我を心配してくれた通りすがりの女性に「行け」と短く言う場面で私はそれをさらりと聞き流し、そのことに気づいてあとから超びっくりしました。もうこの声を、次元の声だと思ってるじゃないか。
大塚節というのか、スネークやバトーのような、体格のよさや精神的マッチョさ(?)みたいなものを思わせる感じが上手になくなっている感じがします、大塚次元。次元といえばこのくらいかな、と無意識に想定している声より低いんですけど、思えば初期の次元はこのくらいだったかもしれない。
他の台詞で言うと、「ここが犬どもの――ねぐらか」とか、よかったです。あの「ねぐらか」はとてもいい「ねぐらか」。すみません文字で読んでも意味がわからないと思うんですけど、ものすごく、寄せを感じる。物まねではないのに、声も違うのに、全力で従来の次元に寄せているし、ちゃんと寄っている。
ちなみにストーリー自体は前述のとおり古き良き次元女がらみ回そのものなんですけど、最後止め絵で終わったのが本当に古き良き表現過ぎて笑ってしまいました。好きだよ!こういうの!
こういう意図的な過去作リスペクト回だったことも、受け入れやすかった理由かもしれません。

 

見終わって、ぼうっとツイッターで「大塚次元」とかで検索して、おおむねみんな好意的なことを言っているのを見て、ああよかったなあ、などと思っていたら、たまたま新シリーズ放映開始の前に作られたと思しきルパン&次元のキャラクターPVがあったんです。で、それを見ました。

www.youtube.com

 

泣くよね~。泣きました~。昨日今日でこのPVを10回以上見ている~。

 

この「逆じゃねえかァ↑?」で、私の何かがアッサリ救われました。何故ならもうほんとに次元だったので。
ルパンじゃなくて新生次元のほうに「相棒、出番だぜ」って言わせるの、どういう神経をしてるんですか(いい意味で)?画面を流れていく字が、わりと陳腐なんですけど、刺さる。『あなたは相棒と呼べる仲間がいますか?俺にはいるぜ。』そうか…いるのか…よかった…いるんだね…

ルパン三世というコンテンツは作品ごとやシリーズごとに、というか何ならシリーズのなかの話ごとに全然設定も話自体のテイストも違ったりしていて、個々のキャラクター解釈なんてほぼ不可能なのに、あの帽子を目深にかぶった次元大介がどうしてこんなに好きなのかは自分でもわからないんですけど、でも私だけじゃなくてとんでもない数の人が50年も前から、あの派手な先祖がいるわけでもない文句たらたらのナンバー2が大好きで、別に彼を好きじゃない人でも、早撃ちガンマンと聞けば次元大介だとまるで当たり前のように思っていて、そういうキャラクターがあたたかく丁寧に手渡され、誠実に受け取られたであろうことが分かったので、情緒は依然としてめちゃくちゃですけど、もうそれで十分だと思いました。
残りの小林次元(小林次元、なんてわざわざ断る日が来たんですね)も、明るく楽しく見られそうに思います。

 

 

言うてトレイラー+すでに18話もやってるPART6をたった1話しか見ていない人のコメントなんですが、ここまで情緒乱れたら記録しておくべきだろうと思い、書きました。こんなの笑い話になるくらい、今後もどんどん馴染みまくっていくんでしょうね!
ちなみに一夜明けた今日はコバキヨさんが次元引退に際して出した死ぬほど粋なコメントとか大塚さんの先代リスペクトに溢れたインタビューとかわざわざ読んで、より一層情緒を乱しています。大塚次元の小池ルパン早く見たいな~!!

ルパン三世PART4及び小池作品(『墓標』~『嘘』)の感想を書く

※各話のネタバレがあります。

放映時に途中までしか見ていなかったPART4をふとさらい始めたら止まらなくなって4日で全部見た+ついでに小池ルパンも全部見たので、ながら書きした各話感想です。次元の話が多いです(好きなので)。
※覚え書き代わりなので盛大にネタバレしています。とはいえ、そのわりには本当に言いたいことしか言っていないので筋の話とかしていません。
※文中の「旧ル」は1stシーズン(ルパンが緑のジャケット)、「新ル」は2ndシーズン(ルパンが赤のジャケット)を指します。

ルパン三世 PART4

001:ルパン三世の結婚

何はさておきオープニングが最高。ルパン三世のPVとして完璧。このシリーズ、全員のキャラデザとカラーリングがすごくよくて本当にびっくりしますよね…特に五エ門をサーモンピンクにした人が天才だと思います…ルパンの青ジャケと次元の白ネクタイと不二子ちゃんの髪色ととっつぁんのコートも…(つまり全部…)。
「ミセスルパン」という単語の語感とキャッチーさがもうそれだけで大勝利、「ルパン三世の結婚」というテーマと共にこのシリーズへの期待を増していく。ところでイタリアの結婚式でもご祝儀ってあるんですか?

002:偽りのファンタジスタ

序盤に映るサッカーの試合のあまりの動きの悪さに、このクオリティの作画で全編見るのしんどいな!?とびびったもののその後持ち直し、後半の「何の恨みもござんせんが…」のあたりの「喋りながら前を走る車のタイヤを狙って腕の角度を微調整する画」に至っては思わず巻き戻して見直してしまう良さでした。
ルパンがトイレに立ったせいで、突然不二子と次元のデートパパラッチみたいなカットがあってたじろぐ。あとこのトイレタイムのおかげでルパンがハンカチくわえながら手を洗うタイプの人だということが分かります。紳士じゃん…

003:生存率0.2%

この話、次元の十字架貼り付け拷問シーンがあるんですが、これをどうとらえたらいいのかが全くわからない。ルパンが元気に乱闘している背後に神々しいライティングで延々と映っていて死ぬほど気になる。単に拘束するならもっと椅子とかでよかったんじゃないかな?あとカットによってシャツの前が開いたり閉じたりするの気になるからやめてください(水攻め&足からの感電拷問で前開ける必要あるかな!?)

004:我が手に拳銃を

次元が虫歯が痛くて痛み止めを貰いに行く回。いや感電拷問耐えられるなら虫歯も治しなよ!
パート4、時流に反して(?)次元の髪形がオールバックじゃなくて前髪ありなんですが、これはこれで可愛いのでありです。つむじにヘタがある。
全体的には、「そうやって撃ったらそりゃそうなるわ」という話です(としか言いようがないので見てほしい)。次元が拳銃を受け取るときにくるくる~とするのがよかった。私は武豊(ジョッキー)が馬上で鞭をくるくるするのも大好きです。何の話?
1話に比べて銭形のIQが急激に上昇している。

005:魔法使いの左手

作画が!!いい!!
サーカスを回りながら話を聞いて真相が明らかになっていく話、凄いワクワクしますね…逆転裁判2の第3話みたいで…(限定的な例え)。あと背景で虎をかまう次元、可愛かったですね…
不二子とひまわりっていう組み合わせの意外性がいいな~、回想に入るときの演出もいちいちいいな~。この話で好きだなと思ったところのほとんどが台詞以外の部分(画面の演出や背景の小ネタ)だったので、アニメって多重的な表現だな~と改めて思いました。
最後のあたり、ルパンと次元が何の必然性もなく地上二階(以上)のビルの屋上から道路に飛び降りて普通に話し始めるの笑う。足腰が強すぎる。潜むなら物陰とかでいいと思うんだけど!

006:満月が過ぎるまで

とっつぁん回。
エレナの生え際もうちょっとなんとかなりませんでしたか…?あまりにもまっすぐでは…?
他の誰も知らないという設定の死んだ大富豪の隠し財産が輪切りのパイナップルみたいな並べ方で積まれた大量の金塊なわけですが、あれ積むのに作業員絶対100人くらいいるから秘密にできないでしょ…と思いました。

007:ザッピング・オペレーション

少女ブリジットにすごい勢いで押しまくられて、たじたじしながら「だったらってェ…」っていうルパンがかわいい。
ニクスさん、いきなり実の娘がいる方向をガンガン撃つのはダメだと思う。そもそも切れやすい時点でMI6にちょっと向いてないと思う。
ところでイタリアってお金に字書いていいんですか?

008:ホーンテッドホテルへようこそ

作画がいい…たまに神々しいまでの神カットがある…。

おばけにビビる次元がコバキヨボイスで「うわーう!」とか「うわぉう!」とか独特に叫ぶのが非常に良いですね。
カーラだけ画風が別アニメ。明らかにジブリ風のお姉ちゃんとも違う。敵キャラの設定・性格もわりとジブリみが強い。宮崎ルパンを意識しているのかもしれない。城だし。
パート4はルパンと次元の仲良し珍道中を延々見られて楽しいなあ。

009:殺し屋たちの鎮魂歌

いやルパンと次元の仲良し珍道中は・・・・いいんだけど五ェ門何やってるの?と思っていたらちょうど五ェ門回でした。
タランティーノ映画くらいひとが死にます!ベラドンナ作画コスト低そう。最後の最後で身体能力のリアリティラインがバグる。このアニメにおける銭形の立ち位置がわからない!

010:恋煩いのブタ

不二子とレベッカに(惚れ薬の作用とはいえ)モテてるのに、ばか野郎~目を覚ませよな~!としかならないルパンいいなあと思いました。対等な関係性の描写が好きなんだと思います。だから最後の「アホなふりしてたんですよ…」というような感じのひとりごとの方は特にきゅんとしないのであった。ワインの名前「恋煩いのブタ」が凄くいい。

011:イタリアの夢 前編

不二子が電話で言う「やあよ」、超よくないですか…「やあよ」…
次元十字架事件から思ってましたけどこのアニメ拷問の扱いが軽くない?助けられたときにすぐに元気いっぱいになりすぎじゃない?あとそろそろMI6(本物)は怒りませんか?

012:イタリアの夢 後編

本シリーズは新ルと旧ルとときどきカリオストロをいったりきたりするテイストなのかな~と思いきや、急にごりごりの複製人間リスペクト回でした。いろんなテイストをカバーしているのは全方位のファンへの気遣いというか目配せなのだと思いますが(今回も堂々たる旧ルリスペクトシーンがあるし)、こっちはホーンテッドホテルからの温度差で風邪引きそうです(一気見するせいです)。
次元と不二子が仲良く賭け始めたりするのでどうしようかと思いました。どんどんきれいなルパン(きれいなジャイアンと同じ意)になるんですけどコウに侵食されてるんでしょうか。怖すぎる。私たちのルパンからコウを抜いて!ニクスはコウモリなんだかネズミなんだかはっきりして!

013:ルパン三世の最期

すっかりコウが抜けてる!よかった~!と喜んでたら新アイキャッチが旧ルファン狙い撃ちすぎてキー!!好き!!となりました。次元と五エ門ver.もあればいいのに。
トリックには普通に感心してしまいました…なるほど…イタリア編っぽい…。

014:モナリザを動かすな

ありとあらゆる泥棒ものフィクションを見ているときに発生する感想「一切動かさなければいいのでは」を解消するとてもいい話でした。タイトルもよい。
仮面ルパンの早撃ちめっっっちゃかっこよくないですか!?早撃ちだと感覚でわかる、腰で撃つ早撃ち…思えば今まであんまりルパンのアニメで「早撃ちだ~!」って実感できたことがなかった気がする…対決シーンだとむしろスローモーションになったりするし…
全体的に次元ちゃんが楽しそうにしてるので花丸です。おあつらえ向きだ→一丁あがり、のところとか。
そもそもパート4の次元ってエモ成分(暗い過去など)を全く背負わされてなくて、やたら付き合いのいい気のいいガンマンって感じで凄く友達になりたいタイプですね!五ェ門の方がまだしっとりしてたわ!

015:ハイスクール潜入大作戦

地味なシーンですが、次元の「ったく笑」に仕方ねえな感が沁みていてよかったです。
「ルパン!?風の噂で聞いたことがある」とか言われてるんですけどこの世界でルパン三世って風の噂レベルのひとなんですか!?嘘でしょ!?
全体的にキャラクターのIQが3くらいしかない話でしたね!

016:ルパンの休日

車で日本酒飲みに行くんですか!?と思ったんですがそもそも泥棒の一味にそんなことを言ってもしょうがないのであった。
動物見るととりあえず指出す次元(5話以来)…きゅるきゅるの小型犬と五ェ門…好き…五ェ門は大体赤面している…精神の修業が全然足りてなさそうでかわいい…
3人が適度に仲良くなくて、凄くよかったです。「仲良しクラブじゃない」発言に「仲良しクラブじゃなかったの!?」とは思いましたが…少なくともパート4のルパンと次元は四六時中つるんでるようにしか見えない…おしゃれレストランでピザシェアしてたじゃん…
花火見てる五ェ門で、今シリーズ一番笑いました。

017:皆殺しのマリオネット

舌の根も乾かぬうちの仲良しクラブ回。
牡蠣でお腹壊しているときに最も閉じ込められたくない感じの場所(出口のない地下室)に閉じ込められてましたが、トイレとか大丈夫だったんでしょうか。そもそも何で次元と不二子はふたりで牡蠣食べてたんでしょうか。仲いいの?
しゃがんでいる次元の背中から始まる一連の次元VS五エ門シーン、大変よかったですね!しかしこのアニメ、(主にニクスの)戦闘シーンのたびに突然作画のテイスト変わるんですけど何でなんですか?
「ダイエット中」の説明をしている次元を見ている止め絵のルパンの顔が面白すぎて、笑いの記録が更新されました。

018:始まりの晩餐

レオナルド・ダ・ヴィンチ、生前遅筆だったのに物凄くがんばってるじゃない…と思うなど。画材の進化かもしれない。
メインストーリー回が苦痛ということに気付き始めてしまいました。まずい。ずっと寄り道していたい。

019:龍は静かに眠る

ニクスに心底興味ないことに気付きとてもまずい。でももうひとりの準レギュラーレベッカはともかく、思い込みですぐ怒鳴りつけてくる切れやすいおじさんに興味湧かなくないですか?ごめんニクス!家庭的な面は凄くいいと思う!

020:もう一度、君の歌声

電話が鳴った時に「お出になったら?」とさらりと言える不二子ちゃん、品の良さがすごい。
独特の作画&テンポの回で、変わってるな~と思っていたはずなのに最後にはうっかり感動してしまいました…

021:日本より愛をこめて

ホームズとグレコ(17話)、顔一緒じゃないですか!?予告を観てグレコが復讐しにきたんだと思ってたら全然違いました。キャラクター識別能力が低い。
・ルパンは不二子一筋なんて忘れたと言い、ナンパに行く気まんまんで世界の恋人を自称
・銭形が不二子を「ルパンの惚れた女」と称する
・不二子がルパンを助けに行く理由は明示されない
・この話でルパンに明確に「愛してるぜ~!」って言われるのは次元であって不二子ではない
こういう一言で言えない関係性が保たれているのがすごく、すごく絶妙…
あと五ェ門(仮)と仲良く飲んでる回想の不二子が文句なしに可愛い。

022:ルパン、頂きに参ります

ルパン~!!小娘を相手にしないルパンの大人ムーブが刺さる!しかし何歳なんだレベッカ。酒も煙草もいける年ならもう少し意見を尊重されてもいいんじゃないかなとも思いましたが、精神年齢がルパンには幼いとかなんですかね。不二子が強すぎるだけなのでは…?
不二子の絶妙なちょっかい加減がいい。このシリーズのルパンと不二子の関係性の解釈、めちゃくちゃ私と合っていてすごく嬉しい。
次元の貴重な絵心シーンあり。相棒のことそういう感じで見えてるの…?虫かと思った…

023:世界解剖 前編

レベッカは「イエベ春に似合う口紅選び対決」とかしとけばよかったんじゃないかな。

024:世界解剖 後編

一味のみんなは合格&起床していたはずなので、ルパンの機械操作で再入眠したんだと思いますが、そうするとダ・ヴィンチなしでルパンしかいない夢を見たんじゃないでしょうか。シュール。
最終話にして突然昭和のエロ(胸に顔面から飛び込むラッキースケベ)が出てきて何事かと思いました。あと、今まで数々の作品で死ぬほど観てきた「フィアットの上の窓から後方撃ち」のとき、まさかあんながっつり助手席の人の肩に座ってると思わなかったな!面白!

025:ヴェニス・オブ・ザ・デッド

番外編その1。女に塩対応のルパンが相変わらず刺さる…!
紋付きで映画見に来る五ェ門が最高やなと思いました。

026:ノンストップランデブー

番外編その2。のっけから『墓標』の名台詞「ロマンに欠けるな」を安売りする次元。
銭形マーチがかかると無条件にテンションが上がってしまう。物凄く好きな感じのコメディカル仲良しルパン&銭形回だったんですけど、銭形のキャラといい女性ボーカルで〆るところといい物凄くテレスペ(東京クライシスとか)っぽい話でしたね!最後までキャラぶれし続ける銭形!

 

以下は小池ルパンです。

次元大介の墓標

3回目だな~と思いながら観始めましたが、冷静に考えたら多分4回目か5回目でした。
モンキー・パンチ先生の原作絵がとても好きな人間として『峰不二子という女』が始まった時には「奇跡…?」と思ったものでしたが、『墓標』の制作が発表された時には嬉しすぎて本当にどういう奇跡なんだと思いました。
(そして仕事帰りにTOHOシネマ新宿のレイトショーにほくほく行き、次元死にっぱなしでエンドロール始まったときに「嘘だろ…?」と思った)(本作は前後編がエンドロールを挟んで連続上映される大変紛らわしい仕様です)
ウーン何度見ても好きすぎて冷静な評価ができない!とにかく絵がいい!あと仲良くないバディがしぶしぶつるんでる様を見るのがとても好き!
不二子見世物シーンは性癖の開陳が直接的過ぎるというか何なんこれと今でも思っていますが…
やっぱり真の早撃ちは腰で撃つんですよ!次元はいつも余裕こいて物凄く真正面で撃つが!
あと視聴4回目か5回目にして、「ロゴが凄い同人誌っぽいな」と思いました。
DVDBOX買うと、設定資料集と原画がしこたまついてきて最高なのでおすすめです。

『血煙の石川五エ門

予想の10倍グロいなます切りムービーでした。びっくりした!これは映画でしかできない!
こんなに人間の断面見るのジョジョ以来では。今敏監督作品みたいな雰囲気でした。スーツのおじさんがいっぱい出てくるからだろうか。
墓標で「俺たちはビジネスパートナーだ…」とか言ってた次元があまりにもルパンにオープンマインドしてるのでこれ2年くらいたってるの?と思って調べたら監督が「1か月後」って言ってました。急になつきすぎだろ!
ルパンと次元が景気よく大怪我しながらうわー!わー!がんばれごえもーん!ってなってるの可愛かったですね…愛でる暇もないくらいグロかったけど…。あと男のロマンを「馬鹿」のひとことで片付ける不二子がとてもよかったです。

峰不二子の嘘』

不二子と子供の組み合わせである+母性をフィーチャーしたみたいな話を公開時の宣伝でしていた気がして若干敬遠していたんですが、見てみたら全然母性推しじゃなくてよかった。このルパンと不二子の感じ(特にラスト付近)はとてもいいなあ。しかし相変わらず小池監督の不二子は色仕掛け描写が直截的だな…
作品を重ねるにつれてみんな仲良くなってきてしまったので、この小池ルパンシリーズ(LUPIN THE IIIRD)とテレビシリーズ(旧ルあたり)との差異がだんだんなくなってきていると思うんですが、『墓標』のラスト的にやっぱり最終的には複製人間に接続するんでしょうか。
かつて偽カラミティファイルに「ネクラ」と書かれていたとは思えないくらい次元が楽しそうにしています。子供に銃を見せびらかすんじゃない。あと終盤でまたしても私の大好きなスローモーションなしの腰位置の早撃ちが見られます。他に見られるルパン作品があったら教えてください。

MIU404の好きなところ(細かすぎ編)

※2020年のドラマ「MIU404」の多分なネタバレがあります。

昨年放映されていたドラマMIU404は皆さんご承知のとおり物凄く、物凄くよいドラマであり、その圧倒的な物語力を前に、私のような感想弱者は到底包括的な知見など言語化できない状況なわけですが、それはさておき最近アマプラ配信等を機に約3周目を敢行しましたので、ついついメモらずにはおれなかったぐっっっっときたポイントを以下に残しておきます。立ち位置としては「視聴時のうめき声ツイート」に近いものです。断片的なので未視聴だと意味不明だと思われます(ごめんなさい)。
なお、終盤のシリアス展開のあたりはメモってる場合ではなくなるのでほぼ8話までしかありません。

【MIU404の好きなところ(細かすぎ編)】

1話
・陣馬さんが、桔梗さんには「キャリアなんて面倒見れねえよォ~!(大意)」と言っていたのに、当の本人九重君には「お前の面倒なんて見たくない」「キャリアと俺たちは違う」感を一切出さずにちゃんと気遣いながら指導をするところ。
・志摩と伊吹のさん付けと敬語。破天荒だろうが初対面は敬語。そりゃあそうだ。でもこの「そりゃそうだ」をちゃんとドラマで再現するのが凄いことだと思う
・桔梗さんの叱り方。感情的すぎず親身すぎない感じ。
・志摩の「うわっすごいちょうど9時」あまりにも言葉が生きている。本人ではない人(役者)が演技として発した言葉と思えない。趣味で字を書く人としてぞっとした。台本を確認したら恐らくアドリブだった。怖すぎる

2話
・志摩の「ほんっっっっとーに足が速いですよねえ…」
・田辺さん(夫)の「ごめんね!」絶対泣いちゃうんですここで。「ごめんな!」じゃないからかな。父親や上司に圧迫され、追い詰められた青年にかけられる、彼らと同じ世代の男性からの言葉が、こんなにもやわらかい

3話
・伊吹の「どん!」伊吹は本当に優しいなと思う。ちゃんと同じ土俵で受けて立つことが。
・オペレーターの「いいですか!?」ここで、ここまで無視しそうなお膳立てが揃っているのにも関わらず無視する流れにならないことが、本当にこのドラマの発する社会への願いのようなものが詰まっていて泣ける 大人は子供を、警察は市民を守るのである
・「助けもします(→)よ(↑)」大倉さんって脱力した演技力が本当にずるくないですか?『新選組!』(2004)で腹切ってたときから思ってるんですけどずるくないですか????全員好きでは????さらに言うなら、「ありがとうございます!」とお礼をいう高校生への返事、アドリブじゃなくて台本に書いてある台詞が「はい」じゃなくて「あい」なんですよ さてはあてがきの天才か??
岡崎体育さんの全力投球ぶり 好感度しかない

4話
・被害者にして横領犯が亡くなるのに主人公ふたりは全く間に合わず、撃った犯人はあっさり画面外で捕まり、事件解決とは全く関係ない「彼女は何がしたかったのか」の謎解きが最後に待っていて、それをある意味でのハッピーエンドとする、このドラマのたたえる勇気が凄い
・退廃的志摩の危なげな色気を鑑賞しましょう
・もみくちゃのきゅーちゃん

5話
・志摩の「え粘るの?」
・外国人の女の子がきちんとしたたか。悪くて傲慢なおじさんが敬語。そういうところ。
・水森さんにども~って言う志摩。明らかにかわいこぶっている。自分の客観視ができているかわいさである。2話でべろーんとか言ってたときと一緒である。
・きゅーちゃんが、方言以外の面でも明らかにかわいくなっている(頬杖をついたまま喋ったりする)。
・志摩の「まだよしは言ってない!」この話から志摩→伊吹の犬犬しい取り扱いが増えるように思う
・1話と一緒で、容赦のない闇とセットで、それでも日本にはちゃんとした制度もあると示してくれるのが嬉しい。ガマさんしかり、特定技能制度しかり。
・終わりかた超かっこよくない…?サスペンス映画みたいじゃない…?全話でも屈指では…カット割りとか…

6話
・酒ハラスメントには屈しませんって言う九重くんがリアタイで見たときからずっと好き。若手社会人の鑑。陣馬さんが最後までは押しつけてこない、いい上司なのは承知の上で、あの酒!愚痴!筋トレ!連帯!みたいな価値観の(しかも明らかに善良な)おじさんと四六時中車にいて屈してないのまじでつよい。がんばれ九重くん
・陣馬さんの「ぱーんと開けっぴろげにさあ!」泣いちゃう泣いちゃう。いい上司過ぎるでしょ。飯行って…ほんと…
・もうなんかなんも言えない 6話が沼ドボンした話です 生命線発言直後の志摩の顔…顔よ…

7話
・「自殺だと思ってる」「志摩は?」「――伊吹は?」明らかに志摩が伊吹にソフトになっている。憑き物が落ちている。
・「きんぴらを鑑識に」「丸ごと?」←かわいい
奥多摩の伊吹(回想)、制服も髪型も相まって超可愛いのであった 大学生に見える
・志摩「さっき再注文してここに持ってきてって言ったの」言った『の』!!?!?
・伊吹「太郎、ごめん!」志摩「うん!」うんって言った!!?!??
・ソフト志摩に情緒が付いていけない

8話
・伊吹「えぇ?電話かけてくんの初めてじゃね」なんか、ふつうのお兄ちゃんみたいで…。自宅だからかな…
・ここらへんでメモが途絶えました
・誰も信用しない、しなかったはずの志摩が、ガマさんに「殺しちゃいけなかった」って言うんですよね、誰よりも人を信じた相棒のために

9話、10話
・メモなし

11話
・志摩からの電話に出る伊吹「えぇ?」8話と全く同じ出方である。癖なのかな。なぜかぐっとくるな。
・バッドエンドがエモすぎて100回見たし現実じゃなくて本当に良かったしでもあと100回見る
・バッドエンド伊吹の、迷子の小さな子供みたいな「しま」
・ラストシーン近くの志摩「何かいんの?」どうも私はソフト口調志摩が爆刺さりするみたいです

 

 

テンション高めにSPYの話をする

※「SPY/スパイ」(2015)のネタバレが多分にあります。

ジェンダーロールを取り扱った映画である一方で、どう考えても不同意かつ不必要に女性の胸が触られすぎだとは思いますが、2015年の映画なのでね…と思ってから、たった6年でこの価値観まで来られて良かったと思いました。

見た目と性別で無価値と決めつけることの愚かしさを取り扱った映画を、アマプラが「ジュードロウとステイサム共演!!」の煽り文のみで紹介しているの、なかなか感じ悪いですよね、私もちょっと前までバディムービーだと思っていましたからねこれを…
とはいえ一方で、事実として、ジュードロウとステイサムが同じ画面にいるとめちゃくちゃ絵面が面白いのでした。私は「自らがイケメン過ぎるためにちょっと足を踏み外すともはや胡散臭いということを把握した上でそれをごりごりに活かしたイケメンによる胡散臭い演技」が大好きなんですけど(これはトムクルーズとかヒューグラントとかが時々やる芸です)、それに「しばしば髪型を直すスパイのジュードロウ」が堂々ノミネートしましたね。自分がワイルド俳優であることをごりごりに活かしたポンコツステイサムはその亜流です。本当にすがすがしいほどのポンコツだったな!!絶対「顔移植装置」は伏線で、ジュードロウでない顔を移植されたジュードロウが「実は生きていたのさ」って出てくるんだな…と思ったらマジで顔移植装置についてその後何もなかったですからね!何もないのかよ!!
とはいえまさかジュードロウとステイサムを差し置いてラジオ版クロウリー及びショーンオブザデッドでおなじみピーター・セラフィノウィッツさんが輝いている映画とは思わなかった。この映画見た人もはやセラフィノウィッツさんのことしか覚えてなくない?というくらい強烈だった。関係ないですけどなぜセラフィノウィッツさんは日本語版Wikipediaがないのだろうか。誰か作ってほしい。あととりあえず傘持たせとけばイギリス人スパイに見えるやろみたいなのが雑すぎてやばかった。見た目で人を判断するのは可能性を狭めますよって映画じゃないのかよ!

この映画におけるジュードロウは「ハンサムで優しくて善良で強くて、女性へのリスペクトや感謝は忘れていないつもりである一方、パートナーの優秀な成績を無視して見た目とジェンダーで「君は内勤だよね~」とがっつり決めつけてくるつよつよマジョリティ」という、女性の社会進出を最も強力に阻んでくるタイプの敵なんですけど、そういう彼を例えばひどい死に方にしたり、極悪人にしたり、コメディな感じに辱めたりしないで、「よくわかってない(けどちょっとわかりはじめたかもしれない)つよつよマジョリティ」のままそっと着地させたのは、何だか逆に良かったな、と思いました。ステイサムがマジでポンコツのままだったのもそれはそれでよかったです。

しかし何よりこの映画は女性陣の映画なのであった。メリッサ・マッカーシーのアクションもスパイ的機転も実によかったなあ。有能な人がきちんと有能に立ち振る舞うのを見るのって快感ですよね。ほかにはどんな映画に出てるんだと思ったら2016年のゴーストバスターズだ…見ないと…。あと実写版リトルマーメイドのアースラをされるそうです。うひゃー楽しみ~!
レイナ・ボヤノフ(ローズ・バーン)がきゃぴっと若い女子じゃないのもよかった。というか最後の「好きなくせに!」→「私も大嫌いよ」何ですか…?何ですかあれ…?このお気楽コメディに唐突なこの…おしゃれな…私が何より大好きな、『全然仲良くなさそうでずっと喧嘩しててお互い「好き」って一言も言わないのに双方実のところ好意が育っていてお互いはそれがわかってる』みたいな…奴を…こんな少ない台詞とほんの微妙な表情で…ウワア…。
冗談抜きで、歴史に残していい名シーンではないですか…?

あと、「少年メリケンサック」に並ぶ「吐瀉物がリアルすぎる」映画にもノミネート。

「グッド・ウィル・ハンティング」のランボー教授に感情移入してしまう話

※「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(1997)のネタバレが多分にあります。
※以下、ジェラルド・ランボー教授を「教授」、ショーン・マグワイア先生を「先生」と表記しています。

私はめちゃくちゃつまんない大人なので、ウィルに対して「もっと教授にも!心を返してあげなよ!」と思ったんですよ。いやわかります、先生の方が明らかにウィルの気持ちを大事にするし、諦めないし忍耐強いし話し方がとても誠実、でも君を見つけたのは教授だし頭を撫でたのも教授だし教授だって諦めなかったし君に弱さも見せたじゃん!?「教授に聞かれたらこう答えてねメモ」1枚だけじゃなくてさ~もっとフォローしてあげても良くない!?
すみません私はいつも当て馬に感情移入する人間なんです。いい映画だと思います。リンゴの下りは許さねえからなと思いましたけど(女性をなんだと思ってるんだよ)彼女のキャラクター造形が凄かったな。「今ここでキスする?」って話をしてるときのオッホホホ…みたいな全然可愛くない笑い方超可愛くなかったですか…?

私がこの映画で気に入ったのは教授と先生の関係性で、先生が言っていた「家族とは違う親友」って、結局ウィルには登場しない(強いていうなら先生なのかな)(でも終盤の先生は『息子』を連呼してたからなあ)けれど、つまり先生にとっての教授のことですよね。
あの喧嘩のシーンが一番好きです。何が好きってどっちも正しくない。安易にあのシーンを書くとすれば、あそこでは先生が正しくあると思う。「自分は幸せだ」とか「私を哀れむ君の態度が嫌だ」とか言い放って、教授がショックを受けた顔をする。そこには誠実で正しい人間と傲慢で正しくない人間がいる。とてもわかりやすい。
でもこの喧嘩はそういうものではない。教授は「メダルなんか要らない」とせせら笑うし、どっちも一歩も引かずにいい年の大人が怒鳴りあい、しかも大して時間も空けずにちゃんともう一度同じ場に訪ねてきて目線で謝罪し合って微笑みあって酒飲みに行くわけですよ。素晴らしいな。

ウィルというかマット・デイモンについては、物憂げに伏し目がちになったとき、本当にまつげと目の色が美しくて驚きました、オリバー・ツイストの話をしているときとか…
まあマット・デイモンに限らず、そもそも私は本当に人の顔が覚えられないので、教授が出てきたとき「ロビンウィリアムスって昔シュッとしてたんだな~」って思いながら見てました。そのあとすごいチャーミングなジーニーの声の人出てきて「こっちだわ…」ってなりました。ていうか教授、ブーツストラップビルじゃないですか…ヒトデついてないから気付きませんでした…
ベンアフレック、超顔ちっちゃいな。ラストの彼のシーンの演技と、尺の長さがとても良かった。

友達連中はモーガンにもっと優しくしてやってください。
あとウィルは引っ越し先から教授に手紙書けよ!約束だぞ!

ディープ・ブルーのコック(とブルース・ウィリス)のこと

※「ディープ・ブルー」(1999)のネタバレが多分にあります。

ディープ・ブルーは、私にとっては「お気に入りムービー!」等と高らかに言うにはちょっと許容値オーバーの怖さの映画なんですが(ちなみにWikipediaには「SFアクションホラー映画」って書いてあるのだった。要素が多い)、1人あたま3秒くらいでイチコロの捕食シーンの潔さ及び被害者たちの苦しみシーンのなさ(一部例外あり)と、あのコックの生き様は、私の心を捉えて放さないところがあります。驚くほど名前は呼ばれないがプリーチャーさん。演者:LL・クール・J

映画序盤、浸水した廊下を「どうしたんだろ?」くらいのゆるふわ危機感で歩き、ペットの鳥とはぐれ、誰もいない廊下に向かって「バード?」と呼びかける(鳥のこと鳥って呼んでるの?)シーン、正直あ、死んだなって思いました。見えた。完全に見えた。生き物の気配→「おいおいバード、そこにいたのか…」→サメザバー!→死ぬ陽気な黒人!!!
しかし死なない!コック、背後からのサメの気配を機敏に察知!とはいえ、その後逃げ込んだ調理室で彼が絶対役に立たない浅い鍋みたいなのを胸に抱えた瞬間、あ、死んだなって思いました(2回目)。こういう場面で絶対役に立たない物を手に取る奴は死ぬんです。ヒーローはちゃんとバーナーとか麻酔銃とか持つからこういうときに。
しかし死なない!!!すごい!!!ここらへんで「この人生き残るのかな?」って希望を持ち始めるんですけど、あろう事か彼はその後成り行きで(?)オーブンの中に逃げます。ちょっと前のシーンで死んだ別の男性職員も本当に悪趣味で残酷な死に方をしているので、この作品のそういう意地の悪さはもう知っている。なにしろこれはホラー映画なのだし。コックがサメ映画なのにサメじゃなくてオーブンで焼かれて死ぬなんてすごくブラックユーモア。ありそう~。しかしここでコックが言うのです「コックがオーブンで死んでたまるもんか!!!」
絶望的な状況を諦めないその勇気と減らず口と行動力。しびれる。

私がこの映画でいちばん好きなシーンが、終盤、プリーチャーさんがついに別れた妻と子供に遺言ビデオレターを残すという究極の死亡フラグを立てるところなんですが、「俺がお前達に何を残してやれるだろう……」と考え込んだ結果が、「海で働くな」とか「サメには気をつけろ」とか「お父さんはみんなをずっと愛していたよ」とかじゃなくて、にこっと笑って「オムレツには卵ふたつだ。牛乳を入れるのは間違いだ」。
極限状態でもユーモアを忘れない人。物凄く感動してしまった。そんじょそこらの愛しているより、何倍もいい遺言ではないか。

突然ですが私はブルース・ウィリスがめちゃくちゃ好きで、どこが好きだと言われたらあの何かへらっとした表情とか笑っている目が好きなんですけど、つまるところそれは彼がよくやる役の雰囲気、代表作ダイハードの1作目で言うならば、正義漢の警察官が圧倒的不利な孤立無援の状況でビルの中を走り回り、畜生畜生このやろうもうクリスマスなんてこりごりだー!と言いながら、それでも最後までユーモアを手放さないところが好きなんです。
追い込まれれば追い込まれるほど、いちばん最後の武器のように減らず口とユーモアを握りしめ直す人、好きなんですよね、ほら、トニー・スタークとかね…わかりますか…そういうやつ…